私達がオーディオで聞いている音楽は、演奏が録音されたものです。オーディオが発明されたとき「音源」は、すべて生音でした。レコードは、マイクを使って生演奏を録音していました。けれど、電気楽器(PA)の登場で、その内容にバリエーションが加わります。それは、「スタジオ録音」です。
スピーカーを使わずにコンサートが行われていた時、私達は「コンサート(ライブ)に行けないからレコードを聴く」と考えていました。クラシックのように「ホールと楽器、奏者が一体となって生み出される音楽」の場合は、それしかなかったと思います。
確かにグレン・グールドのように一部の演奏家は、やり直すことのできないライブを嫌い、観客のいないスタジオで演奏を行い、それを録音するようになりますが、それでもクラシックの収録では、アコースティック楽器の音をマイクで録音する方法に変わりはなく、現場(スタジオ)で聞ける音と、レコードの音に違いが生じることを避けられなかったのです。
けれどスピーカーを使ってコンサート(ライブ)を開催するようになって、それが大きく変わります。なぜならば、スピーカーを使って楽器の音を鳴らすときには、楽器そのものの音ではなく録音時と同じように楽器の音をマイクで拾って、それを増幅するからです。スピーカーを使うコンサートの音源は、「楽器」ではなく「マイク」そのものです。だから、スタジオの音をそのままレコードに録音することができるのです。
今日、J-POP歌手の「Kさん」が逸品館に来店されました。物品の購入が目的ではなく、番組の収録のためにです。Kさんは、You Tubeなどを通じて逸品館を知り、前々から一度来てみたかったということでした。
Kさんは音にこだわるミュージシャンであると同時に、かなりのオーディオマニアでいらっしゃいます。今回リリースされるニューアルバム「Ear Food」には「編集による音質の悪化」、「マルチマイクと編集による音楽の劣化」を嫌って、最小のマイクで一発取りした曲が収録されています。
詳しくは、後日放送される番組をご覧頂くとして、音楽を愛する一人のュージシャンとしての正直な思いが溢れる、その人柄に触れ、関根麻里さんが生涯の伴侶に「Kさん」を選ばれた理由が伝わりました。