少し早いですが、4月といえば新学期です。新学期の始まりに桜を見ながら、散りゆく桜花の舞う中を登校するというのが日本の風物詩だったように思うのですが、今年の桜の開花は、かなり早くなるのではと予想されています。新学期を迎えるまでには「受験」という難関が待ち受けています。オーディオやホームシアターは楽しい趣味ですが、時として周囲には騒音となってしまうことがあります。もし、お近くに受験生の方がいらっしゃったら「音量エチケット」には、くれぐれも気を使ってあげてください。
年末年始のセールでAETの超高級ケーブル「SIN」が大ヒットしました。「満足度保証」と銘打って行ったセールですが、実際の返品は「ゼロ」。つまり返品はまったくありませんでした。10万円近くもする電源ケーブル、6万円/1mもするケーブルが大ヒットして返品がないというのは、すごいことです。ケーブルで音が変わるのだろうか?電気的にはなかなか説明が付かないことですが、このセールの結果が一つの答えとなるでしょう。高級ケーブルに価値はあるのです。
この高級ケーブルという市場は、ここ10年で急速に拡大しています。それは、アナログディスク(レコード)文化が終わり、デジタル(CD)文化が始まったことと無関係ではないと思うのです。アナログディスクの時代なら、さしずめ「カートリッジ」、「昇圧トランス」、「フォノイコライザ/プリアンプ」に相当するオーディオ製品が、高級ケーブルなのではないでしょうか?大がかりに機器を買い換えることなく、自分自身で音を作ることのできる最後の砦が「ケーブル」をはじめとする「オーディオアクセサリー」なのでしょう。
そういう意味で、近年の「オーディオアクセサリー」のマーケットは、拡大し続けあたかも雨後の竹の子のように様々な「オーディオアクセサリー」のメーカーが出現しています。しかし、今回ご紹介した「AET」のように「価格と音質の価値が一致している製品」は、そんなに多くありません。具体的なメーカー名は上げませんが、逸品館がお薦めしていないオーディオアクセサリーメーカーの製品のほとんどは「コストパフォーマンスが悪い=価格ほど音が良くならない」と考えています。逸品館も「AIRBOW」というブランドでオーディオアクセサリーを発売していますが「すごく音が良くなる」からといって「製造コストを無
視した高い価格」を付けることはありません。なぜなら、アクセサリーはあくまでもアクセサリーであって「確実な効果を保証できる製品ではない」という考えがあるからです。
例えば、アンプやスピーカー、CDプレーヤーは、直接を音を変えることができる、つまり「主役」です。しかし、オーディオアクセサリーは主役を引き立てるための「脇役」に過ぎません。それが主役よりも遙かに高い価格であって良いわけがありません。たしかに、AETのケーブルは高価ですが返品のないことがその確実な効果を裏付けています。それに対し、逸品館が積極的にお薦めしていないオーディオアクセサリーの多くは「確実な効果」を保証できません。使い方で良くもなるし、そうではないこともあります。AIRBOWの開発製造を通じて「生産コスト」も大体わかりますから、馬鹿みたいに高い値段を付けているアクセサリーも販売を見合わせています。もちろん、市場に発売されているすべてのアクセサリーをテストしているわけではありませんから、逸品館が薦めていないから良くない製品だと言うことにはなりません。その部分は、誤解のないようにお願いいたします。
このオーディオアクセサリーに対してAIRBOWが発売している「チューンナップモデル」は、脇役ではなく主役です。確かにメーカー製品をベースにしていますが、非常に厳密で長時間のヒヤリング開発という多大なコストを懸けて開発されています。年末に発売を予告したPS8500ベースのAVアンプがまだ発売できないのは、音質が納得行かないからです。そのために今年に入ってから、文字通り一カ所を変更して数日連続でヒヤリングテストを行い、納得の行く結果が出たら次の一カ所を改良してテストを行いという、気の遠くなるような手間と時間をかけて開発を行っている最中です。AIRBOWのチューニングには時間がかかります。つまり、1機種を販売にこぎ着けるまでには、膨大なコストがかかるのです。それ故に、チューンナップされた製品がベースモデルの倍を超える
ほど高価になることがありますが、高く売りつけているわけではありませんのでご理解下さいませ。事実、AETと同時に行っています「AIRBOW品質保証サービス」ですが、返品は数台のみに留まっています。その返品理由も、音が気に入らなかったというのではなく、購入したモデルよりも上位モデルに変更したいという積極的な理由からでした。
https://www.ippinkan.com/airbow/airbow_campain.htm
オーディオは、「積極的に音を作って楽しんで良い」、「生と再生音楽を比べる必要はない」と高いところから論じてきましたが、何事にも節度はあります。冒頭でお話しした「音質エチケット」同様に、商売にも「エチケット」と「倫理」が存在しなければなりません。私が常々疑問に思うのは、サントリーなどの酒造メーカーが「健康食品」を販売していることです。確かに、飲み過ぎなければ毒にはならない「お酒」ですが、度を過ぎれば体に悪影響を及ぼします。たばこもそうですが「有害性」を承知していながら「お酒」を売っているメーカーが「健康食品」を販売しているのが、腑に落ちないのです。「毒」と「薬」を同じ会社が作っているようなものではないでしょうか?そういう会社の「倫理観」を果たして信用して良いのでしょうか?なんて疑いを持ってしまいます。
オーディオアクセサリーも使い方によって「毒」になる場合があります。どんなアクセサリーも使いすぎは良くありません。試して良かったからと言っていきなり増やすのではなく、少しずつ試しながら、徐々に増やしてゆかれることをお薦めいたします。