「女子部」という言葉を使うのもハズカシイ、最年長のテンちゃんでございます。
前回に引き続き、何度読み返し返しても面白い「アタリ!!の一冊」第2弾をご紹介します。
柴田よしき『聖なる黒夜』上・下巻
新宿の高級ホテルの浴室で春日組の大幹部、韮崎が殺された。
対抗組織、神崎組による暗殺の線で捜査が開始されたが、現場の状況から次第に暴力団の抗争事件ではないと判断される。
犯人は何者か?動機は?
韮崎殺しの捜査を縦軸に、石橋を叩いても渡らないほど丹念な捜査で「石橋の龍」と呼ばれる捜査一課・麻生龍太郎、鋭利な直感と強引な行動力でヤクザもドン引きの迫力でありながら、タイリッシュでダンディな四課・及川、殺された韮崎と企業舎弟・山内の4人の男達の過去と四角関係的に倒錯する男同士の「恋愛感情」、彼らを取り巻く女達、警察やヤクザ社会を横軸に次第に明らかになってゆく真実。
私は柴田よしきは宮部みゆきに匹敵する女性作家と思っているのですが、この作品もまずストーリーが抜群に面白い!!
上・下巻の長編で読者を引っ張り切れるだけの緊張感が持続しています。
そして警察やヤクザがホモセクシャルという、ひとつ間違えばケレン味狙いだけの小説になってしまうところをキャラクター造形、人物同士の関係、物語を構成するひとつひとつの事柄、すべてが圧倒的な筆力で緻密に描写されているので不自然感がまったく無く、最後まで一気に読めてしまいます。
麻生と及川それぞれの部下達や山内とムショで同房になる田村や北村と言った周辺人物の描き方も物語にリアリティ感を加えており、いいですね。
3年に1回、整理する文庫本の山の中から10年間「居残り」を勝ち得ている大推薦の作品です。
これが面白かった方は是非「緑子シリーズ」も買いましょう!!