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逸品館メルマガ267「オーディオの発達と音楽の関わり(4)」

———————オーディオの楽しさ、喜びとは?——————— ・音楽家は高級なオーディオで音楽を聞くとは限らない 時々、「音楽家は高級なオーディオ装置で音楽を聞くとは限らない」という話を耳にします。もし彼らが音の良さ(心地よい音の再現)をオーディオ機器に求めていないのだとすれば、この説話には納得できます。 「名器と呼ばれる楽器の音」は、それを聴いているだけでうっとりします。私達は高級なオーディオ機器の音にもうっとりすることがありますが、それは楽器のように「再生装置そのものの音が心地よい」からだと考えられます。耳の肥えた音楽家をうっとりさせられるほど音の良いオーディオ機器は、価格も高く希少です。ではなぜ魅力を感じられないにもかかわらず、音楽家はオーディオで音楽を聞くのでしょう? ・音と音楽の違い 音楽の3要素は、「リズム」・「メロディー」・「ハーモニー」とされています。確かに名曲は、奏者や楽器が変わっても名曲であり続けますから、それは間違いないでしょう。音質が優れなくとも、「リズム」・「メロディー」・「ハーモニー」が心地よく再現されれば、そのオーディオ機器は立派に音楽を再現していると考えられます。つまりオーディオマニアが求める「音質」に完全に依存しなくても、音楽は再現できるのです。初期の録音機器であるSPの時代よりも遙かに音質が向上した現代のオーディオ機器よりも、レコードや蓄音機の音が良いというマニアの存在もそれを肯定します。 ・オーディオ機器の音楽性 私は時々、機器のテストリポートで「音楽性」と言う言葉を使いますが、この言葉こそ「音質ではない部分での音楽の再現性」を示しています。もちろん、それは「リズム」・「メロディー」・「ハーモニー」という単純な3つの指標によるものだけでは、ありません。食べ物の味わいが「甘い」・「塩辛い」・「酸っぱい」のように単純な指標だけでは判断できないように、音楽性も「リズム」・「メロディー」・「ハーモニー」の単純な3要素だけで判断できるわけではありません。 オーディオ機器の音楽性を評価することは、生演奏を評価するのと同じです。あなたが聞きたいものが「音の良さ」ならば、高級なオーディオを選ぶべきです。高価格な製品は、低価格な製品よりも「音が良いことが多い(絶対ではありません)」からです。もし、あなたが聞きたいものが「音楽性」ならば、価格よりも装置の音楽性に重点を置くべきです。良い楽器を下手な演奏が奏でた場合と、悪い楽器を達人が奏でた場合のどちらが心地よく音楽を聴けるのか?その答えがヒントになると思います。 ・人はなぜ音楽を聞くのか 音楽は「特定の心情をより多くの人間で共有する」目的で生まれました。宗教的な儀式や冠婚葬祭に音楽が使われるのは、音楽が心(心象)を共有する手段として最適だからです。 心にある感情が生じたとき、それを言葉で表現するには「変換」が必要です。日本人なら日本語に、アメリカ人なら英語に心象を変換しなければなりません。しかし、音楽なら心象をダイレクトに伝えられます。言葉を持つ遙か以前に人類が交わしていたであろう「言葉を持たない音の変化(うなり声や歌い声)」が発展したものが音楽と考えられます。 音楽は言葉と違い、知識や教養のように後天的に身につくものではありません。私達のDNAに刻まれた太古からの記憶だからこそ、人は百の言葉よりも一つの音楽に深く感動することがあるのでしょう。人間に近いイルカや鯨の呼び合う声が時として「歌」のように聞こえるのは、DNAが人間に近い彼らの歌が人間の心にも伝わるからでしょう。人が音楽を聞く理由。それは、ただ一つ。人と繋がりたい(コミュニケーションしたい)からです。 ・感動には二つの種類がある 人間の感情の動きには、喜怒哀楽があります。話をわかりやすくするために「喜=黄色」・「怒=赤」・「哀=青」・「楽=緑」のように感動に色を付けましょう。音楽で感情を表現したい場合には、感度の種類に対応する「色(音色)」で楽器を演奏します。黄色い音色を濃くすれば喜びが強く表現され、青い音色を強く演奏すれば悲しみがより強く表現される、という具合に色と音色が対応すると考えます。録音されたこれらの音楽を再現するとき、オーディオ装置の音色が「黄色」であればその装置の音は明るく、「青色」であれば暗く再現されると考えられます。つまり、聞き手は自分オーディオ機器の音色を選び、演奏の魅力をより強く引き出すことが可能です。 しかし、感動には喜怒哀楽に属さないものが存在します。壮大な景色を見たときに感じる言葉にできない心の動きがそうです。この感動はあらゆる感情が「フラット(公平)に入っていると考えられます。色で表現するならば「白」もしくは「透明」な感動と考えられます。この「透明な感動」を伝えるために演奏された音楽を「色つきのオーディオ」で再現すると、透明感が損なわれてしまいます(あるいは白に色が付いてしまいます)。これを音に例えて表現するならば、「風」・「波」・「風鈴」などの「無作為」の音が「透明な音」で、「歌声」・「楽器」・「話し声」などが、「有色の音」と考えられます。 あなたが音楽に何を求めるのか?何色にしたいのか?それがオーディオ機器を選ぶ時の指針となります。 次号に続く———————————————————————— ... 続きを読む

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逸品館メルマガ266「オーディオの発達と音楽の関わり(3)」

———————オーディオの発達と音楽の関わり——————— ・高音発生原理の違い また、楽器とスピーカーが発生する「高音」にも大きな違いがあります。ツィーターのような薄い膜を持たないバイオリンやシンバルは、固体の表面が波打つことで高音を発生しています。固体表面が高速で波打つと、固体に接触している空気は急速に圧縮され、場合によっては音速を超える音波(衝撃波)が発生します。音波が音速を超えると、レーザー光のように距離に応じて減衰しにくくなります。しかし、スピーカーに使われている薄い膜を往復運動させて高音を発生させるツ ィーターでは、これほど急激な空気の圧縮が行われないため、距離が離れると高音は減衰します。楽器の高音が遠くまで良く通るのは、高音の性質が違うからです。 楽器の強い圧力を持つ高音とスピーカーの圧力の弱い高音は、質感が違って聞こえます。逸品館は楽器と同じ原理で圧力の高い高音を発生する装置を作り、波動ツィーター「CLT-3FV」という名称で製品化していますが。このツィーターを使うと楽器の音が、非常に生々しくなる(実在感が出る)ことからもこの考えが間違っていないことが証明されます。 ・マイクロフォンの音色 オーディオマニアは、録音が完全であると考えています。しかし、それも間違いです。スピーカーに数多くの種類があるようにマイクロフォンにも多くの種類があり、方式や価格によってその「マイクロフォンの音色(録音されたときの楽器の音色)」は明らかに異なります。つまり、録音された段階ですでに、楽器の音色に色が付いてしまうのです。 また、マイクロフォンが捉えた面積の空気の振動(音)の「位相情報(音源とマイクの振動板までの距離関係)」を正確に再現するには、同じ面積の振動板から音を発生させなければなりませんが、スピーカーの面積はそれよりも遙かに大きく、マイクが捉えた位相情報を正確に再現できません。これ以外にも様々な要因があり、現在のマイクロフォンでは音声の完全な記録は不可能です。 「原音忠実再生」は、現在のオーディオ・テクノロジーでは不可能です。時々PCオーディオの世界では「ビットパーフェクト」と呼ばれる、デジタル領域での信号の完全性が求めるようですが、録音・再生のあらゆる部分ですでに破綻している完全性をデジタルデーターの領域だけで保ったとしても再生音声の品質が劇的に向上(改善)することはありえません。 次号に続く———————————————————————— ... 続きを読む

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逸品館メルマガ265「オーディオの発達と音楽の関わり(2)」

———————オーディオの発達と音楽の関わり——————— ・音楽を構成する要素 生演奏よりも大きな音量で音楽を再現できるようになったことが、なぜオーディオ機器のあり方を根本的に変えたのかその理由を今度は録音される側、音楽から考えます。音楽は、音が変化することで伝わります(音楽は音の変化で成立する芸術です)。音楽に必要な音の変化には、「高低」と「大小」そして「音色」があります。物質を構成する最小単位が原子ですが、すべての「音」は、「高低」・「大小」・「音色」の組み合わせで構成されると考えられます。これを「音の3原子」と呼ぶことにします。 ・原音忠実再生は存在しない 完璧な録音再生とは、この音の3原子を正しく記録しそれを忠実に再現することです。これをオーディオマニアは「原音忠実再生」と呼び、オーディオのゴールと考えています。しかし、それは架空の世界の話で現実に録音された音が「そのままの状態で元に戻ること」は物理的にあり得ないことです。記録された音声信号を音に変換するのがスピーカーですが、現在のスピーカーなら音の3原子の中で「人間が音楽を聞くために必要とする音の高低」は、ほぼ完全に再現できると考えられます。そして「大小」に限れば、生音を拡大する(原音よりも大きな音が出す)ことさえ可能です。これに対し残された「音色」の要素はどうでしょう? ・音色とは何か それでは、「音色」について考えましょう。1円玉、10円玉、100円玉の3種類の硬貨をそれぞれ何枚か用意します。1円だけを手の中で振ると、鈍い「アルミ(純アルミニウム)」の音がします。10円玉はそれよりも硬くて密度のある「青銅(銅/錫/亜鉛)」の音がします。100円玉はさらに硬く響きの引き締まった「白銅(銅/ニッケル)」の音がします。このように物質はそれぞれに固有の「響き」をもっています。これを楽器に当てはめて考えましょう。クラシックギーターにはナイロンのゲージ(弦)を使いますが、仮にこのゲージを金属に変えるとギターの音は全く違うものになります。この音の「大小」・「高低」とは関連のない音の質感の変化を「音色」と読んでいます。金属だけではなく、楽器に使われる木材(ボディー部)もそれぞれ固有の音色を持っています。 ・オーディオ機器固有の音色 スピーカーでは「音色」はどのように再現されるでしょう?ウーファーやスコーカーの材質を変えても、再生される楽器の音色はあまり変わりませんが、ツィーターの材質を変えると楽器の音色は変化します。例えば薄い布を使ったツィーター(テキスタイルツィーター)の再現する弦楽器の音色は滑らかで艶やかですが、それを硬い素材を使ったツィーター(アルミ、マグネシウム、ベリリウム、ダイヤモンド、チタンなど)で再生すると、硬くクッキリした音色に変化します。もしツィーターに加工される前の素材を叩くことができれば、素材に固有の「音色」を聞き取ることができるでしょう。素材が薄く加工されたことで素材固有の音色は薄まりますが、それでも私達にはツィーターに使われる素材固有の音色が感じられるのです。 このようにスピーカーだけではなく、真空管やトランス、抵抗やキャパシタなどオーディオ機器を構成するそれぞれのパーツは特有の音色を持っています。 次号に続く———————————————————————— ... 続きを読む

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逸品館メルマガ264「オーディオの発達と音楽の関わり(1)」

———————オーディオの発達と音楽の関わり——————— ・オーディオは、音声の記録技術として誕生 録音再生技術は、1857年、フランス人エドゥアール=レオン・スコット・ド・マルタンヴィル... 続きを読む

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逸品館メルマガ263「オーディオの楽しさと喜びとは」

大阪市長「橋下さん」の出生の記事で、橋下氏が朝日新聞と揉めているようです。この議論を見ていると、終始ガラス張りの状態で主張を行う橋下氏に対し朝日新聞側の主張がどうもハッキリしません。これは、今の日本の議論のあり方を象徴しているように思います。 今の日本で繰り広げられる多くの議論は「相手を負かす(論破する)」ことしか年頭にないように思えます。どちらが白か黒か?決着を付けるのが目的に思えます。本来は知恵を出し合って内容を高めるのが筋だと思うのですが、揚げ足の取り合いを続けるだけでまったく前に進まないし、内容が改善しません。 朝日新聞の姿勢は「負けるのを怖がっているだけ」のようにも見えます。確かに弁護士出身の橋下さんは弁が立つし、手強いと思います。しかし、同じ日本に住み国政を改善しようと考えるなら、きっぱりとした議論を展開すべきだと思いま す。 ハイエンドショウで逸品館は、ハッキリと主張します。それは、主張が正しいか?そうでないか?よりもホットな話題を提供することが目的と考えるからです。オーディオの考え方や音の作り方に、正解はありません。結果良ければすべて良し。それだけだと思います。政治もそうあって欲しいと願います。   さて現在年末恒例のDMに向けて、様々な情報を発信すべく「文章」を書いています。新しく書き下ろした文章もあれば、過去に書いた文章を編集したものもあります。10年以上前に書いた文章を書き直しながら、逸品館の主張の根っこは10年間でまったく変わっていないと感じています。つまり、10年以上前にたどり着いた結論が、今でもそのまま通用すると言うことです。ただし、それを実現するための道具(オーディオ機器)は、随分と洗練され進化しています。 年末に向けて書き下ろしている文章をこのメルマガで、分割しながら先行発信し ようと思います(バックナンバーは、読みやすさを考えて順序通りに文章を掲載します。そのため発信させていただいたメルマガとは順序が異なります)。   ———————オーディオの楽しさ、喜びとは?——————— 私は、自分が書く文章の中でオーディオを料理に比喩することが度々あります。例えば「味わい」という表現は、オーディオと料理に共通ですが、家電にはありません。オーディオは家電製品の枠を超えた高い趣味性や芸術性を持っています。そこが家電製品との大きな違いです。 美味しい料理を食べたとき、私達は幸せを感じます。良い音でよい音楽を聞いたときにも、私達は幸せを感じます。その充実感は例えようがないほど深く、瞬時に訪れます。その瞬間のために、我々は多大な対価を惜しみません。しかし、支払った対価に釣り合う喜びが得られなかったときの落胆も、喜びと同じくらい深く大きいものです。 このように料理とオーディオは似ていますが、根本的な違いもあります。料理は「作って貰う」もので、オーディオは「自分が作るもの」というのが一番大きな違いではないでしょうか?料理人は、それを食する人のために全力を尽くします。出された料理をそのままいただくことが、大切なマナーです。オーディオの音は、人に聴かせる物ではありません。購入したオーディオ機器を素材として、自分の音を作り出すこと。自分が聞きたい音楽を生み出すこと。それが、オーディオです。 美味しい料理を食べたとき、料理人のその技術を超えた想いに感動することがあります。良い音の出る機器を選べたとき、その機器を推薦してくれたアドバイザーやその機器を作った制作者に感謝を感じることがあります。逸品館はそういうお客様の「想い」に全力でお答えしたいと考えています。逸品館の「想い」から生まれたAIRBOWは、聞く人の心に感動を伝えるコンポーネントであって欲しいと願います。 オーディオから良い音を出したい。お気に入りの音楽をもっと感動的な音で聴きたい。その思いは私達も同じです。そして、その夢を叶えてあげたいという思いは、とても強いものです。「私達は、なぜオーディオがこんなに好きなのか?」、「どうすればオーディオの音を良くできるのか?」その答えが見つけられかるかも知れません。さあ、一緒に「オーディオ」をもっともっと! 大きく深く楽しみましょう。   次号に続く———————————————————————— ... 続きを読む

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