2003年にリリースした「Reality」から早7年。
新作が待たれるデヴィッド・ボウイですが、70年代から一貫して2~3年に一作のペースで作品を発表してきた彼としては今回のインターバルは異例ですね。
しかし80年代の低迷期を経て93年の「Black Tie White Noize」でソロ復活して以後、この「Reality」に至って創作力・セールス両面において90年以降の頂点を極めた感があります。
次に発表する作品は以後の数年間、すなわちボウイの年齢を考えればおそらくセールス面での成功も射程に入れて世に問うテーマとしては最後になる可能性があります。ゆえに彼はこの数年間、長~い休暇を楽しみつつ、これまで以上に時代の空気と自己の内部を凝視している段階ではないかと言うのが私見です。
前回の Reality Tour がいかに充実したものだったかを知っていれば、次作のボウイの背景がより深く正確に理解できるのではないでしょうか。
その2003~2004年 Reality Tour の絶好調ぶりが如実に表れているセットリストを前編・後編の2回のブログで解説させて頂きます。
ツアーは2003年10月7日デンマーク・コペンハーゲンからスタート。10,11月はヨーロッパ各国を廻り(ドイツ、フランスは飛び飛びにそれぞれ7公演&8公演。母国イギリスはロンドン、バーミンガム、マンチェスターの3都市で5公演。アイルランド2公演、スコットランド1公演を入れて8公演。他の国は首都での1公演のみ)、行った国は順にデンマーク、スウェーデン。Rebel Rebel はこのしょっぱな2公演ではまだオープニングではなく、前半のヤマ `Heroes` の前で演奏した後、しばらくセットからハズしていました。
続いてフィンランド、ノルウェー、オランダ。ここまで最初の5公演のオープニングは New Killer Star でした。2曲目は Fame か Modern Love で、続いて Cactus から Afraid もしくは China Girl。次は大好きなドイツに入ってNew Killer Star だと今ひとつオープニングの盛り上がりに欠けると感じたのか、ドイツ2日目はオープニングをなんと The Jean Genie に変更!!(オーディエンスはビックリしたでしょうね)
さらに続いて New Killer Star~Fame~Cactus~Fall Dogs Boms The Moon と言う流れ。そしてこれまた大好きなフランスに入り、その2日目はまたオープニングを New Killer Star に戻し、今度は Pablo Piccasso~All The Young Dues(初登場)~I`ve Been Wating For You(これも初登場)~Fame~Cactus と大胆に序盤のセットを変えてきました。
そしてイタリアに移り、ここで初めて Rebel Rebel~New Killer Star と言う以後不動のオープニングになりましたが、出だしはまだあの派手なギターイントロじゃなくて Heathen Tour と同じ、2小節目の静かなイントロから始まるパターン。続いてスイス、またドイツ。このあたりまでは Reality、The Man Who Sold The World、Life On Mars、Five Years、Hang On To Yourself 等の以後の定番曲はやっておらず、Fall Dogs Boms The Moon、The Motel、Loving The Arien、5:15 The Angel Have Gone、Never Get Old、Changes、Bring Me The Disco King、Let`s Dance、Pablo Picasso と言った曲が多用されていて、前年のスタイリッシュで落ち着いたムードのHeathen Tour のなごりが尾を引いている感じ。ボウイのヴォーカルが曲調にぴったりの「Reality」アルバム収録曲、ジョージ・ハリスンのTry Some Buy Some はツアー序盤で数回やっただけですね。ライブだと他のボウイの曲との繋がりがイマイチですから仕方ないですね。
そして次がオーストリア・ウィーン。Reality はツアー初日に演奏して以来、この日久々の復活で以後は定番曲に定着(同じ都市で連続2公演の時はどちらか1日だけで演奏)。
月が11月に変わってまたドイツ。ツアー15公演目のこのドイツ公演からオープニングが例の派手なギターイントロでの Rebel Rebel になりました。そしてベルギー、再度フランスに戻って5公演。バンド紹介もまだ最後に「ゲイル・アン・ドーシー!!」でワァ~っと盛り上げて Under Pressure にいくパターンじゃなくて Ashes To Ashes が終わったところで普通にやっています。
次はヨーロッパツアー最終の地、母国イギリスに上陸。まずはマンチェスター、バーミンガムで3公演。そして色々な面が整理されステージも固まり昇り調子なこのタイミングでアイルランド・ダブリン2日目をオフィシャルDVD収録。
普段、「ボウイも守備範囲のひとつ」くらいでさほどファンでない人も安い価格でリリースされたのでご覧になった方も多いのでは?70年代の無機質な印象か、逆に80年代のMTVスター化したイメージしかない方はクリエイティビティばりばりのクールなステージングと明るくフレンドリーな様子にに驚かれたかも知れません。(しかしラスト近くの Five Years で歌詞をトチってました・笑)
ここまでは Sunday は前半の雰囲気リセット役、Heathen はアンコールでと言う風に別個に2曲ともやっていましたが、以後 Heathen はずーっとカット。オーストラリア~日本ツアーで2曲くっつけて演奏する形で復活させるまで封印でした。
そしていよいよヨーロッパツアー最大のヤマ場であるロンドン、ウェンブリー・アリーナ2日連続公演を経てスコットランドでヨーロッパ最終日を迎えます。ここまで2ケ月で32公演。1週間ほど休暇を取って12月から1回目のアメリカツアーに突入します。
ツアー前半戦のヨーロッパ・ラウンドはこの RealityTourらしい覇気に溢れた明るくアッパーなスタイルではありますが、ノリにノッてる感が出てくるのはアメリカツアーからです。
あっと驚くナンバーが登場します。
では次回、アメリカ~極東~2回目アメリカツアーに乞うご期待!!