DARTZEELの超高級セパレートアンプとCECの新製品、TL53Z、AMP53、TUBE53の試聴テストを行いました。オーディオショップとしてお薦めできる良い製品を見いだすためのみならず、AIRBOWが作り出す音、提供できるサウンドを私の「独りよがり」な音にしないため、少しでも多くのオーディオ製品をテストすることは、非常に重要だと考えています。そのためテストでは、必ず何れかのAIRBOWの製品を一緒にテストします。他社製品と比較することで、それぞれの音質をより明確に確認できるからです。
話は変わりますが、日本で「クラシック」が一部の限られた層にしか普及しないのは、オーディオが「クラシック」を上手く鳴らせないこととは無関係ではないと思います。そして、AVEXなどの音楽を商業化しているレーベルが大量生産する「薄っぺらい流行歌」が売れるのも、オーディオの音が悪いせいだと思うのです。
生演奏のクラシックコンサートに行けば、楽器の音の素晴らしさに体が震えるでしょう。POPSもライブでは、歌手の実力が白日の下に晒されます。歌手はストリッパーでもダン
サーはありません。歌い手なのです。楽器のように美しい声の持ち主だけが歌手の素質があるのです。ヤマハの「POPCON」から登場した、八神純子のような美しい声の歌手の残した曲は、時代を経ても色あせません。
DARTZEELは、超高級品なのでうんと個性的でなければ困るのですが、オーディオの登竜門になるような廉価オーディオ製品は、逆にソフトや音楽を選り好みするようでは困ります。なぜなら現代の日本では、「音楽とのファーストコンタクト」はオーディオでなされるからです。オーディオの入門機には、肩が凝らない範囲で音楽の「善し悪しをある程度きちんと鳴らし分けられる性能」が求められます。そうでないと「本物」が廃れてしまうからです。
演奏家を愛し、音楽に愛されるサウンドの実現を目差して生み出した、AIRBOWのエントリーモデルLITTLE COSMOSの後継機を近日発売します。販売価格は、従来モデルとほとんど変わりませんが、音質は大きくリファインされています。CDプレーヤーは、透明度と明瞭度、低域の量感とクリアネスを高め、より本格的な音質に仕上がっています。音の広がりにも注意して仕上げていますから、その音質には、ちょっとした高級モデルでは太刀打ちできないかも知れません。それくらい出来の良いCDプレーヤだと自負しています。
PM4001/KAIは、旧モデル(PM4400/KAI)と音色をがらりと変えて、PM6100/KAI3と同じ「クッキリ、ハッキリ、切れ味鋭い」音に仕上げています。それは、音楽の善し悪し、演奏の上手い下手をより明確化する目的もありますが、ソフトや演奏への対応能力を広げるため、楽曲やスピーカーに合わせて「トーンコントロール」を有効にお使いいただくためでもあります。つまり、トーンコントロールやラウドネス・スイッチで「劣化する」音質を補うため「素に高い音質」を与えているとお考え下さい。
PM4001/KAIの「デフォルト」の音質は、「TONE DEFEAT」スイッチを「入れない(トーンコントロール回路を通る)状態」で調整しています。「TONE DEFEAT」をONにすると、想定したよりも「澄み切ってピュアな音質」が得られます。小編成の弦楽器、特にギターやハープをこの設定で聞いて下さい。楽器が持つ本来の素晴らしい切れ味と透明度に溢れる音をご堪能頂けると思います。
このモードで「やや線が細く聞こえる」場合には、「TONE DEFEAT」をOFFにして、トーンコントロールを通すと音のバランスが整い、楽器に柔らかさが出てきます。さらに音を変えてお使いになりたいと感じられる場合には、トーンコントロールをお使いください。小音量時には、ラウドネスを使うのも良いでしょう。どちらの場合にも音質は濁らず、音質調整回路の悪影響はほとんど感じられないはずです。
CD5001/KAIとの組合せでいろんなスピーカーを鳴らしてみましたが、AIRBOW IMAGE11/KAI2はもちろん、PMCの3WayスピーカーIB1Sでさえ問題なく鳴らせる実力を確認できました。エントリーモデルとしては、望外な性能に仕上がっています。音質は、お客様のご期待にお答えできると思います。