タンノイに限らず、大型ホーン・スピーカーは指向性が強く感じられ、頭を少し動かすだけで「音像が左右にぶれてしまう」という悪癖がありますが、それは「セッティング」で大きく改善されます。
まず、ホーンスピーカーはドーム・コーン型に比べ「指向性」が強いということを考慮する必要があります。それはどういうことかといえば、「スピーカーセッティング」のページに詳しいように、「2本のスピーカーを、仮想の1本のスピーカーのように距離・角度の関係を合わせる」事が大変重要となるのです。
この調整に必要な精度は「数㎜以下の誤差」しか許されないのですが、逆に5㎜以上の誤差を許せばセッティングによる音の向上を体験できないと言い切れるほど厳密なのです。
(現在、誰もが簡単に「スピーカーを1㎜程度の誤差でセッティングするための道具」を製作しています。99年度末には発売できると思いますのでご期待下さい。)
キングダム15の注意事項
キングダム15に限らず、同軸2Way方式を採用しているスピーカー全般の問題点は、ウーファーあるいはスコーカーのコーンの奥中央部にツィーターを置いているために、中央奥から放射される高域の音波にコーン紙が「ホーン」となってロードをかけてしまうところにあります。
コーン紙をホーンと考えると、当然の事ながら「ホーン」の振動は「高域の音波を乱反射あるいは拡散させるので「高い音の透明感・広がり感」を損ない「濁り・低域のもたつき・高音の硬さ・ヌケの悪さ」となって現れてしますのです。(高域のユニットが指向性の強い「タンノイ」はまだしも、指向性の緩やかな「ドーム型ツィーター」を搭載している同軸2WayのKEFはこの傾向が更に強く現れます)
そのため逸品館のキングダム15には、高域ユニットの指向性を強め「スコーカーとの干渉を低減する目的」のため「中央の高域ホーン最外周にフェルトを充填し高域の透明感と立ち上がりの早さ=音の鋭さ」を改善しています。
更にバッフルからの反射を低減する目的で、丸く切り抜いたフェルトをスーパーTWとスコーカーの周辺に張り付けました。
また、後ろ側のバスレフポートに詰めてある「灰色のスポンジ」は全て取り去っていますが、これは「一見低音を減らす目的でポートをふさぐ」と、ウーファーが動くときに「エンクロージャーから空気が抜けず、エアーダンピング」がかかって、考えとは逆に「低域がつまり、ヌケの悪いボンついた音」になってしまうからなのです。