逸品館メルマガ249「オーディオは生演奏を超えられる」

皆様こんばんは。梅雨入りが例年よりも少し遅れているようですが、大阪はお昼過ぎから雨が降っています。幸いにも小雨程度ですが、AV製品は雨や雷に弱いので去年のようなゲリラ豪雨が多発しないよう願うばかりです。できれば、高性能なサージフィルターの導入など、事前に安全策を講じられることをお薦めいたします。

この時期は、各メーカーの新製品が出揃って生産も安定し新たな製品の発売が少なくなるのでラインナップ一斉テストに適しています。この機会にEsotericのK Series全製品、EARの真空管プリアンプの低価格製品などの一斉テストを行おうと考え、メーカーから試聴機をお借りすることができました。
Esoteric エソテリック K-01 K-03 K-05 K-07 音質テスト

最近耳にした製品の中で私が注目しているのは、その音質に驚かされた最高級真空管式プリアンプEARの912と同じ回路を採用しているにもかかわらず、価格が1/3近いバリューモデル868Lです。ようやく試聴機が届板野で聞いてみようと思ったときに、真空管アンプの老舗メーカーMACTONEから新型パワーアンプの試聴依頼も受けました。さらに、UnisonresearchからSinfoniaの特別限定モデル25th Anniversary(Gold Lion真空管採用)も届きました。今週末から来週末にかけて、これらの製品のテストを実施し、その様子を逸品館のホームページやUstreamでご紹介したいと考えています。
Ustream 逸品館チャンネルで録画をご覧いただけます。

デジタルで失われた潤いや雰囲気を再現するための方法として、オーディオは一度アナログに回帰すべきだと考えています。もちろんアナログに回帰といっても、レコードに戻ろうというのではありません。ソース(音源)がデジタルだからこそ、オーディオの音作りはアンプやスピーカー、あるいはアクセサリー、セッティングなど「アナログ部分」を今までよりも重視すべきだと考えているのです。

PC/ネットワークオーディオが台頭し注目を集めるデジタルですが、それで変えられるのはオーディオシステム全体の10%程度でしかありません。音源はCDの44.1KHz/16bit、再生機はCDプレーヤーでまだまだ誰も聞いたことがないほど良い音が出せます。ハイエンドショウ2012春でも訴求しましたが、それが本当かどうか?3号館のメイン試聴室なら、いつでもご確認頂けます。

レコードは良かった。と言われてしまう。デジタルの弱点をカバーしてくれるアイテムの一つが真空管アンプです。デジタルの乾いた音に真空管そのものの響きが広がりと潤いを与え、デイたるが発生する高周波ノイズを出力トランスが効果的に遮断します。良くできた真空管アンプの音質は、もっと注目されて良いと考えています。

新しいデジタル技術ばかりに偏りがちなWEBや雑誌の情報は、時として致命的なほど貧弱です。録音現場を知り、アナログ回路設計を知り、ルームアコースティックの重要性を経験して初めてオーディオの深さを知ることができます。オーディオはデジタルとアナログを含めた総合的な技術であり、総合的な工夫が生きる実に興味深い趣味です。だからこそ個人の工夫次第で、信じられないほど良い音が出せるのだと思います。

20年以上この仕事に携わって経験した、オーディオの深さをお伝えするのは、とても文字では追いつきません。しかし、今の時代には「音を残せる」UstreamやYoutubeがあります。自宅のPCで聞く「ノラ・ジョーンズ」よりも、ハイエンドショウ2012春 逸品館のデモンストレーションの録画で聞く「ノラ・ジョーンズ」の方が「生々しい」と感じられたならそれは間違っていません。

それはイベント会場での再生時に付け加わる響き(部屋の響きが大きい)が、音楽の表情をより深くしているからです。オーディオの神髄は、アナログにあります。オーディオは生演奏を超えられる。それを何よりも強く、お伝えしたいと感じています。

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