逸品館メルマガ059「AIRBOW 新型CDプレーヤー製作報告」

今日の話題は、AIRBOW最新モデルの製作報告です。

メーカー標準価格で10万円を超える国内メーカーの高級CDプレーヤーのほとんどはCD/SACDコンパチになっています。その例に漏れず、AIRBOWの現在のCDプレーヤートップモデルSA8400シリーズもCD/SACDコンパチです。でもお客様からは「CD専用の高音質プレーヤーを作って欲しい」という声が多く寄せられます。そこでMarantzから新発売されたCD専用プレーヤーCD6002をベースとし発売とほぼ同時期に、それ以上は要らない!と納得していただけるような、高音質CDプレーヤーを目差し、新製品の開発を開始しました。

改良で最も苦労したのは、この製品のDACで変換されたアナログ信号の増幅を行う部分に搭載されているマランツ独自の[HDAM]回路のチューニングです。通常、多くのCDプレーヤーでは、この増幅はオペアンプと呼ばれるICで行われているのですが、マランツの製品のほとんどには、彼らが[HDAM/Hyper Dynamic Amplifier Module]と名付けた、ディスクリート構成の贅沢な回路が投入されています。そして驚くべきことに彼らは、CD6002という低価格のプレーヤーにもこの[HDAM]回路を投入してきたのです。

もし、この部分にオペアンプというICが使われているなら、互換性のあるICを試して交換することで、割合簡単に音が良くできるのですが、ディスクリート回路が使われていると交換可能な部品の数が飛躍的に増えるため、その改良に膨大なテストが必要になります。結果は、時間とコストはかかりましたがオペアンプでは、出せない音を出すことに成功しました。

私が製品をチューンナップするには、いくつかのパターンがありますが、このCD6002の改良では、まず電源部分の改良から取り組みを開始しました。ACから必要な電圧のDCを取り出す電源平滑回路で交換可能な部品を選び、先入観を捨てて交換可能なパーツのすべてをテスト。次に、CD読み取りメカ~デジタル復調回路をPS3001/KAIに繋いでデジタルアウトの音質をチェックしながら、チューンナップ。それぞれが完全に意図する音質に到達したことを確認して、最後に[HDAM]回路を含むDAC部分のチューンナップを行いました。

価格や外観からは、比較的簡単に見えるCD6002ですが、このようにチューンナップ可能な箇所が非常に多かったため、開発には予想以上の時間と労力、コストがかかりました。しかし、妥協を許さない徹底的な検討とテストによってCD6002は、AIRBOWのCD専用プレーヤートップモデルとして納得できる高いレベルの音質に生まれ変わりました。

さらに、1ヶ月以内の発売を目差し、同時期に開発を進めていた「Marantz製品専用交換脚(オリジナルの脚とトレードで交換できる高音質インシュレーター/高音質脚)」もほぼ完成し、AIRBOWチューンナップ製品としては初めて「高音質でかっこいい!オリジナルの脚」を採用した、隙のない納得のCD専用プレーヤーが誕生しました。予定販売価格は、12万円(税込)。販売開始は、11月20日頃を予定しています。

現在、最終チェックのためPS3001/KAIと組み合わせてデジタル/アナログの音質を徹底チェックしています。すでに、プロトタイプが完成してから連続で3週間以上もチェックを続けていますが、私の感想は「素晴らしい!」の一言に尽きます。何がそんなに素晴らしいのか?それは、先号のメルマガでお伝えした「音楽を脳(心)に正確な情報として伝える能力」です。

3号館(リビング・リスニングルーム)にあるすべてのスピーカーをこのセットで鳴らしてみましたが、どのスピーカーからも納得の音が出ます。細やかで、周波数レンジも広く、滑らか。音楽的な表現力に富み、癖がなくストレートにディスクに収録された音楽が心に伝わる音。もちろん、これよりも質の高い音は、いっぱいありますが、音楽を脳(心)に伝えるための「正確さ」という意味では、このセットは抜群の能力を持っています。音楽を心地よく聴くためなら、多分これ以上の音質は不要なはずです。(そんなことは、過去に何度も言ってきましたが、中でも今回は非常にレベルが高いと感じます)それくらい気に入って毎日聞き惚れています。もちろん!電源ケーブルは、付属のままです。接続ケーブルも、標準的なものしか使っていません。それで、この音が出せるのはすごい!と思い
ます。音楽を聞くために最高にベーシックで最高に心地よい音。この音を是非聞いていただければと思います。

話は変わりますが、今日で[2007大阪ハイエンドオーディオショウ]は、終了しました。来週の11月10日11日の二日間、同じ場所で[オーディオセッション2007]が開催されるのは、ご存じでいらっしゃいますでしょうか?
http://www.denden-town.or.jp/press/nasa.html

よろしければ、その機会にでも3号館にお立ち寄りいただいてPS3001/KAI+CD6002(改良モデル)の音質をご評価頂ければ幸いに存じます。セットで20万円を下回るCDとAVアンプのセットですが、[オーディオセッション2007]でお聞き頂ける最高のサウンドにも勝とも劣らない、心地よい音で音楽をご堪能頂けると自負してお待ち申し上げております。

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