AudioAccessory(オーディオアクセサリー) 132号「AIRBOWの最高傑作が誕生しました」

AIRBOWのラインナップにLittle Cosmosと名付けたモデルがあります。このシリーズは、私がライフワークに考えている「エントリーモデルで最高の音楽を再現する」目的を与えられています。年が明けた1月10日、その第三作目となる、Little Cosmos3を発売いたしました。ベースモデルに選んだのは、Marantzの最新モデルCD5003とPM5003です。それぞれ35,000という低価格の製品ですが、外観には上級モデルと同じ”Ｍ１（ラウンドデザイン）”が与えられ、価格を超える「高級感」を実現しています。
Little Cosmos3の音質は、驚くべきものです。特に優れているのは、「音が重なった場合の分離感」です。国産オーディオ機器が廉価製品のみならず単価100万円に近い製品ですら、近くの音と遠くの音が重なったときの「各々の位置関係」を適正な距離感で再現できる製品が見あたらない中で、Little Cosmos3はセットで11万円のエントリーモデルでありながら、その「距離感」を正確に再現します。
歌謡曲やJAZZでは、ボーカルのバックに位置する「伴奏とボーカルの位置関係」や「それぞれの音の関係」を正確に再現します。歌謡曲になぜ「伴奏」が必要なのか？「伴奏」には、一体どのような意味があるのか？そんな難しいことを考えなくても、「伴奏の持つ力」が自然に体に伝わります。圧巻なのは、「シンフォニーの再現性」です。シンフォニーには、なぜあれほど「数多くの楽器」が必要なのか？それぞれの楽器の音が「ぶつからずに、向こう側の音が透けて見えるように折り重なった」とき、それがどれほど美しいハーモニーに昇華するのか？楽器を多数使わなければ得られない、交響曲の醍醐味がたった11万円のコンポで余すことなく完璧に再現されます。
従来のLittle Cosmosとの違いは、ベースモデルの筐体の変更による強度の向上に伴って「中低音の厚み感」が大幅に向上したことです。小さく軽いコンポですが、もうLittleとは呼べないほど「広大な音の広がり」が実現します。さすがにこの価格では、音の密度感（情報量）こそ上級モデルと比べると引けを取りますが、その広大な音場の自然な広がりと躍動感の大きさでは、内外の高級オーディオセットと比べても、なんら引けを取りません。
手練れのオーディオマニアがLittle Cosmos3を聴けば、音楽を楽しむためにディスクをどう鳴らせばよいのか？その大きなヒントになるはずです。音が出た瞬間にスピーカーの存在も、そしてコンポーネントの存在も完全に消えて、その場がコンサートホールやライブ会場に変わってしまう。Little Cosmosの名前の通りに、目の前に「小さな宇宙」が出現する。真空管でもトランジスターでもなく、アナログでもデジタルでもなく、マシンの存在感を全く感じさせず、その場に音楽だけを出現させるLittle Cosmos3。その音は軽く、柔らかな風のように体を吹き抜けて行きます。そして「良い音楽を聴いた」という記憶だけが、心に残るのです。こんなコンポは他にはありません。
このLittle Cosmosと同時に企画した更に小さなコンポに「Singing Box」シリーズがあります。残念ながら適当なベースモデルに恵まれず「Singing Box」シリーズは、現在ラインナップされていませんが、「初代Singing Box」のために私が手作りで生み出した、AIRBOW IMAGE11/KAIシリーズは（一旦生産完了しましたが、再生産に成功しました）現在も大ヒットを続けています。
エントリーモデルにして最高傑作！一番安い価格帯の製品、エントリーモデルやアクセサリーにも大きな力を注ぐ。一番価格が安いモデルにこそ、音質を落とさないコストダウンのため最大のノウハウを駆使する。それは、設立当初から変わらないAIRBOWの基本理念です。もちろん、逸品館の仕事はAIRBOWを作るだけではありません。失敗させない、後悔させない「製品選びのお手伝い」を全力で続けること！それが逸品館の一番大切な仕事です。どんな小さなことにも全力で取り組む逸品館を、本年も宜しくお願い申し上げます。