2月4日に、弊社オーディオアドバイザーの松田君が「実験 eneloop(エネループ)をAIRBOWの電源タップで充電すると音質が良くなるか?」と題するブログを掲載し、「これまで学んできた電気の理論では解決できないオカルト的で信じがたい現象です。」と締めくくりました。
確かに現象だけを考えると「オカルト的」に見えるかも知れません。しかし、視点を少し変えるとこの現象を「科学的」に解明できると考え、私なりの「推測」をお伝えしたく、筆を執りました。
この現象を解き明かすには、「エネルギーの質」ではなく「エネルギーの生成方法」に注目することが大切です。
ご存じのように、ほとんどの蓄電池は「物質の化学変化」によって電力を生み出します。化学変化を利用する充電池では、放電と充電で全く正反対の反応が起きます。最もポピュラーな充電池「鉛蓄電池」を例にあげると、放電時は電極の鉛が電解液中に溶け出し、充電時は電解液中に溶け出した鉛が電極でもとの鉛に戻るという可逆的な反応が繰り返されています。<
充電池で起きている化学反応を、「水と氷」に例えて簡単に説明します。
充電を「水を凍らす」、放電を「氷を溶かす」、と考えて下さい。満充電とは、「水がすべて氷になっている状態」、完全放電時は、逆に「氷がすべて溶けて水になっている」と考えて下さい。水はゆっくりと冷却すると「中に気泡のない透明な綺麗な氷の結晶(かち割り氷)」になります。しかし、急激に冷やしたり、振動を与えながら冷却すると「内部に気泡が入った、曇った氷(冷蔵庫の氷)」になります。
充電-放電の状況は「が凍る-溶ける」とは、異なる化学反応ですが、冷却の方法で「氷の状況」に影響が現れるように、「充電時の方法」によって、電池の「充電状態」が変わることは十分に予想できます。
鉛電池の場合「急速充電」を度々行うと、充電池を痛めることが知られています。同様に、あらゆる充電池は「充電方法」によって寿命が変わったり、充電される電気の容量(エネルギー量)が変わります。身近な例では、携帯電話の充電池も充電方法で寿命や容量に大きな差が生じます。
エネループと鉛蓄電池では、使用されている物質と電解液は異なりますが、物質が可逆的な反応を行うのはどちらも同じです。鉛電池では、充電時の「電圧」や「電流」をコントロールしなければ、満充電に出来なかったり、電池そのものを痛めることがよく知られていますが、エネループも同じです。
ここで再び「水-氷」の例に戻りますが、ゆっくと安定した冷却で水が綺麗な氷になったように、安定した充電状況では「充電池内部に綺麗な化学変化」が起きて「スムーズに充電される」と考えられます。逆に不安定な充電状況では「汚い化学変化」が起きて「エネルギーが充分に蓄積されない」場合が考えられます。
エネループ内部でも、AIRBOWのタップを使うことで充電器に綺麗な直流が供給され、「化学変化がスムーズ起き」、そうでない場合には充電器の出力が不均一となり、充電電流が乱れて「化学変化がスムーズに起きない」と考えるのは、無理のない考え方だと思います。
スムースな化学変化によって充電された電池は、放電するときも「スムースで綺麗な反応」による「綺麗な電流」が得られるはずです。そうすると「AIRBOWのタップを使って充電した電池」の音が良いという結果とのつじつまが合います(この考えならラジコンカーマニアの間で噂になっている「充電器によって電池から得られるエネルギー(パワー)」が変わることも説明できます)。
充電器にタップを使うだけで「音が良くなる」という「表面的な現象」だけを見れば、それは「オカルト」的に感じられるかもしれません。しかし、そこで起きている「事実=原子や電子の振る舞い」にまで目を向ければ、説明できることもあるのではないでしょうか?
この考えが正しいかどうか?それは確認していないのでわかりません。しかし、オーディオで起きる「様々な謎」を科学的に考え、答えを導き出そうとすることは、私にとって想像力をかき立てられる、とても楽しい遊びです。
今回の実験で明らかになったように、オーディオにまだまだ「謎」は多くあります。しかし、それを「オカルト」として放置するのではなく、可能な限り理解しお客様に説明する努力を続けています。そして私たちが作っているAIRBOW製品は、可能な限りこのような「科学的かつ合理的な考え」をより多く取り入れ、お客様に理解していただけるコストパフォーマンスの高い製品に仕上げるように努力をしているのは、いうまでもありません。
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