今回はお薦めのポップスのCDをご紹介したいと思います。
よくご存じの方も多いかと思いますが、リサ・ローブの「ファイアー・クラッカー」です。
リサ・ローブはアメリカ・テキサス州ダラス出身の女性シンガー・ソングライターで、1994年にリリースしたシングル、「STAY」が世界中で大ヒットし、現在も活躍するアーティストです。
でもなぜ今さらリサ・ローブなのか?と思われるかもしれませんが、単純に好きなアーティストであるのはもちろんですが、実はすごく音が良いんです。
それもそのはず、セカンドアルバムの「ファイアー・クラッカー」はミックスダウンに巨匠ボブ・クリアマウンテンを起用、またマスタリング・エンジニアには「世界一耳のいいエンジニア」と呼ばれるテッド・ジェンセンを起用しています。
ボブ・クリアマウンテン(以下ボブクリ)は世界中の良い音を求めるアーティストやプロデューサーに人気のあるミキシング・エンジニアで、音楽業界ではボブクリがミックスしたというだけで一聴の価値のあるアルバムと言われる程、信頼のあるエンジニアです。手掛けたアーティストは、TOTO、ザ・ローリング・ストーンズ、KISS、ボンジョヴィ、エアロスミス、ポール・マッカートニーなど、主にポップス、ロック系のアーティストのミックス、プロデュースをしています。またボブクリが好んで使っているモニタースピーカーのYAMAHA NS-10M-STUDIOは彼の影響で世界中のレコーディングスタジオに常設されています。
テッド・ジェンセン(以下テッド)もまた、世界中の音にうるさいアーティストやヒットしなければ困るレコード会社の最後の神頼み的な存在です。テッドはマーク・レビンソンの元でオーディオ・エンジニアとして働いた後、1976年からはスターリング・スタジオでマスタリング・エンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。手掛けたアルバムはイーグルス、ビリー・ジョエル、ノラ・ジョーンズ、フォール・アウト・ボーイ、マドンナ、坂本龍一、宇多田ヒカルなど、優秀録音盤のブックレットのマスタリング・エンジニア欄にテッドの名前を見つけるのは難しくありません。みなさんのお気に入りのCDの中にもきっとテッドの名前が載っているはずです。
話を戻してリサ・ローブの「ファイアー・クラッカー」ですが、ポップなボーカルとアコースティック・ギターに、典型的なバンド編成によるポップスといった感じで、非常に耳馴染みの良いアルバムです。タイトなドラムに輪郭のきれいなベース、ピッキングのニュアンスの鋭いギターに、艶やかで伸びのある、あくまで等身大のボーカルが魅力的なアルバムです。ぜひ一度聴いてみてください。