良質な製品をリーズナブルな価格で提供することを基本ポリシーとする、イタリア・オーディオアナログ社から2001年に輸入が開始されたばかりの新製品、リモコン付き“プリメインアンプ“PUCCINI-RE(プッチーニ)”をテストしました。
2001年10月19日、上級モデルの“プッチーニ-SE”の追加テストを行いました。
PUCCINI RE
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PUCCINI SE
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マテリアル ★★★★
○ ここは良かった
10㎜厚のアルミプロントパネル・アルミ削りだしノブを採用するなど“見える部分”のマテリアルは非常に良好。リモコンも落とすと壊れそうなぐらい重量のある金属ケースが採用されている。
X ここは残念
筐体の黒い部分はいかにも金属を曲げただけの、悪くいえば弁当箱的な仕上げがちょっと?
ラックに入れてしまえばまったく問題はないけれど、ラックの一番上に置いて使うにはちょっと抵抗があるかも知れない。
機能・発展性 ★★★★
○ ここは良かった
セレクターの切換と音量の調節だけしか出来なくてもリモコンがついてるのは便利。
RCA1系統のプリアウトがついていて、Bi-AMPへの対応やSWの追加が出来る。
このクラスで今や珍しい、MCカートリッジに対応したフォノ入力が装備されているのも親切。
X ここは残念
スピーカー端子の“ケーブルを挿入する穴(3㎜弱)”はもっと大きくして欲しい。
このままではYラグ(スペードプラグ)を使わないと高級(太い)スピーカーケーブルが使えない
音質的評価(SE) ★★★★
○ REと比べてここは良かった
解像度が高く、音がクリアーな所はREと同じプッチーニの長所。
SEモデルは、REモデルの電源を強化した上級モデルらしく、REでは薄目たった低域の軽さが改善され、帯域バランスが改善されている。
中高域の切れ味はそのままに、中低域の余裕や厚みが増し全体にゆとりを感じる音質に仕上がっている。
しかし、REが持っていた“高域よりのエネルギーバランス”からくる、危うい独特な個性が薄れるのは、仕方のないところだろうか?
SEは、REの不満点がほぼ完全に払拭され、ニュトラルなウェルバランスアンプとして完成度が非常に高く、長くつき合うなら、SEのおとなしさ、癖のなさ、懐の深さが引き立つと思う。
音楽的評価
○ ここは良かった
解像度が高く、オーディオマニアは間違いなく唸るだろう。
しかし、音楽的にはその解像度の高さが裏目に出て、長時間聴いているとやや疲れを覚えるかも知れない。ちょっとシャープネスが強めのテレビを見ている感じ。
だが、それも好みの範疇に収まっているし、その高域の強調感はリボン型やホーン型のユニットと共通する質感のように感じさせる。
少し音がゆるめのスピーカーや、高域の解像度が不足するフルレンジスピーカーなどに繋ぐと面白いかも知れない。
X ここは残念
色彩方向の情報量よりも解像度方向の情報が多いので、同じ傾向を持つB&Wなどのスピーカーと組み合わせると、音がクリアーになり過ぎるように感じる。できれば、色彩の豊かなタイプのスピーカーと組み合わせて使うことをお薦めしたい。
高域の強調感が強めなので、しばらく聞いた後でAIRBOWの製品に切り替えると、その場にいた3人全員がホットするような安心感を覚えるほど、ちょっとテンションが高い。
サービス過剰気味かもしれない。
でも、何度も言うけれど、それは“好み”の範疇に収まっているから、オーディオ的に最高だと思わせる魔力的なバランスを持っている。
音楽的評価(SE)
○ ここは良かった
音楽的にはこちらの方がウェルバランスなのは間違いがない。中型~大型スピーカーをバランス良く鳴らしたいならSEがお薦め。
小型~中型スピーカーを使って独特の持ち味を引き出すならREをお薦めしたい。
X ここは残念
REがもっていた、独特のテンション感が薄れてしまい、普通の音の良いアンプになってしまった。それがいいか悪いかは、ユーザーの判断に委ねるべきだと思うが、ややじゃじゃ馬的なREの魅力に抗しがたい部分を感じることも事実。
安心してつきあえる優等生の姉(SE)。時として期待を裏切り、時として期待以上の色気を出す小悪魔のような妹(RE)。どちらを選んでも、かなりいけてるイタリア美人であることには違いはないから、聴き比べると悩むかも知れない。
2001年7月22日
2001年10月19日(SEのリポートを追加)