沖縄が観測史上最速で梅雨明けしたという記事をインターネットで見かけました。関係があるのかどうか分かりませんが、大阪では先ほど雷鳴がとどろいて、ちょっと肝を冷やしました。落雷はオーディオ機器の大敵だからです。落雷による機器の故障を避けるには、コンセントを抜いておくのが一番確実です。節電効果も期待できるのでお薦めです。
しかし、オーディオ製品のスイッチを切ると「音が悪くならないか?」、「故障の原因にならないか?」この二点が心配事になると思います。
この問題に私の知る限りでお答えしようと思います。
◎「音が悪くならないか?」
機器にもよりますが、経験的に通電開始から音は徐々に良くなることからウォーミングアップは存在すると思います。ウォーミングアップに必要な時間は早いもので15分、遅いものは数時間必要とするようです。しかし、残念ながら機器のスイッチを入れっぱなしにしておくだけではウォーミングアップは完全ではありません。なぜならばスピーカーもしば
らく音を出さないと音が曇ったり、細かい音が出にくくなるからです。十分に使い込んだスピーカーや小型スピーカーは、ウォーミングアップなしでもいい音が出るのですが、新品からあまり鳴らしていないスピーカーや、数週間聞いていなかった大型スピーカーは、ウォーミングアップ前後でかなり音が変わります。このような場合も音の出し始めから15分程度ですっきりと霧が晴れるように音が良くなりますが、それがスピーカーのウォーミングアップです。このようにオーディオ機器のウォーミングアップは、特殊な場合を除いて15~30分程度で完了しますから、機器の寿命を延ばす意味でも使わないときには、スイッチを切っておかれることをお薦めいたします。
◎「故障の原因にならないか?」
オーディオ機器に関わらず、家電製品の多くはスイッチを入れた瞬間に一番大きな電流が流れます。ノートパソコンに使われている「インバーター電源」をコンセントに繋いだ瞬間、プラグから火花が出たりパチッ!という音が出て驚くことがありますが、これはプラグを繋いだ瞬間にインバーター電源内部のコンデンサー(電器をためる働きがある小さなバッテリー)が一気に充電される(一度にたくさんの電器を取り込む)ため一瞬大電流が流れるからです。オーディオ機器にはもっと容量の大きなコンデンサーが使われていますから、スイッチを入れた瞬間に安定作動時の10倍以上の電流が流れることもあります。
一気に大電流が流れた場合、新しい機器ならば問題はありませんが、製造から数十年も経過したアンティックなオーディオ機器は、それが原因で壊れることがあります。これを避けるためには、電源をできるだけ切らないようにする以外に「ゼロクロススイッチを使う」という手があります。このゼロクロススイッチというものは、交流の電圧が「ゼロ(電流の正弦波がゼロポイントを通過する瞬間)」にスイッチが入るようにする装置で、スイッチを入れた瞬間に流れる大電流を抑える働きがあります。
機械は寿命がありますし、いつかは壊れます。修理もいずれできなくなります。大切な機器、大切な音を守りたいという気持ちは私も同じです。しかし、壊れるものがあれば生まれるものがあります。新しい機器との出会いは、人生も新しくしてくれると思うのです。この夏はコンセントを抜いて無駄な待機電力は減らし、節電に協力しませんか?