AIRBOWから待望の新製品「8005 Studio Series」発売のお知らせがあります。このモデルは「躍動的な熱い音」で好評を頂戴した15S2 Masterの後継モデル14S1 Masterが値上がりして音質もやや高級志向になったため、実質的な15S2Masterの後継モデルとして力を注いで開発を続けていたモデルです。
8005 Studio Seriesは外観こそMaster Seriesに備わる分厚いアルミパネルが使われず、プラスティックのやや安っぽいプロントパネルが使われていますが、この新しい製品の音質は、15S2 Masterを超えることができました。この製品について説明を差し上げたいと思います。
まず、先に開発したPM8005 Studioを紹介します。このアンプは、従来のStudioSeriesの「クォリティー感が高くやや静的な音」ではなく、15S2 Masterが持っていた「躍動感溢れる熱い音」を目指しました。EARのフラッグシップ・プリアンプ912のサウンドに衝撃を受け、また大いなるインスピレーションを得てから、AIRBOWの音作りは積極的に「音楽を聞かせる方向」が強くなっています。もちろん、従来のモデルも十分に躍動する楽しいサウンドですが、それをさらに改善しています。
PM8005 Studioはあたかも上質な真空管アンプのように、音が滑らかで柔らかく色彩感が豊富です。その肌触りの良さや倍音の美しさは、トランジスターアンプの領域を超えていると思えるほどです。上質な交響曲の演奏では、「倍音が薄い層状に重なって聞こえる」ことがあります。倍音がミルフィーユのように層状に重なり、楽器の音が何とも言えない造形美を醸し出すのです。今までオーディオでこのような美しい倍音構造を再現するには、真空管の力を借りなければならな
いと感じていたのですが、PM8005 Studioは入念な作り込みによりトランジスターアンプでそれを達成しました。
PM8005 Studioで交響曲を聴けば、バイオリン/チェロ/コントラバス、クラリネット/ファゴット、トランペット/ホルン、などよく似た音の楽器の音色がほぼ完全に分離して聞き取れることに驚かれると思います。それだけではなく、同じバイオリンでも「メーカー(ガルネリ、ストラドバリなど)」の違いによる音の差も、とても鮮やかに再現します。この能力はJazzやボーカル系のソフトでも発揮され、メインボーカルとコーラス、伴奏の楽器の音色がとても美しく、そのニュアンスも深く聞こえることに驚かれると思います。最大の美点は、この能力がCD/SACDプレーヤー(入力機器)や接続されるスピーカーを選ばず発揮されることです。価格はPM15S2 Masterより安い20.8万円ですが、その能力はPM15S2を超えているだけではなく、私の知るプリメインアンプの中でも「音楽の表現力」は疑いなくトップクラスだと思います。20.8万円という価格は絶対的には安いとは思いませんが、その音をお聞きいただければこのアンプが金銭に換えがたい価値を持つことをお分かりいただけると思います。
SA8005 Studioは、搭載される上級モデルに使われていない「シーラスロジック」のDACチップの特性をフルに生かし、CDプレーヤーとして今も憧れのある「Studer A730/D730」に近い音色をPM8005 Studioとおなじ20.8万円の価格で実現できました。きめ細やかで滑らかなその音は、まるで高級なアナログレコードのようです。そしてその優しく深い音は、CD/SACDだけではなくUSBメモリーやiPod/iPhone、PCをUSB接続しても実現します。私は普段、PC(AIRBOW MSS-I5/
MSHD)かiPod Touchを繋いでジュークボックスのようにSA8005 Studioを便利に使っていますが、どんなジャンルの音楽も本当に「美味しい音」で再生してくれます。
自画自賛になりますが、決して大げさではなく、最新の8005 Studio Seriesはとても完成度と音楽を聞いたときの価値が高いと思います。試聴機をご用意しておりますので、「より楽しい音で音楽を楽しみたい!」とお考えのお客様は是非一度その音を聞いてみてください。オーディオの世界が変わると思います。