AIRBOWのコンポーネントステレオにLittle Cosmosと名付けたモデルがありますが、このLittle Cosmosシリーズは、私がライフワークに考えている「エントリーモデルで最高の音楽を再現可能なコンポの発売」を実現する目的でラインナップしている製品です。
1月10日にその第三作目となる、Little Cosmos3を発売開始いたしました。ベースモデルとして使わせて頂いたのは、Marantzの最新モデルCD5003とPM5003です。35,000という低価格の製品ですが、外観には上級モデルと同じ“M1(ラウンドデザイン)”が与えられ、価格を超える「高級感」を実現しています。
http://www.ippinkan.co.jp/airbow/product/others/little_cosmos3.html
そこでAIRBOWでも、従来は「パネルに金色のシール」を張り付けてベースモデルとの差別化を行っていたマーキングの手法を改め、このモデルでは「フロントパネルに直接ロゴを印字する」スタイリッシュな方法に変更しています。コストはかかりますが、外観の雰囲気を大きく向上させることに成功しました。更に、本体に貼付するPSEシールや説明書、保証書、外箱に貼り付けるシールなどの意匠も変更し「ショップの改造品」というイメージを完全に払拭した「製品」として仕上がったと自負します。価格こそ、従来モデルLittle Cosmos2の98,000(税込)から110,000(税込)へとアップしましたが、ベースモデルの価格アップ¥14,000(税別)や仕上がりの良さを考慮すると、実質的には値下げに近い内容になっていると思います。
音質は、ベースモデルの筐体の変更によって、従来のLittle Cosmosシリーズから「中低音の厚み感」が大幅に向上し、Littleとは呼べないほど「広大な音の広がり」を実現しました。音の密度感(情報量)こそ、上級モデルと比べると引けを取りますが、その広大な音場の自然な広がりと躍動感の大きさでは、内外の高級オーディオセットと比べても、なんら引けを取ることはないはずです。
特に優れているのは、「音が重なった場合の分離感」で国産の多くの製品、そしてそれらの単価100万円に近い製品ですら、近くの音と遠くの音が重なったときに「その位置関係」を適正な距離感で再現できる製品が見あたらない中、LittleCosmos3はエントリーモデルでありながら、その「距離感」を正確に再現します。歌謡曲やJAZZでは、ボーカルのバックに位置する「伴奏とボーカルの位置関係」や「それぞれの音の関係」も正確に再現します。歌謡曲になぜ「伴奏」が必要なのか?「伴奏」には、一体どのような意味があるのか?そんな難しいことを考えなくても、その「伴奏の持つ力」が自然に体に伝わります。
圧巻なのが「シンフォニーの再現性」です。シンフォニーには、なぜあれほど「数多くの楽器」が必要なのか?それぞれの楽器の音が「ぶつからずに、向こう側の音が透けて見えるように折り重なった」とき、それがどれほど美しいハーモニーに昇華するのか?楽器を沢山使わなければ得られない、交響曲の醍醐味がたった11万円のコンポで余すことなく完璧に再現されます。
手練れのオーディオマニアがそれを聴けば、音楽を楽しむためにオーディオセットをどう鳴らせばよいのか?その大きなヒントになるはずです。音が出た瞬間にスピーカーの存在も、そしてコンポーネントの存在も完全に消えて、その場がコンサートホールやライブ会場に変わってしまう。Little Cosmosの名前の通りに、目の前に「小さな宇宙」が出現する。真空管でもトランジスターでもなく、アナログでもデジタルでもなく、マシンの存在感を全く感じさせず、その場に音楽だけを出現させ得るLittle Cosmos3。その音は軽く、体を柔らかな風のように吹き抜けて行きます。そして「良い音楽を聴いた」という記憶だけが、心に残るのです。
このLittle Cosmosと同時に企画してきた更に小さなコンポに「Singing Box」シリーズがあります。残念ながら適当なベースモデルに恵まれず「Singing Box」シリーズは、現在ラインナップされていません。その「初代Singing Box」のために私が手作りでaudio-pro IMAGE11を改良して生み出したAIRBOW IMAGE11/KAIシリーズは、生きながらえて(一旦生産完了しましたが、再生産に成功しました)現在も大ヒットを続けています。
一番安い価格帯の製品、エントリーモデルやアクセサリーにも大きな力を注ぐ。一番価格が安いモデルにこそ、音質を落とさないコストダウンのため最大のノウハウを駆使する。それは、設立当初から変わらないAIRBOWの基本理念です。失敗しない、後悔しない「製品選びのお手伝い」を全力で続けている逸品館共々、本年も宜しくお願い申し上げます。
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