DCR-VX1000の発売から5年、待ちに待った本格派3CCDビデオムービー「VX2000」が発売され、少し遅れて業務用タイプの「PD150」が追加発売されました。双方の仕様と、画質の違いを調べて見ました。
VX2000/DSR-150機能差比較表
基本性能は、DCR-VX2000/DM-XL1/DCR-VX1000ページへ
DCR-VX2000(民生) | DSR-150(業務機) | |
ボディカラー | シルバー | グレイ |
記録方式 | DV(SP/LP) | DVCAM/DV(SP) |
ビューファインダー | 18万画素カラー液晶 | 18万画素白黒液晶 |
マニュアル撮影機能 | 明るさボタン&ダイヤル プログラムAE AEシフト(カスタムプリセット内) |
アイリスボタン&ダイヤル ゲイン AEシフト(ボタン) |
マイク | ワンポイントステレオマイク | 指向性マイク(モノラル) |
音声入力コネクター | ステレオミニ、プラグインパワー マイク/ライン切り換え式 |
XLRコネクター×2 (+48V電源供給、 マイクアッテネーター) |
録音レベル調整 | ステレオ両チャンネル同時調整 | 2チャンネル独立調整 |
アクセサリーシュー | インテリジェントアクセサリーシュー | ○ |
タイムコード/データレック | - | ○ |
ピクチャーエフェクト | 6パターン | - |
表示記載 | 日本語表記 | 英語表記 |
連続撮影時間/消費電力 | 9時間35分(NP-F960) /4.0W | 8時間(NP-F960) /4.7W |
重量/サイズ (幅×高さ×奥行き) |
約1.7㎏(NP-F960使用時) 115×146×342㎜ |
約1.8㎏(NP-F960使用時) 128×180×405㎜ |
価格/発売日 | 380.000/5月10日 | 450.000/6月1日 |
VX2000
PD150
- VX2000とPD150の一番大きな違いは、写真からも分かるように、PD150が指向性モノラル・マイクを採用し、音声入力端子が業務仕様のXLR(キャノン)コネクターになっているので、外部マイクは高価な業務用マイクを使用しなければいけません。
- VX2000はワンポイント・ステレオマイクが標準で外部マイクの入力端子も民生仕様のミニプラグ対応。比較的、廉価な市販アクセサリーのステレオ・マイクが使えます。
- 表示記載はVX2000の日本語表記がわかりやすく、PD-150の英語表記は一瞬操作にとまどう場合があります。
タイトル入力もアルファベットのみになります。 - PD-150にはタイムコード・レコーダー機能が搭載されていますが、正確な編集を求めなければ特に必要はありません。
(タイムコード編集には、それに対応した編集システムが必要です。)
DCR-VX2000とDCR-PD150画質比較
「VX2000」と、その業務仕様機「PD150」の画質相互比較を量産機の撮り比べで行いました。
公平を期するため一つの三脚に2台乗せて同時にシヤッターを切りました。掲載画像は、撮影モードオートで、静止画をメモリーステックに記録したものです。
広角側の町並み風景
発色はPD150が見た目に近く感じられます。PD150の輪郭にはやや強調感があり、空の雲は少しピンクぽくなりました。
画像は左側が「VX2000」 / 右側が「PD150」
ビルと木
ビルはPD150の発色がリアルです。木の葉は、VX2000が潤い感があり好感がもてました。
自動販売機
自動販売機の赤色はPD150が実際の色に近く映り、VX2000は朱色ぎみになりました。
夕方の道路
基本的なパーツ構成は同じなので、さすがにバスのスミアの出方はほぼ同じ。PD150は建物や車の輪郭がはっきりします。
ボトル
この画面ではわかりにくいですが、CASSISのボトルの赤色はPD150がリアルです。DAIQUIRIのボトルのグリーンの発色はVX2000が実物に近く映りました。細かな部分は、輪郭がはっきりするPD150の方が文字のにじみなどが少なく見やすいようです。
画質の感想
あるビデオ雑誌では、両機とも全く同等・・・と記事にありましたが、上の写真を見ていただいてもわかるように絵作りは明らかに違います。 まず雑然とした町並みのビルの色はPD-150が見た色に近くリアルで、VX-2000はビル陰側など全体に明るく表現されました。
空の青さや、木々の緑の色鮮やかさに奥行き感があるのはVX-2000でした。しかし赤色系の深みのある画像はPD-150がしっとりと自然に映ります。 夜景の画像はビルの陰側同様オート撮影では明るめで映すVX-2000に対し、PD-150は暗めの階調に映ります。
夜景を綺麗に映そうとすれば、マニュアルで調整しないとさすがに両機ともつらいですが、調整機能を有効に使えば見た目に近い画像に調整できます。 特に「ゲイン」と「アイリス」を個別に調整できる「PD-150」は、上級者には非常に使い勝手が良いのですが、ゲイン(感度)とアイリス(レンズの絞り)を良く理解しておかないとかえって混乱するかもしれません。(ゲインを上げてアイリスを絞る、またのその逆を行うことで「被写体深度」を調整し、「後ろのボケ具合」をコントロールして撮影できるのは、マニアックですが非常に有効な機能です)
その点「VX-2000」は、明るさ調整のダイヤル一つでアイリスがまず一杯まで開き、その後にゲインが上がるので、S/Nを劣化させず”明るさの調整”ができる、便利で簡単な調整方法になっています。(調整した夜景の画像はボトルの画像よりさらにホームページでは差が出なくそのためカットしました。)
まとめ
PD-150は業務用なので当たり前ですが、「テレビのニュース番組」を見ているようです。
建物などのくすみ方や中間色の表現が豊かですが、コントラストが地味目で華やかさにかけるところがあります。
VX-2000は自然の緑や晴れた空などが鮮やかに映る「心地よい強調感」のある一般受けの良い画質です。
コントラストのハッキリした奥行き感が出るのが特徴で、見た目よりも明るくきれいに映ります。
「PD-150はプロ好み」、「VX2000は一般好み」、ソニーはカメラの使い手を理解した絵作りをしているのをあらためて確認しました。どちらの画像も捨てがたく甲乙つけがたいですが個人的には、ややPD-150のリアルな絵作りに心惹かれました。