良質な製品をリーズナブルな価格で提供することを基本ポリーシーとする、イタリア・オーディオアナログ社の2001年に輸入が開始されたばかりのCDプレーヤー、”PAGANINI-NV(パガニーニ)をテストしました。
AUDIO ANALOGUE PAGANINI NV
- アナログ出力 2Vmrs(RCA1系統・レベル固定)
- デジタル出力 RCA同軸1系統
- ピックアップ PHILIPS製
- DAコンバータ 24bit ΔΣ方式・ジッターリクロック回路搭載
- 外観寸法 W445×D330×H90㎜
- 重量 10.0Kg
- 発売時定価 ¥188,000
マテリアル ★★★★
○ ここは良かった
10㎜厚のアルミプロントパネル・高品質RCA端子を採用している。トレーと左右の8つのボタン(アルミ製で高級)だけのシンプルナデザインには好感が持てる。
X ここは残念
筐体の黒い部分はいかにも金属を曲げただけの、悪くいえば弁当箱的な仕上げがちょっと残念。アンプと同じ。
機能・発展性 ★★★
○ ここは良かった
特に、可もなく不可もない。リモコンも標準的な機能。
X ここは残念
同じ形のボタンが4×2で8つ並んでいるのはデザイン的にはスッキリするが、ボタンを押すときには注意しないと押し間違えやすい。表示の文字テキストも色が薄く見にくい。
光デジタル出力が装備されていないので、MDなどにデジタルダビングが出来ない事がある。
音質的評価 ★★★★
○ ここは良かった
解像度の高さと透明度の高さはアンプよりもCDが際だって好印象。
高いクォリティーを感じさせる音質は、国産同価格帯の製品とは一線を画する満足感を持って迎えられるはず。
CDとアンプの音質イメージが非常に似ているのは、“音作り”のノウハウをきちんと持っている証拠。
X ここは残念
エネルギー感がやや希薄。いわゆる綺麗な音系だが、完全に無機的でクールな音色ではなく、ほのかに温かく、清楚な色気を感じさせる。
個人的には、もうちょっと躍動感が欲しい気がするが、“抗菌処理”を施されたかのような、清潔で精密な、こういう音楽バランスもオーディオ的には“面白い”と感じる。
音楽的評価
○ ここは良かった
高域の解像度がやや過剰気味で、最初は違和感があったが、1時間ほど聴いていると当初感じられた嫌な硬さはなくなり、解像度の高さがクローズアップされる感じになる。
そのため、ボーカルは目の前にいるほどの距離が近く感じられ、これはこれで面白いと思う。
折り目正しい音楽的なニュアンスもかなり出ている。
X ここは残念
やっぱり、私にはちょっと作られた音のような感じがする。仕事をしながら聴いていると、ちょっと音が耳についてイライラした。2時間ほど聞いた後、CH7700Superにするとホットした野で、やはり何か刺激が強めの音質であることには間違いない。
そのためか、音が普段着ではなく正装的で、ちょっと過剰気味に音の細やかさが強調されすぎる嫌いがある。
でも、そのオーバーデコレイトな感じが好きか嫌いかで、このCDプレーヤーとオーディオアナログ社の音作りへの評価は大きく割れるだろう。 少なくとも、何のインパクトもない国産のCDプレーヤーよりは遙かに好意的に感じられるし、作り手の存在が見えないようなオーディオ機器と比較すること自体、オーディオアナログ社には失礼だと思わせるだけの十分な存在感があった。
全体評価 ★★★★
この製品への評価は下しにくい。なぜなら、好き嫌いがハッキリわかれると思うし、その基準はこの音に“はまる”かどうかだと思うからだ。 そういう意味では、趣味性の高い製品なのでそれなりの見識をしっかり持ち、十分に試聴して選んで欲しい。
2001年7月22日 (清原 裕介)