ヨーロッパ旅行(5日目:2008/04/04) Sonus faber見学

日は、いよいよこの旅の最大の目的であるSonus faber(ソナス・ファベール社)への訪問です。どんな会社だろう?興味津々の私を迎えてくれた入り口は、期待に違わずお洒落でした。社名のSonus faberの文字が外側からではなく、内側から見たときに表になるのが不思議だったのですが、その理由を尋ねる機会には恵まれませんでした。左はいかにもイタリアらしい、Sonus faber社正面玄関です。Sonus faber Snail

入り口に続く廊下には、その存在を始めて知ったSonus faberの最初の作品であるSnail」が展示されています。「Snail」は、長さと角度が調整可能な左右の“腕”の先に2Wayスピーカーが、中央の箱の部分にウーファーが取り付けられた超大型のミニコンポのようなスピーカーです。いわばソナス・ファベール版“パラゴン”でしょうか?良い意味でアマチュアライクでユニークなその形状と高級家具のような仕上げから、Sonus faberのブランドとしての生い立ちが感じ取れます。廊下にはSnail」に続きSonus faberの現行モデル製品が展示されています。

一旦、廊下を後戻りし階段を上がった2階の会議室の壁沿いに歴代のSonus faberスピーカーが展示されていました。

歴代のSonus faberのスピーカー

Sonus faber 真空管アンプ

対面の棚には、逸品館が全国で最も多く販売した初代「Minima」(オリジナルモデル/250set以上を販売、現在逸品館で独自のオーバホールサービスを実施中)とその横に小型の真空管アンプ(Sonus faber製品)が展示されていました。このアンプもSnail」同様見るのは初めてです。

Sonus faber 組立Sonus faber 本社Sonus faber本社では、製品の設計から組み立てから検査出荷まですべてが一貫して行われています。室内は製品の色合わせや傷を見つける目的も兼ねてふんだんに天然光が取り入れられ、大変明るく清潔です。驚いたのは、空気清浄の目的で室内に竹が大量に植えられていたことです。

Sonus faber 開発室

工場を一通り見学した後、約30畳ほどの明るい部屋に案内されました。この部屋では、Sonus faberスピーカー全製品の設計と音質テストやネットワーク調整などの開発に関するすべてが行われています。Sonus faber心臓部と言える開発室です。
写真は、スピーカーの音響特性を測定するベンチです。アームの先のマイクは、写真には写っていませんがパソコンに繋がっていて、リアルタイムで測定と前後比較が行えます。奥に見える斜めのパネルの左側の隙間が、開発室の奥のヒアリングルー
ムへ続く通路への入り口です。

Sonus faber ヒヤリングテストルーム 1Sonus faber ヒヤリングテストルーム 2Sonus faber ヒヤリングテストルーム 3

本社見学の締めくくりとしてこのヒリングテストルームでelipsa(エリプサ)を聞かせてもらいました。
この部屋は、写真からもわかるようにかなりの数の吸音パネルが投入され反射やエコーの少ないデッドな環境です。定められたスピーカー前方中央のリスニングポジションで音楽を聴きましたが、はっきり言って3号館に設置している
elipsaには、遠く及ばない堅くて歪みっぽい音でした。
その原因は、原音追求のため余計な反射を消していた昔の3号館がそうだったように「吸音しすぎていること」とすぐにわかったので、試聴を受け持ってくれた開発の担当者に「パネルを動かして良いか?」と尋ねると「なぜ?」と返されました。そこで「音楽を楽しむには、この部屋の状況がデットすぎる」と答えると「確かにその意見は正しく、パネルを取り去ると音楽はもっとハッピーに聴ける」という答えが返ってきました。開発目的のためにあえて部屋をデットにしているという意味の答えに十分納得できたので、パネルは動かさず試聴を終了しました。
もし、雑誌か何かのメディアに「
Sonus faberの試聴室の音はかくかくしかじか・・・素晴らしかった」なんて書いていたらそれはちょっとおかしいと思ってください。なぜなら、その試聴室の音は彼らが「音楽を聞くためのベストサウンド」ではないからです。

今回の見学では、この本社だけではなくパーツの製造工場(エンクロージャを作っている木工工場)も含めSonus faberのすべてを見せていただくことができました。それらをブログにするには、あまりにも長すぎるので(今回のブログでも十分長すぎますが)後日詳しいホームページを作る予定です。イタリアの素晴らしい自然と美に育まれた世界屈指のスピーカーSonus faberの本社は、私の期待以上の素晴らしいものでした。

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