舞台は、都内の高級ホテル「ホテルアバンティ」。物語はすべて、その中で展開します。
大晦日、年をまたいだ2時間16分のリアルタイムのドラマ。
ホテルアバンティで働くたくさんの従業員達。総支配人、副支配人、アシスタント・マネージャー、客室係、ウェイター、ベルボーイ、ホテル探偵、表には見えない隠れたセクションで働く人々。パーティーのショーに出演するためにやって来る芸人達。そして様々な「訳あり」の宿泊客たち。汚職議員、自殺願望の大物演歌歌手、コールガール、家族の反対を振り切って愛人に会いに来た会社社長、訳ありなフライトアテンダント、副支配人の別れた妻………。
その夜、彼らに降りかかった、信じられないような災難。そして奇跡。迷路のようなホテルの中で、それぞれの物語は同時進行で進んでいきます。
あるエピソードの主人公が、別のエピソードでは脇にまわったりと、物語は縦横無尽に絡み合います。そして物語は、登場人物たちが勢ぞろいする、クライマックスのカウントダウン・パーティーへ。果たして、無事カウントダウンパーティーは開催できるのだろうか…。
三谷幸喜監督のオリジナル・コメディーです。
この群像劇として脚本の妙と、長回しを多用した三谷幸喜監督の演劇的な演出とが、この作品では非常に効果的に溶け合っています。上映時間は2時間16分ですが劇中もカウントダウンまで残り2時間16分。つまりリアルタイムに事が進行しています。
そして「1カット、1シーン」という長回し。カメラはずっと回っているので、メインで写って演技してる人達の後方、画面の至る所でサブキャラクター達が色んな人間模様を繰り広げています。つまり1つのカットに色んな話しが進行してるわけです。1度見ただけでは全部分からないかもしれません…。
クライマックスのカウントダウンパーティーに顔を合わせる人々は、ほんの2時間前までは、人生に迷い、自分の仕事に迷い、閉塞感に窒息しそうになっていました。しかし、大晦日の2時間16分の出来事を経て、それぞれが生きる勇気を取り戻します。何かを成し遂げた人、真実の愛を見つけた人、夢を取り戻した人。ダメダメだった2時間前の人生が輝き始めました。
もちろん三谷幸喜監督作品おなじみの豪華キャストが勢揃いです。観る人も幸福で包み込む映画です。お時間よろしければ是非ご覧下さいませ。