まとめ

あとがき

これらのスピーカーのセッティング作業は、気が遠くなるほど根気と集中力の必要な作業です。そこまでしないと「良い音が出ないオーディオ」って一体何なのでしょう?車に例えるなら、差詰め非常に気むずかしい「レーシングカー」です。いったい「いつになったら最高の性能を発揮」するのでしょう。そんな「曖昧な装置に大金をつぎ込む」事ができますか?いいえ、ひょっとすると「曖昧だからこそ平気で大金をつぎ込める」のかも知れません。
もっと簡単に購入した瞬間から最高の性能を発揮できる「フルオートマチックの車」のようなオーディオ機器は存在しないのでしょうか?機械の調整や保守にほとんど気を使わずに「お手軽にいつも良い音を聞かせてくれる」オーディオ装置。それが「マルチチャンネル・オーディオ」なのです。私の推薦するAVアンプ・ユニバーサルプレーヤー・小型スピーカー5本と良質なサブウーファーを組み合わせれば、このような面倒な調整を行わなくても「プロが細心の注意を払ってセットアップした最高レベルのステレオ・オーディオ機器」の80%程度の音質がいきなり実現します。
一見、同じように見えても「オートマチック」を目指す「オーディオ」と、「マニュアル」にこだわる「オーディオ」は、根本から違います。確かにそういう「全く異なるもの」が乱立し、両立するのが「オーディオ」の面白さであり、魅力だとは思いますが、現在のオーディオはあまりにマニュアルこだわりすぎるあまり「音楽を聴けるようになるまでに信じられないほどの労苦をユーザーに強いている」と思います。そして「そのわかりにくさ」が原因で「購入する機器の選択を非常に難しいもの」にしています。また、コストが音質に確実に反映されないからこそ「常識では考えられないほど高い機器やアクセサリー」が幅を利かすのでしょう。
「オートマチック・オーディオ(マルチチャンネル)」になると「機器の善し悪し」は、簡単にハッキリします。誰もが平等に、そして誰もが簡単に理解できるオーディオ。「誰にでも」・「どんな環境でも」・「簡単に」・「しかも安価に」・「最高のサウンドが実現する」そんな音楽ファンにとって夢のような「オーディオシステム」が「マルチチャンネル・オーディオ」なのです。論理的にオーディオ機器の究極の音質を求めた結果、辿り着いたのが「マルチチャンネル」なのです。そして、アナログ時代には考えられなかったマルチチャンネル・オーディオを可能にしたのが「現在のデジタルオーディオ技術」なのです。
目をしっかり開いてください。「音楽の素晴らしさ」は「オーディオのそれ」と較べれば遙かに大きく奥深いのは、私が言うまでもありません。「オーディオ」に気を取られるあまりに「音楽を見失う」ようなことがあれば、それは本末転倒。技術は「人間の労苦を減らす」ためにあり、「新しい技術が人間に新たな労苦を強いてはならない」というのが私の考えです。

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