現在では音楽レコーディングに無くてはならない存在のエフェクター、オーディオアンプなどに名機と呼ばれる機材が存在するように、エフェクターにも数々の伝説の機材が存在します、その中で私が特に印象深かったエフェクターを紹介します。
ローランドのRE-201スペースエコー(スペースエコー)いう機材は、エフェクターの種類としてはディレイ(エコー)で、入力された音を繰り返す、やまびこのような効果のエフェクターです。現在では電子回路に録音されたデータを正確に繰り返すデジタルディレイが主流ですが、エコー黎明期のこの機材では、テープエコーといって、エンドレステープのようなものが内蔵されていて、入力された音をテープに録音し、そのすぐ後にある再生ヘッドで再生することにより音を繰り返すものもありました。その機材で繰り返される音は音質劣化で入力された音と微妙に異なる音になり、通常ディレイの音はやまびこのように繰り返された音をさらに繰り返してゆくものなので、上書きの繰り返しでどんどん違う音になってゆくのです、その独特の音の変化の具合が、現在のデジタルディレイには無い温かみのある、とてもきらびやかな幻想的な音だったので、生産が終了した後も根強い人気がありました。
それにしても、テープによってエコー効果を作り出すというアイデアはあまりにも斬新で、当時の開発者の発送の柔軟さにはまったく頭が下がります。
現在ではそのテープエコーの音の変化さえも、デジタルでシミュレートできるようになり、名機RE-201もコンパクトな形のエフェクターとなって復刻されました(ROLAND/RE-20)、当時のルックスを大胆に取り入れたデザインはローランドのRE-201に対する敬意が感じられ、とても感動してしまいました!
もちろん現在のテクノロジーならではのエフェクターにも面白いものもあります、同じローランドのRC-20XL/LOOP STATIONというディレイは、RE201が繰り返すフレーズの長さが最大1秒程度だったのに対して、最大16分のフレーズが繰り返すことができ、自分の演奏したフレーズをディレイで繰り返しさせながら、そのループの上にさらに演奏を重ねてゆくことができ、最大11もの演奏を重ねることができるので、一人バンド演奏をライブで行うことができます。
ディレイの繰り返し音を無限に伸ばした時のフィードバック音は、まるで短波ラジオのチューニング音のようで、懐かしいような新しいような、思わず没頭してツマミをいじってしまう不思議な魅力にあふれています。