昨日は、親父の希望で「あまり釣れそうもない」和歌山の加太に鯛釣りに出たのですが、結果はやはりボウズでした。潮が悪いのか?腕が悪いのか?とにかく、大阪近郊の釣り場で大漁に恵まれることは、めったにありません。一番大きな理由は「乱獲」だと思います。めぼしい魚はほとんど釣り上げられていて大物は、ほとんど残っていないのではないでしょうか?
その点、来週出かける三重県賢島への社員旅行で出漁する「船釣り」は、大きな外れもなく、だいたいいつも納得できる釣果が得られます。鯛しか釣らない!という加太の潔い釣りも良いかもしれませんが、たまにしかいけない魚釣り、少しでも数多く釣れる方が嬉しい私には、海が広く対象魚類が豊富で「なんでも釣ればよい」三重県の釣りの方が合っているようです。
今朝、通勤車の中で今日発行するメルマガの内容を考えていたとき昨日出かけた魚釣りの中の小さな「一匹」を思い出しました。大型魚種が豊富な三重県の船釣りでは、捨ててしまうほどの小さな鯵(20cmくらい)のお話です。漁港に戻る時に見た「人が鈴なりの防波堤の釣り」しかできなかった学生時代は、20cmの鯵は大物でそれだけでも嬉しかったでしょう。魚は同じでも、その時の自分の状況や経験で「感動」は、こんなにも変わってしまうのです。
この「小さな鯵」のお話は、オーディオにも当てはまります。今の収入なら、CDを毎週数十枚以上買い続けることもできます。でも高校時代は、お小遣いを貯め、アルバイトをしてレコードを月に数枚買うのがやっとでした。CDとレコードのどちらを大切に思い、どちらを宝物にしているか言うまでもありません。成長していろいろな「感動」の経験をして、収入が増えて「買えるもの」も増えた私たちは「小さな鯵」を捨てていないでしょうか?こんな「獲物」はいらないと!電源ケーブル一本取って見ても数千円から数十万円までいろいろな種類があります。きちんと選べれば、高価なケーブルの方が「音は良い」でしょう。でも価格と感動は、比例しますか?
高価な代価と引き替えに得られる、高級でスムーズなサービス。それは、嬉しいことです。高級で美味しい料理。それも嬉しいことです。素早く、欲しいものが得られるという意味では、お金は、「便利なもの」だと思います。でも、何でもすぐに手に入ることが嬉しいのでしょうか?答えのわかったクイズ。回答を見ながら解くパズル。それが終わったときに得られる達成感は、どれくらい大きいのでしょう?
私の大好きなDVDソフトに「槇原敬之 THE CONCERT/WPBV-90017」があります。このDVDは、彼が麻薬取締法違反で投獄され3年近い服役の後、復帰して行ったツァー最後のライブ、最終2002年3月16日の東京厚生年金会館で行われたコンサートの様子が収録されています。コンサート中の「投獄されていた間にいろんな人に出会って勉強できた。その中で”見ようとしなければ見えてこないもの”があることを知ったと言うことはとても大きな事だった。これまで意味のない歌を歌ってきた訳じゃないけれど、これからは”意味のある歌”しか歌いたくない。今日は、ここに来てくれて本当にありがとう」という語りが、そのすべてを物語る素晴らしいコンサートの記録だと思います。このコンサートは、「THE CONCERT/WPCV10181-2」というタイトルでCDでも出ているのですが、このアルバムの中には、彼の自筆で「待っててくれてありがとう。 伝えたいことがあるから みんなの住む街に来たよ。 槇原敬之」と書かれたネイムカードが入っています。涙
もろい私など、このカードを見るだけで泣きそうになります。
彼が服役した3年間。その間、彼を信じて復帰を待ち続けた多くのファン。二つが出会い、奇跡のような素晴らしいコンサートに結実する。もし、彼が服役しなかったら?彼の服役が数ヶ月だったとしたら?果たしてこんな素晴らしいコンサートは生まれたでしょうか?やりたいことができない時間、手を伸ばしても届かないもの。そういう困難を乗り越えてこそ、大きな感動が生まれるのです。縮められたバネが大きくジャンプするように、押さえつけられた心の力が一気に解放されたとき、計り知れない大きな感動が生まれます。スケールはもっと大きく6年という長い間続いた第二次世界大戦が終結し、戦争という恐怖や抑圧から解放された、1945年から1960年にかけて「名演奏」が多いのも同じ理由です。
オーディオ製品はどうでしょう?始めて音が出たとき、SPがLPになったときまでは、オーディオの感動も右肩上がりだったように思います。大メーカーが参入し、金儲けの手段としてオーディオを利用するようになって「効率」という言葉がオーディオにも使われるようになって、効率のためにレコードがCDに変わったとき「当初のオーディオが持っていた感動」は死んでしまったと思います。そしてさらに効率を上げるためにCDが配信音源になって・・・。いまのオーディオには、宝物のレコードにおそるおそる針を落とす、その瞬間に感じられた感動は、すでにありません。
では?オーディオは、死んでしまったのでしょうか?私なりのその答えを「東京ハイエンドオーディオショウ2008 Spring」で皆様にお伝えしたいと思います。槇原敬之さん流に言うなら「伝えたいことがあるから、聞いて欲しい音があるから、東京ハイエンドオーディオショウに出展します。 逸品館(AIRBOW)」です。逸品館が最後に東京でイベントを行ったのは2002年。それから4年。逸品館の生み出す音が、どんな風に変わっているのか?効率の追求で生み出されたデジタルオーディオから、2002年のイベントを越える「感動」が取り出せるのか?ビジネスや効率という言葉を越える「感動」を一緒に探してみませんか?
☆5月9,10,11日の東京ハイエンドショウに出展いたします。
詳しい時間割と出展ブースの案内は、下記のページからご覧頂けます。
http://www.hi-endshow.jp/contents.html