東京オリンピック・メイン会場建設費高騰で揉めています。この件だけではなく、少し前のPSE(電気用品安全法)やマイナンバー制度など、非常の過大なコストがかかるにもかかわらず、実効的ではない立法が何度となく繰り返されています。これは、明らかに行政の「我田引水」と「無責任」が原因です。平たく言えば、大規模な公共事業を行うと、議員の懐が潤うことが最大の問題です。もちろん、それを許している私達にも責任はあります。
しかし、広告する側が、広告によって利益を得られるという、複雑な問題は行政だけではなく、オーディオ業界でも同じです。TVなどの「影響力の大きなメディア」が、良くない物を良いと言い、価値がないものを価値があると煽ります。挙げ句の果てには、売れているからその商品はよいのだと。とんちんかんな論理を振りかざします。
私はへそ曲がりなので「売れている商品」を買うことはほとんどありません。それは、広告されている商品を買って「失敗」することが多いからです。また、本当に良い製品は、広告に頼らなくても売れ続けているだろうという思いもあります。必要な人に必要なものを届け、それで長く生計を立てるつもりなら、広告になど頼らなくてもやっていけるのが本当です。逆に、広告に頼るようになったら、すでにその業務は破綻していると考えられます。(最近何かと話題の痩身事業も長続きしないでしょう)
ヒット商品の多くは、マスメディアが作り上げた偽物です。けれどそれを買うことで、消費者が誤った商品を正当化してしまいます。逸品館は専門店として、良いものと、そうでないものをできるだけ正確にセレクトしたいと考えています。
最近注目しているのが、イギリスのケーブル「QED」です。今でこそ一般的になっている高価格ケーブルは、1980年頃から注目され始め徐々に市場が広がりました。しかし、2000年頃に最高潮に達したこの分野も、大手電線メーカーの「オーディオ用導体(PC-OCC)」の生産を中止を皮切りに、テフロン絶縁体も生産が中止になると聞いています。
しかし、これは国内に限った話で、海外ではまだまだオーディオ専用ケーブルの生産は続けられています。輸入が再開されたQEDの「スピーカーケーブル」をテストし、そのパフォーマンスに驚かされました。今回はRCAケーブルを聞きましたが、やはりそのパフォーマンスに驚かされました。
嬉しいのは、国内のオーディオケーブルメーカーとは比較にならない大規模なQEDが設定している「価格」が、量産される工業製品としてのは、良識(これでも一般の人たちから見れば非常識だとは思いますが)内に留まっていることです。
QEDのケーブルは、スピーカー、ラインにかかわらず、低価格品~フラッグシップの音色がほぼ統一されています。QEDのケーブルに変えると、音楽が躍動し、音が明るく楽しくなります。この開放的で鮮やかな楽しい音は、海外製品ならではのテイストです。もちろん、AudioQuestやWireWorldもそういう良さを持っていますが、QEDはずっと安いのです。
よくここまでケーブルを研究して作り、良心的な価格を設定したものだと舌を巻かされます。日本人のこだわりは半端ではありませんが、イギリス人のこだわりもまた半端ではないと感じました。
QEDの製品には「マスコミが作り上げた虚像」にはない、正しい論理と熱い情熱が感じられます。何よりもその音を聞けば、その良さはすぐにわかります。逸品館は、輸入が再開されたQEDのケーブルをお薦めします。