「食事」「酒」「音楽(カラオケ)」は、アフターファイブのレクリエーションに欠かせません。中でも「音楽」は、オーディオ装置の発明で近年めざましい発展を遂げています。民謡のように小さな範囲で地方ごとに発達していた音楽は、15~17世紀にかけて「五線譜」の発明で「キリスト教」と共に地域を越えて広まり、18~19世紀には「クラシック」として編成されます。この時代には楽器も大きな発展を遂げ、バイオリン、ピアノ、フルートなど現在のアコースティック楽器は、ほとんどこの時代に完成しています。楽器と音楽は、それぞれが決して切り離せない密接な関係にあるのです。
「録音技術」が発明された20世紀初頭、それまでは「生楽器(アコースティック楽器)」だけでしか演奏できなかった音楽が「オーディオ装置」によっても奏でられるようになります。「オーディオ」という「新しい楽器」の発明が、音楽を大きく変化させるのです。発明当初は装置の能力が限られていたため、ソースの多くは小編成のクラシックの短編やJAZZあるいは歌謡曲に限られました。オーディオの発明という「楽器」の新旧交代によって、それまで主役であった「交響曲」は、「歌謡曲(POPS)」にその座を譲ります。
戦後、モノラルがステレオになりLPの発明で長時間の演奏が実現して、オーディオは飛躍的な高音質化を達成します。今、家庭の主役は「大画面テレビ」ですが、一時モジュラー・ステレオがそうだった時代がありました。モジュラー・ステレオは、音が良かったのでその当時はレコードもPOPSも今よりも本格的なものが多かったように思います。「サザン・オールスターズ」「坂本龍一」など今の代表的な日本のPOPSミュージシャンが台頭したのは、まさにこの時代です。本格指向の音楽文化が再び花開きかけたその時、カセットテープが発明されます。小さく便利なこの音源からラジカセが生まれ、ウォークマンが発明され、音楽のポータビリティー化が進むと共に音源は、再びプアになりました。楽器がプアになると、当然音楽もプアになります。今の流行音楽を見てください。音楽と言うには、恥ずかしいほどお粗末なものばかりです。確かに音楽は身近になりましたが、こんなに浅く軽薄な音楽が主役のままでよいのでしょうか?低級オーディオが音楽を堕落させる以前の「音源」。音楽シンジケートと大手家電メーカーが音楽を食い物にして、その深みのある文化を破壊する以前の「音源」。本物の楽器と本物のミュージシャンによって奏でられた1950年前後のクラシックやJAZZにこそ音楽の本質が息づいています。
それをきちんと聞かせてくれるのが「本格的なオーディオ」の価値です。そういう本物のオーディオを逸品館は選び、お薦めしてきました。今秋・10月10~12日に開催される「ハイエンドショウ東京2008」でその「成果」をご披露いたします。春のような「合同ブース」ではなく、一部屋を借り切っての参加となります。その機会に素晴らしいオーディオ(楽器)が奏でる、素晴らしい音楽の世界をご体験頂ければ幸いです。