逸品館メルマガ032「この25年間のオーディオの変遷を振り返る」

今週のメルマガは、筆休めの話題です。私事ですが、20年ほど前に止めていたゴルフを健康のため?に再開することになりました。道具もすべて処分していたので、ゴルフの上手い友人の付き添いで、会社近くの「ゴルフマップ」というゴルフ用品の中古専門店にゴルフ用品一式を購入に行って驚きました!

ゴルフクラブの形状が20年前と全然違うではありませんか!野球のボールよりも小さかったドライバーのヘッドがまるでテニスラケットのデカラケのごとくにソフトボールよりも大きくなっているではありませんか?シャフトも柔軟で反発量が強く、全般的に軽い!フェアウェイウッドが増えているなど驚きの連続です。20年ぶりに私が体験したゴルフ用品の進歩は、1世代の進歩に留まらず隔世の感がありました。

振り返ってオーディオはどうでしょう?

音の入り口であるプレーヤーを振り返ってみましょう。CDの発売は、24年前の1982年。ドルビーサラウンドがアナログからデジタル(AC3)になって音質が飛躍的に向上したのが1995年。DVDビデオディスクの発売開始が10年前の1996年頃。SACDの発売は、8年前の1999年とレコードからアナログへの変遷から始まってデジタルプレーヤーは、ここ20年でどんどん進歩しています。

スピーカーはどうでしょう?現在は、主流のトールボーイ型スピーカーですがその先駆である「PIONEER S-77TWIN」の発売は、今から約20年前の1988年です。CDの登場よりやや遅れたS-77TWINの発売を皮切りに、スピーカーは一気にトールボーイ、バーチカルツインタイプへと変遷してゆきます。ウーファーを複数搭載しているトールボーイ型スピーカーも当初こそ中低域に濁りが大きく、大型のシングルウーファーを搭載したスピーカーよりも明らかに音質が劣ってはいましたが、1990年に入って、スピーカー設計コンピューターシミュレーションの技術が格段に進歩した結果、Wウーファでもシングルウーファーと同じような透明度と良好な定位感が得られるようになりました。

アンプはどうでしょう?20年前のアンプにはさすがにリモコンは搭載されていませんが、デザインや方式は現在と大きな変わりはありません。デジタルアンプは、最近の技術のように思われていますが電源のインバーター化(スイッチング電源の採用)は、1980年すでにYAMAHAが「X電源」という名称ですでに商品化していたのです。同時期にSONYもスイッチング電源のプリメインアンプを発売していたように記憶しています。しかし、発売後5年未満でスイッチング電源のアンプは姿を消します。音が悪かったか?売れなかった?どちらかの理由からです。そして、その後アンプは大きな進歩なく現在に至るように思います。FMチューナーにいたっては、20年間まったく進歩していないようです。

経済原理で売れないものは、開発にコストをかけられないのです良くならないのは当然ですが、一度は熱を入れて形成しお客様に夢を見せたにもかかわらず、儲からない、儲けが持続できなかったという(儲からないのはやり方が悪い)勝手な企業の自己事由でオーディオをきっぱり切り捨てるような、20年間を振り返って大企業のオーディオに対する取り組みの「浅さ」、「愛情の無さ」にはあきれるばかりです。大企業ばかりではなく、DENONのようなオーディオ専業メーカーですら一旦は生産を中止したアナログプレーヤーの再生産を開始したり、針交換すら出来ない限定モデルのMCカートリッジを製品が発売される前(つまり誰も音を聞いていない、DENONは音を聞かせていない)に大量受注したり(2000個以上受注したらしい)オーディオメーカーとしての真心を金に売ってしまったかのようです。

私がゴルフを止めた切っ掛けは、当時ゴルフがあまりにも「バブリー」なスポーツだったからです。ゴルフ会員権は天井知らずで値上がりし、サラリーマンでさえ年収の何倍もするゴルフ会員権を争って勝っていた時代です。(バブルの崩壊で、会員権はただの紙くずになりますが)

当然ゴルフ場は、かなり高飛車な態度でゴルフ場の入り口では、ブレザー着用でジーンズしか履かない私は入場を断られる始末です。スポーツに行くのに、なんでジャケットを着なければいけないのか?当時はまだガキンチョの私にはそれがどうしても理解できません。スポーツジムにジャケットを着てゆくような感覚です。同じ正装でも、紋付き袴なら入れたのでしょうか?

ゴルフを止める決定打となったのは、桜の咲く頃に行われたコンペで季節外れの吹雪に見舞われたときでした。朝のスタート時間が来たときに、すでに外はかなりの吹雪。私は、こんな天候ではスタートできないと主張したのですが、クラブのフロントはスタートしてくださいの一点張り。嫌々ティーアップした1番ホールで、足下から吹き上げる雪が目に入り目を開けていられない状態。やっとの思いでたどり着いたグリーンでは、ボールに雪が付着して雪だるま状態でまったく転がりません。このような状態でスタートさせるのは無茶苦茶です。

金を払ってもプレーしたくないと感じた私は、まだプレーを続ける僚友を尻目にさっさとクラブハウスに引き上げましたが、私がクラブハウスにたどり着き僚友が2番ホールをプレーしている途中で「クローズ」が宣言され、全員がホールから引き上げてきました。一風呂浴びて暖をとって、フロントに戻るとで待っていたのは「ハーフラウンド分のプレーフィーの請求」です。え???無理だといっているのにスタートさせ、やっぱりダメだったからとクローズし、代金だけ請求するの?これでは詐欺まがいの無茶苦茶な話です。それも、関西ではかなり著名な一流コースの話です。私は完全に切れました!お客を馬鹿にするのにもほどがあるじゃありませんか!

もちろん、今ではそんな悪質なコース運営は行われていないようですが、バブルの時代にはこんな酷い話がそこら中でまかり通っていたのです。バブルが崩壊し、世の中はかなり沈静化したようです。バブル期に狂ったような商売をしていたのはゴルフクラブだけではありません。オーディオ業界も似たようなものです。ローンで年収に匹敵するような高額オーディオ製品を次々と買い換えたり、東京には100万円もするPADのスピーカーケーブルを若者にローンで買わせる専門店があったり、私から見れば完全に常軌を失っているとしか思えないような商売がまかり通る有様でした。

最近、再びIT関連事業や株式投資関係を中心にバブルが膨らんできているようです。特に木材、金属、特殊金属など材料の値上がりが酷くなっています。これには、バブル絶頂期に入っている中国による過剰消費に加え、オリンピックをにらんだ建設材料の値上がりを狙った買い占めも拍車をかけているようです。


働かずして大金を得られる人間が増えるにともなって、オーディオ業界は、またしてもバブル期に吸った蜜の味を忘れられないのか、進歩のない機器を発売し、意味のない値上げを続けているようです。いい加減に!謙虚さとほどほどを学ぶことが出来ないのでしょうか?人間は。もちろん、私も自己反省を忘れてはなりませんが、同じ業種としてあまりにも酷い製品は見ているだけで腹が立ちます。このメルマガで何度も繰り返していますが、音質と価格は必ずしも比例していません。高いだけの駄目製品に騙されないように、くれぐれもご注意下さい。


幸いにもバブルを見ながら育った団塊の世代のネクストジェネレイションの中に、そういう「馬鹿騒ぎ」を苦々しく重い、質実剛健な製品を真面目に販売してゆこうとしているメーカーが育っています。AETやKRIPTON、サンシャインなどがそうではないかと思います。もちろんAIRBOWも。

筆休めと宣言しながら、またしても話題がオーディオになってしまいました。申し訳ありません。再び話はゴルフに戻ります。友人の適切なアドバイスを得て、私は、昨年モデルの新品なら30万円ほどした中~上級クラブの綺麗なフルセットを10万円未満で手に入れることが出来ました。かなり満足しています。良い物を手に入れると早く使いたくなるのも、新しい趣味を始めるのに良いことです。後は、練習再デビューあるのみ。ひとつある頭痛の種は、やりたいことが多すぎて、遊び時間がなかなか取れないことだけです。

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