CDが登場して、20年が過ぎようとしています。オーディオ技術は1/4世紀(25年)毎に、大変革を遂げると言われていますが、その例にもれず、次世代デジタルである「DVDオーディオ」・「スーパーCD」が登場しました。
しかし、デジタルは「次世代フォーマット」になれば、「本当に音が良くなる」でしょうか?
私の答えは「イエス」でもあり「ノー」でもあります。
「イエス」の根拠は、現状のフォーマットは「明らかに不十分」であるからです。 現状のCDフォーマットが決定された、最も大きな要因をあなたはご存じですか? それは「聴感」ではありません。その主因は「コスト」だったのです。
なぜならCDプレーヤーは、「ディスクからデジタル信号をリアルタイムで読み出し処理」しているのではなく、「読み出したデジタルデーター」を「一旦メモリーに蓄えて」から処理を行っていたために、CDが発売された20年前には、今よりも遙かに高額だったICメモリーの量を増やすと、「CDプレーヤーの売価が急上昇する」という問題を抱えていたために、「CDのフォーマットは電子メモりーの容量(製造コスト)」により、大きな制限を受けていたのです。
しかし、現在20年前との「電子メモリーの価格差(コストダウン)」は、20-100倍に及びます。現在デジタルのフォーマット(データーの総量)を決定付けるのは、主に「光ディスク(記憶用メディア)の情報密度」です。いまなら、「技術者はコストの制限を受けず(低コストで大容量が可能)」にデーターを大きくすることができるのです。
現状のCDの音質的な問題点は、DATを聞くことによってもわかるとおもいます。同じマスターテープから作成された「CD」と「DAT」の音質を「同一のDACで比較」してご覧ください。サンプリング周波数「44.1KHz」と「48KHz」。たったこれだけの差でも「高音の伸びに明らかな差」が認められるはずです。サンプリング周波数や量子化ビット数が「いったいどれだけあれば十分なのか?」は分かりませんが、「現状のフォーマットは、音楽を再生するデジタルとしては明らかに不十分」であると考えています。
しかし、「フォーマットが不十分」だから「音楽を楽しめない」とは、決して短絡して考えないでください。それなら、「全てのオーディオ(LP/SP/蓄音機)」で音楽は楽しめなくなってしまうのですから。
デジタルは「フォーマットが広がる」と「明らかに音が良くなる余地はある」とご理解いただけると幸いです。
「ノー」の理由は、「オーディオ理論(開発メーカー)に重大な問題」があるからです。 オーディオ理論や、CDプレーヤーの構造の問題点について、この場で論議することは避けておこうと思います。それは、非常に専門的になりますし、一朝一夕に理解できるようなものではないからです。
(音と音楽-問題編 のページをご参照ください)
ただし、これだけは絶対に譲れないので是非言っておきたいことがあります。 それは、「現状のCDフォーマットに問題がない」と「あれほど強く断言した」にもかかわらず、「スーパーCDを提唱しているメーカーの姿勢」についてです。 音楽を軽視する姿勢にはあきれるばかりか、「前言(CDのフォーマットに問題がある)について一言の謝罪」すらしない態度には、強い憤りを禁じ得ません。
非常に無責任きわまりない傲慢な態度! 猛省を促したいと思います。
このような「利益追求の姿勢」から「素晴らしい音楽を再現できる装置」など開発できるわけがありません。「科学的根拠」など全くなく、「彼らの論理を押しつけるだけのオーディオ理論の展開」からは、「進歩は生まれない」と断言できます。 メーカー製のCDプレーヤーやDACは、「誤りだらけのオーディオ理論」から生み出された結果、「音質に問題が残されたまま」になっています。
また、「このような問題を残したままでフォーマットを変えるだけ」では、「音楽は決して良くなりません」。 比較対象として、我々が「オーディオ理論を盲信せず」自由な発想(ヒアリング中心)で開発した「デジタル機器」の音質比較レポートを掲載しましたのでご参照いただければ幸いです。
もちろんレポーターや機器のセッティングは「イコールコンディション(同一)」となるように細心の注意を払っていますし、情報操作など一切行っていません。