逸品館メルマガ047「未来に望むこと」

前回のメールで大企業を批判しましたが、それは「正義感(倫理観)」の問題です。私は宗教家ではありませんが、力を持つ立場の人間が弱い人間を虐げ搾取することは許されて良いとは思えません。喜劇俳優のチャップリンが「1人を殺せば殺人者だが、100殺せば英雄になる」と言う言葉を残しています。同じ意味ですが、個人が殺人を犯せば罪になりますが、国家が殺人を犯しても罪を問われません。戦争での大量殺人が正当化されるのは絶対におかしいことです。力が正義をねじ曲げ、合ってはならないことを正当化する。これは、今の日本の大企業にも当てはまるのではないでしょうか?


例えば公害という言葉がありましたが、この言葉はあきらかに間違いです。毒をばらまいたのは企業であって、一般人ではないからです。言い換えるなら企業害です。日本だけではなく世界には、大企業害が溢れています。だからこそ、害をなす企業が非常に腹立たしいのです。その上、人に害をなしながら上げた利益を独り占めし自慢されてはなおさらです。


ブルーレイとHD-DVDの在り方に大きな疑問を感じます。なぜなら、それらがユーザーの利益をまったく無視して生まれているからです。HDMIによるデジタル映像接続が美しいとメーカーは説明していますが、それは必ずしも正解とは言えません。コンポーネント接続とHDMI接続では、理論的に映像が劣化しないはずのHDMI接続の方が、現実では遙かに映像が大きく劣化することがあります。10m以上の長さがある安物のHDMIケーブルを使ってみればわかります。映像が悪くなるを通り越して、映像が出なくなることすらあるのです。それは、HDMIケーブルの形状や規格が高画質と高音質を伝送するのに最適ではないからです。しかし、メーカーは最新のHDMI規格が最高のように宣伝して譲りません。伝送中に映像と音声が著しく劣化するHDMI接続では、実際問題せっかくの高画質、高音質も台無しになることが多く、HDMIで音声を送ると音が思いっきり悪くなると言うのに、そんなことはまるで説明していません。HDMI接続で聞く音は、最悪です。ケーブル一本でこれほど音が悪くなるのか!と驚くほど悪い音です。もちろん、家庭用のTVとAVアンプならそれで良いのかも知れませんが、高級AV機器には絶対に(特に音質では)ふさわしくないのがHDMIによる音声のデジタル接続なのです。

それでも、なぜメーカーは頑なにHDMI接続にこだわるのか?それは、ダビング防止のためです。映画のコンテンツを持つディスニーなどの映画会社がソフトをダビングさせないために、それだけの理由でHDMI接続を強いているのです。本来、夢や優しさを売り物にしているはずのディズニーですら、こんなに自己中心的なのです。こんな横暴は、私には我慢できません。映画ファン、AV家電ユーザーへの愛情が欠片も感じられない。そこに見えるのは、大企業のエゴだけです。


わたしがブルーレイプレーヤーに目を向けない最大の理由は、見るべきソフトがないことです。ブルーレイ(DH-DVD)の普及には、コンテンツ(ソフト)が整うことが重要だと言うことには異論はないと思いますが、残念ながらソフトはまず普及しないと考えられます。
なぜなら、ブルーレイ(HD-DVD)のソフトが、従来のDVDと同等の価格で売られることが考えにくいからです。現在、最も安いDVDソフトは¥680程度で販売されています。¥1980用意すれば、かなり多くのタイトルが入手できるでしょう。これに対し、ブルーレイのソフトは¥4000以上します。開発費回収と当然より大毛な儲けをメーカーが狙っているので、ソフトは高くなります。高画質だから高くて良いとメーカー側は、考えているのでしょう。しかし、気に入った映画のソフトを買いに行ったとして、タイトルあたり2~4倍もの差がある高額なソフトを買う人がどれくらいいらっしゃるのでしょう?そんなん高いソフトが、そうそう売れるとは思えません。


もし、将来的にブルーレイのソフトが値下がりしても、それに追従してDVDソフトはさらに安くなるでしょうから、両者の価格格差が未来に小さくなるとは考えにくいのです。パソコンのメディアとしても、ブルーレイ(HD-DVD)の20Gバイトでは、中途半端です。250Gバイトのハードディスクが1万円そこそこで十分手に入る状況で、パソコンのメディアとしてそれらが大規模に普及することはあり得ません。だから、私はブルーレイ(HD-DVD)は、
普及しないと私は予想するのです。もし、この私の予想が当たって企業の思惑通りに市場が動かなければ、ある意味痛快です!だって、ハイビジョンはエアチェックすればいくらでも見られるのですから。


しかし、ブルーレイ(HD-DVD)の普及に反対する私の真意は、別なところにあります。現在、DVDプレーヤーやAVアンプに搭載されているIC(これらの動作にはICが不可欠)には、安くて画質音質の優秀なものが沢山ありますが、ブルーレイ(HD-DVD)などの新企画が導入されると、それらのこなれた良いICが使えなくなるのです。これらに変わる新企画のICは、従来の製品よりもいろいろな意味で制約を受ける(コピー防止や、HDMI対応など)ため、画質音質が保てるかどうか?疑問です。なぜなら、新しい規格が先に述べたように音質、画質を優先して決められたものではないからです。結果として、ブルーレイやHD-DVDを取り入れたDVDプレーヤーやAVアンプが従来のDVDソフトを現在の音よりも良い音質で再生できるか疑問が生じます。仮にすべての接続がHDMIに変えられてしまったら・・・。考えるだけでもゾッとします。もし、そんなことが起きたならDVDソフトの音質は、今より悪くなってしまう可能性の方が高いのです。使いもしない新機構が搭載された結果、価格が高くなりDVDの画質音質が悪くなってしまったら、それこそAV機器の退化に他ありません。

もうすでにスタートしてしまったので後には戻らないでしょうが、少なくとも今あるDVDソフトは今後もより高音質、高画質で楽しみたいものですね。もちろん、今後ブルーレイが普及してすべてのAVファンが安くその恩恵にあずかれるようになったなら、それはそれで喜ばしいことですが。

遍く企業が人々に恩恵を与えることを優先するなら、世の中はきっともっと住みやすくなり、幸せな人が多くなるでしょう。国家が国民の幸せを何よりも優先して考えるなら、他国を責めてまで自国の利益を優先しようとしないなら、世界はもっと幸せになるでしょう。それが叶わないことだとしても、企業はせめて自社で働いている社員の面倒くらいきちんと見るべきです。決して他人(他企業)から搾取することなしに。


100万に殺して英雄になるよりも100万人を救って英雄になる方がずっと難しいと分かっていても、難しいことだから、力のある国家と企業にその実現を望むのは、間違っていないはずです。そういう世界を子供達に生きて欲しいと願うのです。

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