中学生の頃、ステレオタイプのラジカセがオーディオに興味を持つきっかけでした。FM放送の臨場感あるステレオ音声の驚きと感動は、今でも鮮明に覚えています。
1980年代以降、カセットテープの普及によりテープデッキが2台搭載されたWカセットが登場しダビングが簡単に行え人気を博しました。その後ラジカセの半数はWカセットタイプになったと記憶しています。
1983年、ナショナル(現・PANASONIC)からテープデッキが3台付いたモデルが登場し、コンパクトなWデッキにもう1台追加したデザインがスマートで印象的でした。品番はRX-F333 愛称:ラブコールトリプル 当時定価37,800円 赤と黒2種類の本体カラー。ラジオはFM/AMとTVチャンネル音声多重(ステレオ)1~12ch音声も受信でき当時としては豪華な装備です。1985年度にグッドデザイン賞を受賞しています。
その前後に、このトリプルカセットデッキは「テープコピーをより助長する製品」と言うことで、このモデル以外はテープデッキを3台搭載した製品はなく、大変貴重なモデルとなりました。バラエティショップで半値でたたき売っていた物を購入しました。
久しぶりに押し入れから引っ張りだして動作を確認すると、テープデッキの回転が不安定で、録音には使えない状態なのとラジオのインジケーターバーが動かなくなっていました。本体をばらしたところ、テープデッキはゴムベルトを交換すればまだまだ使えそうです。ラジオのインジケーターバーはプラスチックのベルト状のギアが折れており、これは補修で直りました。ゴムベルトが手元に無く、今すぐテープデッキを使う事もないのでそのままにしてあります。
現在、たいした音は出ませんが左右のスピーカーが離れているのでステレオ感は十分あります。ラジオの受信や外部入力からのモニターとして利用しています。
単品コンポのカセットテープデッキでもそれっきりの製品がありました。残念ながら当時の身分ではとても買えません。(今でも無理ですが)
持っていなかったのでステレオガイドで製品を確認しました。
1980年にTEACからC3Xが発売されていました。3ヘッド機で当時の価格119,000円。
同シリーズでC2X・C4Xもありました。
見た目は、一般的なカセットデッキとなんら違いはありません。特徴は、2倍速記録が出来るところです。テープ速度を4.8cm/secから倍の9.5cm/secに上げることで音質アップを図った物です。
当時結構好評だった2倍速記録機能も、コンパクトカセットテープの開発元のフィリップスからクレームがありました。フィリップスはコンパクトカセットテープの互換性厳守を条件に基本特許を無償公開していた為、勝手にテープ速度を変えては困ると言うことを
当時ラジオの番組で聞きました。テープ速度切替スイッチ部をゴムカバーで塞いで対応すると言っていました。翌年の後継モデルC3RXには当然その機能はなくなっています。
画期的と思われて出てきたが、いろいろな事情で消えていった製品は探せばあると思います。80年代はアナログ製品とデジタル製品の過渡期で興味深い製品がたくさん出回った昭和の終末に青春を過ごしました。
思い出もたくさんあります、いま振り返るとあの頃が一番、平和で楽しい時代だったかもしれません。