逸品館メルマガ236「心のストーブ 」

休日に何気なくスイッチを入れたCATVムービーチャンネルの、バレンタインデイ映画特集で「あなたは私の婿になる」という映画が放映されていました。後半の1時間くらいしか見られなかったのですが、シンデレラストーリー的な「男女間の愛情と家族愛」がテーマの良くある恋愛ものでしたが、構成が上手くちょっと引きつけられました。

あらすじは(途中からですが)40才になったキャリアウーマンが、米国籍取得のため部下の年下男性を脅して「偽装結婚」します。あくまでも契約的な結婚で最初恋愛感情はありません。しかし、結婚報告のために訪れた男性の家族との触れあいや年下男性との触れあいを通じ、本当の愛が芽生えるという、都合の良いありふれたハッピーエンドです。

恋愛に冷めて仕事と自分のために都会に生きる男女と、豊かな自然に囲まれてゆったりとした時間の流れる故郷という対比の中で描かれる恋愛や、家族というもののあり方について、ちょっと考えされられてしまいました。もちろん、現実にはこんな幸せだけの恋愛・家族関係なんてありえません。人間関係には必ず困難が伴います。だからといって一人が楽だと思い込むのも、ちょっと違っていると感じたのです。

インターネットに代表される通信技術の大幅な発展により現代社会では、パソコン、携帯端末、携帯電話を使えば時間や場所を越えて誰とでも繋がります。「待つ時間」が無くなったためか、生の人間関係は逆に希薄になっているようです。確かにスイッチさえ切れば、とりあえず嫌なことに煩わされることのない関係は楽かも知れません。嫌なことから逃げ出すのには、都合が良いかも知れません。でも、簡単な関係からは、簡単な感動しか得られないと思えるのです。

例えば地球上に、生き物が自分一人だったら?と考えられたことはありますか。きっとそれは、他人に煩わされることのない幸せな世界ではなく、砂を噛むような空しい世界だと思います。

話は変わります。私は魚釣りから帰ると道具を完全に清掃しメンテナンスを怠らず、10年くらい使った道具でもまるで新品のように使っています。車も大切にするので、3-5年程度ではまだ新車のように綺麗です。日本人は神経質だと言われますが、ものを大事にしたり細かいメンテナンスにうるさいのは決して悪いことばかりではありません。しかし、それでも私たち日本人は「完全無欠なもの」を求め過ぎる、憧れすぎる傾向があり得ないほど強いように思います。

ゲームのように簡単にリセットし、すべてを元に戻せる仮想現実世界は楽かも知れません。しかし、現実世界には「完全なもの」なんてどこにもありません。もし、不完全なものから逃げてばかりいればどうなるでしょう?それから得られる楽しみも消えてしまうことでしょう。

すべてのものは変化します。完全だと信じたものも、いずれ不完全になります。それならば不完全や思うようにならないことを嫌だと思うことを止められないでしょうか?問題や自分の気持ちから逃げずに立ち向かい、逆にそれらを一つ一つ克服することを喜びと感じることができれば、こんなに興味深くやりがいに満ちている時代は他にないはずです。

変化を恐れず、それを楽しむ心の余裕。未来を信じる志。そういう気持ちを忘れずに、毎日を過ごせたらと思っています。「積み上げた何かが、壊れることを恐れる」のではなく「なにかを積み上げる喜び」を求めたい思います。

まだしばらく寒い日が続きそうですが、心は熱く居たいと思います。心を熱くしてくれる音楽や映画は、欠かせない心のストーブです。

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