StereoSound(ステレオサウンド) 174号「最高のサブシステム」

最近、オーディオショウで展示される製品の価格に不満はありませんか?時として、一体誰が買えるのだろう?と想像してしまうほどの高額品も登場しています。“ある”からには売れるのでしょうが、少なくとも逸品館にはそれほどまでにお金に糸目を付けないお客様はいらっしゃいません。高額品も取り扱っていますが、どちらかと言えば中級品のラインナップが厚い逸品館は、「庶民の味方」の立場です。
それはともかくとして買い換えやグレードアップを考えたときに「値上がり」の続く状況は嬉しくありません。なぜなら、今以上のシステムを望むなら、それまで以上の代価が要求されることになるからです。そんなことを続けられても、いつかは「買い換えられなくなる時」がやってきます。そういう市況を反映してか、あるいはレコード時代のカートリッジやアームなど「音作り」に相当するためか、高価なアクセサリーは相変わらず売れ続けているようです。
ここで少し視点を変えてみませんか?ドラスティックな性能向上が見込めないメインシステムのグレードアップを少し休憩して、その予算で「サブ(スモール)システム」を購入するというプランは如何でしょうか。「メインシステムがあるのにサブシステムを買う必要があるのか?」それが、結構良いことがあるのです。

サブ(スモール)システムの利点

  1. 価格が安い
    ちょっとしたグレードアップ、アクセサリーの追加による音作りを低価格で楽しめる。
  2. サイズが小さい
    置き場所やセッティングによる音作りを簡単に楽しめる。
  3. システムが単純
    スピーカーにフルレンジや2Wayを選ぶと、小型スピーカーならではの良さが楽しめる。
  4. 小編成に実力発揮
    楽曲によりシステムを変えて音楽を楽しめる。
  5. 腕を磨ける
    試行錯誤にお金が掛からず、その成果をメインシステムに生かせる。

現実的なメリットを上げるならこれくらいかも知れませんが、良くできたサブ(スモール)システムは時として大型システムを超えるほど「ハッとする音」を出してくれることがあります。私がこれまでに経験した、メインシステムを超えるスモールシステムを上げてみましょう。

  • Rogers LS-3/5a + Naim Audio NAIT-1
    閉店後、明かりを落としてこのシステムで聴いた、ビルエバンス(p):シェリーマン(dr)の「ダニーボーイ」の「切なさ」が忘れられない。
  • Sonus Faber Minima(FM2) + 玲(6L6シングル・逸品館オリジナル真空管アンプ)
    小さなビルの3Fにあった昔の3号館で深夜、ひとりぼっちを噛みしめながら聞いた「槇原敬之の優しさ」を超える音はまだ聞けない。
  • JBL LE-8T + Mcintosh MA6100
    きちんとメンテナンスされたLE-8TとMA6100が奏でる、女性ジャズボーカルの艶やかさは一度味わうと止められない。

今までにイベントや自社の試聴室で鳴らした大型(メイン)システムの音質を自宅で再現するには、最低でも1000万円近いお金が掛かります。けれど、上のシステムならその1/10以下の価格で手に入ります。生涯記憶に残る素晴らしい音でお気に入りのソフトを鳴らす楽しみの大きさは、オーディオ機器のサイズや価格に比例しません。楽しみは与えられるものではなく、見いだすものなのですから。

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