逸品館近辺の新年お祭りでは、恵比寿神社の「えべっさん」が有名です。逸品館から、「えべっさん」まではとても近く、えべっさんが商売繁盛の神様ということもあって、毎年「えべっさん」に参拝します。今年は、今日の閉店後「残りえびす」に出向きます。
参拝の後、恒例の「おみくじ引き」を行うのですが、「おみくじ」は良いくじが出るまで何度でも引き直しても良いと「年末放送のリアルスコープZ」で知りました。ただ、引き直したおみくじは良いも悪いもすべて「持っておく」のがルールで、悪いおみくじも「戒めのため」に身につけておかなければならないそうです。私は悪いおみくじは、境内のロープや木に括り付けて厄をはらうものだと思っていたので以外でした。また、神社でお願い事をするときは「住所と名前を念じ」、神様がどこの誰か分かるようにするのも大切だそうです。
神事にかかわらず、私達の暮らしには様々なルールがありますが、最近ルール違反に異常に厳しい風潮を見受けます。ルールの表面的な解釈を拡大し、特定のルールを守りさえすればすべて解決するという考えは、今日本が行き詰まる原因となった「官僚主義」に強く見られます。ある意味では、ネットの「炎上」もそれに似ているように思います。ルールは守るのが当然ですが、時には「遠山の金さん」や「水戸黄門様」のように、それを柔軟に運用することが大切だと思います。また、ルールはすべて同じではなく「それぞれ重要度が異なる」こともしっかり考えるべきだと思います。
何故ルールの話を持ち出したかというと、大阪で体罰を受けた生徒が自殺するという痛ましい事件が起きたからです。この事件をニュースでしか知ることができない私には、なぜこうなったのか?どうすればこうならないのか?分かりません。しかし、人を傷つけて死に追いやるのが人ならば、それを救えるのもまた人だと言うことは分かります。この事件は、人と人の関わりが薄くなりすぎた(事なかれ主義が蔓延った)結果だと思います。人の暮らしに構うのは、面倒です。それが自分に災難を招くこともあります。でも、関わりを経ってしまえば、社会性や人間らしさが損なわれます。難しいです。
それでは私が感動したスピーカー、Magico S-1について少し書いてみようと思います。Magico同様に「キャビネットなどから不要な音を極力出さないという考え方で作られたスピーカー」は多くあります。例えばB&WやTADはその代表ですが、Magicoがそれらと違うのはそれをより徹底して行っている所です。
スピーカーメーカーはユニットの材質にこだわりますが、それは「振動板は可能な限り軽く、ユニットの駆動力は可能な限り強力に」という理想のスピーカーユニットの方程式を実現するためです。それを目指し、BWはDiamond、TAD/Magicoはベリリウムという「最先端技術が可能とした軽くて強い素材」をツィーターの振動板に選びました。磁気回路に超強力磁石ネオジウムを選んでいるのも同じです。つまりツィーターに関して3社は、ほぼ同等の技術を持っていると考えられます。
では、ウーファーはどうでしょう?B&Wがケブラー、TADがカーボン繊維と「すでに10年以上前に実用化された材質」を使うのに対し、Magicoは「カーボンナーチューブという最近実用化された最先端の材料」を使っている点が違います。もちろん、カーボンナノチューブはケブラーやカーボン繊維よりも軽く強固です。さらにこのユニットを駆動するコイル(電磁コイル)の直径もMagicoがB&WやTADよりも大きく、ウーファーに関してはMagicoがより理想に近いと考えられます。
ネットワークのパーツにもMagicoは、B&WやTADよりもさらに上質で理想に近い部品を使用しています。さらにキャビネットを金属で構成し、金属の合わせ面に「ブチルゴム」を挟み込みなど、木製では実現できない高剛性で鳴かないキャビネットを採用し、B&WやTADのバスレフに対し、Magicoだけが「密閉式」になっているのも、極力不要な音を出したくないというこだわりからでしょう。
その結果、無骨な外観、非常に高価という弱点を持ちますが、「音の追求」に関してMagicoは現在最も進んだ製品を作り出しているメーカーに違いありません。
このようにスピーカーの理想をより高いレベルで追求し、それを実現したMagicoは現存するスピーカーの最高峰だと感じています。3号館には、Magicoの最も小さいモデルQ-1を展示していますが、それはMagico製品の中でもQ-1が、その理想に最も近いパッケージングと音質を実現していると感じるからです。
MAGICO Q1
しかし、スピーカーの理想を追求し、それをB&WやTADと異なるアポローチで実現している製品は他にもあります。一つはFocal Stella EMです。この製品はウーファーを駆動するマグネットをネオジウムではなく、電流を強くすることで永久磁石よりも遙かに強力な磁力を発生できる「電磁石」に置き換えることで、ユニット重量/駆動力の比率を大きく改善し、理想に近いユニットを手に入れています。Stella EMの低音はまるで風のように自然で力強く、比類なき独特の音質です。もう一つ忘れてはならないのが、QUADのコンデンサー型スピーカーです。振動板に驚くほど軽い「フィルム」を採用し、それを「電気的な排斥力/引力」で駆動するこの方式は「コンデンサー型/エレクトリックスタティック型」と呼ばれ、独特の高音質を実現します。staxのヘッドホンもこの方式を採用します。
また、コンデンサー型ユニットは再生周波数レンジが驚くほど広く、入力される音楽信号を帯域分割せずに一つのユニットから再生する事が可能です。「フルレンジ方式」と呼ばれるこの方式の音の良さはオーディオマニアに広く知られています。
コンデンサー型スピーカーがキャビネットを持たないことも、通常のダイナミック型スピーカーにはない長所になっています。サイズが大きい、前後に同じ音が出る(ダイポール型音響特性)を持つなど、この方式ならではの弱点もありますが、滑らかで透明な独特のサウンドはやはり魅力的です。昨年末に試聴会を行ったQUAD 2912は、駆動電圧と固定極を強化し従来のモデルを大きく超える音質を実現しています。
今年のメルマガは、こういった「ワクワクするようなニュース」をより多く発信していこうと思います。また、今年は様々な、オリジナル製品を発売する計画も立てています。どれだけ現実にできるか分かりませんが、皆様の期待に添えるように頑張りますのでよろしくお願いいたします。