ネッ トワ一ク/PCオーディオの台頭でオーディオ機器のスペック信仰が煽られています。CDが発売されたとき、メディアとメーカーは、「アナログよりもスペックに優れるから、デジタルは音が良い」とタイアップ広告を繰り広げました。SACDやDVDオーディオが登場したときには、CDを遙かに超えるハイビット/ハイサンプリングで実現した高いスペックからCDを遙かに超える周波数帯域とダイ ナミックレンジが実現する」と説明しました。
そして、それらのデジタル・メディアのすべてがネッ トワーク/PCオーディオによって実現するさちに高いスペックにより駆逐される かのような記事力紙面に溢れています。
逸品館は特殊な販売店で、自社で研究開発を行っています。それは「オーディオの真の姿」を掴み、お客様に可能な限り間違いのない商品ア ドバイスを提供しようと考えるからです。当然ネッ トワーク/PCオーディオの研究もどこより早く取り組んで最先端にいると自負 していますし、その成果をハイエン ドショウ東京で発表しています。当初は目新しさも手伝って大いに期待したネッ トワーク/PCオーディオですが、現時点では従来のオーディオ超えるものではないと感じています。
オーディオ機器販売の歴史を振り返えれば、常に新技術、新しい規格がもてはやされてきたことがわかります。 しかし、時間が経てば 真実が見えスペックに対する興味が失われます。現在雑誌は、アナログよりCDが優れているとは言いません。メー力ーも雑誌も繰り広げる主張はすべて機器拡販のための広告であり`数字で煽るのは収益を上げるためです。我々専門店もその広告にあやかって商売を続けてきましたから大きな声では言えませんが、常に新しい技術、新しい規格、新しい製品が過去の製品よりも優れているのか?スペック や数字は信頼できるのか?今一度じっくり考えて欲しいのです。
CDの発売からかなり時間が経ち下火になりつつあったスペック信仰が、ネッ トワーク/PCオーディオの世界を中心に再び活発化しています。 しかし、あなたがお使いのオーディオ機器はどれほど高性能であったとしても、24bitの1bitと32bitの1bitの差を有意義に音質に反映することができません。それを説明しましょう。DACの出カ電圧は最大で2Vですから16bitの場合1bitの出カ電圧は、2/65536V=30.5マイクロボルトです。これが24bitでは。0.11マイクロボルトになり、32bitではその1/65536の 0.00000000045マイクロボルトになります。機器内部のわずかなノイズに完全に埋もれてしまう、この32bitの1bitを正確に増幅するためのどれほどの感度と精度がアナログ回路に要求されるか?おわかりいただけるだろうと思います。
発売当時はアナログに比べるまでもないほど音が悪かったCDはここ数年大幅に進歩し、アナログに遜色がない音質が得られるよう になりました。「スペックが発売当時のままなのにCDの音が良くなった」のは、アナログ回路技術の進歩が非常に重要な役割を担ってい ます。デジタルとアナログの電源 トランスの分離を初めとする各回路の電源独立化、さらには内部配線材の髙品位化(6N配線などの採用)を始めとし、筐体や脚(インシュレー夕ー)ヘの配慮も行き届いています。CDという限られたデジタルフォ一マッ トからよりよい音を取り出すためのキーポイントは、デジタルを生かせる繊細なアナログ回路だったのです。過大なノイズを垂れ流すPC用インバーター電源をそのまま搭載し、アナログ回路のシ一ルドも不十分。電源に至ってはUSBバスパワー流用という貧弱さ。ネッ トワ一ク、PC関連機器が搭載するこんなにプアなアナログ回路、高級オーディオに比類する素晴らしいサウンドが出せるはずありません。
ハイビットハイサンプリングの世界では、アナログ回路の設計が従来よりも重要な決め手になります。スペックがいくら優れていて も、アナログ回路がきちんと作られていなければよい音は出せません。逆にスペックが低くても、良質なアナログ回路を搭載していれば素晴らしいサウン ドが生み出せます。オーディオ機器は新しいもの、スペックに優れるものがすべてではありません。音の入りロから出口までのすべてのプロセスが、音質を決めています。「木を見て森を見ず」メディアが訴求する情報は、薄っぺらすぎます。デジタルの最大の利点は「安い機器からも良い音が出せること」です。iPodのような安価な機器がデータストレージであったと しても、デジタルデータを高品位にアナログ化できる機器と組み合わせれば、驚くほどの高音質が実現します。スペック信仰は、初期のデジタル技術の残像でしかありません。それを信じることは、間違っています。
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