DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2007

今回ご紹介するDVDソフトは、DREAMS COME TRUEが4年に一度行う「史上最強の移動遊園地“DWL(DREAMS COME TRUE WONDERLAND)”」と称する大規模ライブの実況録音(ライブ)盤です。収録されているのは、ツアーの最終2007年9月22,23日に「国立競技場(1964年の東京オリンピックの競技会場として建設された、新宿区霞ヶ丘に所在する国立霞ヶ丘競技場)」で行われたライブの模様です(DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2007/初回限定版 UPBH29012-4)。このライブは、2日間で12万人という多くの観客を動員しました。また、NHKが準備から本番までをドキュメンタリーとして特集を組み深夜の時間帯に放送していたので(私はそれを見なかった。残念です。)詳細をご存じの方も多くいらっしゃるかと思います。

私がこのDVDの存在を知ったのはつい最近のことです。切っ掛けは、私が東京でAV関係のイベントをやると知った知人が「それならこのソフトを使ったら?素晴らしいライブだから気に入るよ」と紹介してくれたことです。その時、友人はDREAMS COME TRUEのボーカルの吉田美和さんのご主人がこのコンサートと前後して亡くなり、彼女はとてもコンサートなどできる心情でなかったにもかかわらず、それを押してこのライブに望んだという逸話も紹介してくれました。ハイエンドショウ東京 2008 Springのイベントの初日には、友人から聞いた「逸話」の紹介で「コンサートの直前に吉田美和さんのご主人が亡くなった」とお話ししたのですが、初日終了後ネットで調べると、このコンサートの3日後(9月26日)にご主人が亡くなったということがわかりました。2日目からは、正しいお話が出来たのですが、初日にお越し頂いた方には、間違った内容でお伝えしてしまいました。謹んでお詫びいたします。

早速そのDVDを観てみると・・・。一曲目から涙が溢れました。悲しさとうれしさ、そしてなによりも彼女の前向きなパワーに圧倒されたからです。私は、すぐにこのDVDをイベントのフィナーレに演奏しようと決めました。このDVDソフトの録音はお世辞にも良いとは言えず、鳴らせた音質は到底ベストとは言えないものです。それでも、音が良くないのを承知であえてこのソフトを選んだ理由は、純粋にこの素晴らしいコンサートの存在を一人でも多くの方に知っていただきたいと思ったからです。

一般的なオーディオイベントでは、録音の良いいわゆる優秀録音盤」と呼ばれるクラシックやジャズのソフトが主に使われ、海外はともかく日本のPOPS(J-POP)はほとんど演奏されません。まして、DVDが使われることなどまずありません。音が悪いからです。しかし、先に書いたようにこのコンサートは、2日で12万人を動員しました。クラッシックよりも、ジャズよりも、遙かに多くの日本人に支持されている音楽 をなぜ演奏しないのでしょう?音が悪いからでしょうか?でもソフトの音が悪いと聞けない音でしか鳴らないようなオーディオ。J-POPが聞けないような オーディオが求められているのでしょうか?

誤解を避けるために付け加えますが、私はクラシックやジャズについての造詣もけっして浅くはないと自負しています。そして、もちろんそれらの音楽も素晴らしいと思います。それが証拠にAIRBOW製品の最終音質チェックには、フルトベングラーなどのSPから復刻された「音が悪くても音楽が素晴らしい音源」を必ず使います。もし、AIRBOW製品でモノラル時代の古いクラシックやジャズをお聴きいただければ、それが嘘ではないと感じていただけるはずです。オーディオには「音質」が求められるのは当然ですが、その真の価値は音質ではなく、録音にかかわらず「どれだけ多くの素晴らしいソフトを感動的な音質で演奏できるか?」で決まることを「オーディオのイベント」だからこそ私は皆さんにお伝えしたかったのです。それがこのソフトを選んだもう一つの理由です。

細かい話はともかく、イベントのフィナーレでDWL2007を演奏した中で特に印象的だったのは、初日の1回目のイベントです。その時のお客様は、約50名~60名、平均年齢は60才を超えるであろうという年配の方々ばかりでした。そんな年齢層の高い方に余りよくない音、しかもかなりの大音量で馴染みの薄いJ-POPを演奏したら・・・、半分くらいの方は席を立ってお帰りになるだろう。私の予想とは、全く正反対に誰一人席を立たれることもなく「うれしい、たのしい、だいすき」に最後までお付き合いいただけました。中には、身体を動かしてリズムを取っていらっしゃた方もお見受けしたほどです。私は、心の底から嬉しくなりました。良い音楽は、オーディオでそれを演奏したとしても、誰にでも伝わるという確信が得られたからです。

今回のイベントで「ライブ盤」を使ったように、私はライブを良く聞きます。音楽を聞き、「感動」あるいは「共感」を得ようとするならば、私は「ライブ盤」が最もその目的に適うと考えているからです。「音」が「音楽」の最も基本的 な要素だととすれば、100人近い奏者によって演奏され「音数の多い交響曲」がその頂点に立つでしょう。しかし、数百人、時には数万人の「歓声」が収録されたライブならどうでしょう?「感動を伝える音」を出す“もの”が楽器だとすれば、歓声は紛れもなく”楽器”です。DWL2007の冒頭に収録されているコンサートに参加した大勢の人の歓声は、素晴らしい感動と一体感を私に伝えます。最愛の人が死の病で病床に伏している中、あんなにパワフルなコンサートを実現したドリカムと吉田美和さん。私もあんなコンサートに、一生の内で一度は出会ってみたいものです。

P.S.

イベント前には時間が無くてこのDVDをきちんと見ていませんでした。そこで社員研修旅行の車中を利用して車のDVD(カーステレオ)でこのソフトをじっくり聞こうと考えました。しかし、車の純正装着のステレオで聞くDWL2007は、残念ながらまったく感動的じゃありませんでした。J-POPのCDなら会社で聞いても車で聞いても、程度の差こそあれ「感動」にこれほど大きな違いはなかっただけに、DWL2007の会社と車中の音の差には、驚きました。

一般的にDVDは、CDよりもかなり音が悪いと言われています。いつもAIRBOWのDVDでCDと変わらないいい音を聞いていて、それが普通だと思っていたのでこれほどの差があると気付かなかったのです。決してAIRBOWの音質を宣伝するつもりではありませんが、こんなに音の差があれば、私がDVDを見て感じたことが、文章だとそのまま皆様に伝わらないかも知れないと思い、一言付け加えました。ソフトを生かすも殺すもオーディオ装置次第。そして、その逆もまた事実です。いい音も大事ですが“良い音楽”はもっと大事です!


史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2007(初回限定盤) 史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2007


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