アメリカの正義とは?映画「ワールドオブライズ」を観た

dlvy18994_j1リドリー・スコット監督の「ワールドオブライズ」を観ました。

アラブ諸国を舞台に対テロ阻止対策のため諜報活動を行うアメリカCIAの工作員(レオナルド・ディカプリオ)がボス(ラッセル・クロウ)の指令に従ったり、背いたりしながらテロ組織のリーダーを追い詰めるアクション映画です。

スパイを送り込んだり、他の諜報機関と連携を取って任務を遂行しますが、居所がわからず、なかなかうまくいきません。そんな中で相手をおびきだす作戦に打ってでますが、これが良いも悪いも効き目のあるお芝居(うそ)で、その結果命がけの作戦となってしまいます。見方さえも欺くうそは世界を救えるか・・・という騙し合いの駆け引きがおもしろく描かれています。協力体制の諜報機関同士でも巧みにうそをついて任務を遂行しますが、同じCIA同士のボスと部下の間でも本当のことは伝えられず、騙されながら利用されます。

協力関係にあるヨルダンの諜報機関のリーダーがいいます「私と組みたいのならうそをつくな、私を騙すな。」相手を尊敬し信頼関係を築いて行こうとするCIA工作員と、相手を信用しない傲慢な姿勢で協力を強要するボスとの間で複雑な事情が重なっていきます

原作はワシントンポストの特派員だったデイビット・イグネイシアスの小説「BODY OF LIES」です。中東で30年間取材を行い、原作は内部情報に基づいて描かれています。無差別テロは許せない卑劣な犯罪行為ですが、それを行うテロリストのバックボーンにあるアラブ人やイスラム教に対して、キリスト教圏であるアメリカや西側諸国の無知や無関心のために中東諸国の人々を誤解や軽視しているところが多いのではないかと懸念し、現代のアラブ世界を映し出しています。最先端のコンピューターやデジタル機器、無人偵察機などアメリカや同盟国では当たり前のハイテク技術で諜報活動を行い、この領域の中では何でも監視できる環境にあっても、この監視網をかいくぐりテロ活動、伝達、宣伝活動を行うテロリストの巧妙な戦術を甘く見てはいけないというメッセージと共に、アメリカは正義を遂行しているという傲慢な意志に対する皮肉と警告を上手に描いています。


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