藤原正彦「遙かなるケンブリッジ」「若き数学者のアメリカ」は、すべての本好きにお薦めのエッセイ!-女子部ニュース(90)

音楽、本、猫が人生の三種の神器の私ですが、今日は「何度読み返しても面白いアタリ!!の一冊」をご紹介します。

藤原正彦著「遥かなるケンブリッジ」「若き数学者のアメリカ」

これは面白い!!

と同時に居ながらにして見聞が広まる一冊でもでもあります。

「国家の品格」で日本人の矜持を論じた著者が72年にアメリカ・ミシガン大、87年にイギリス・ケンブリッジ大に研究員として招聘された際の滞在記で、巧まずしてオカシイ、氏の行動力と明晰な分析力で両国での生活を綴っています。
ミシガン大は当時のアメリカでの一大数学センター、ケンブリッジはノーベル賞クラスが教授になる必須条件といういずれも超インテリ集団、つまりアカデミックな世界ですが、そこにもポスト争いや教授間の確執があり、中には頭脳がズバ抜け過ぎて奇人変人に近い人間も居たりして、我々凡人には伺い知れない学者達の世界が時に辛辣かつユーモラスに描写されています。
アメリカでは「実用性がある=財界、国防省が興味を示す研究」が主流なのに対しし、イギリスでは純粋数学、早く言えば「役に立ちそうもない学問」に価値があると見なされているところにも両国の歴史や気質の違いが現れていてとても興味深いですね。
また、まるでハリー・ポッターの魔法学校での晩餐会を想像させるケンブリッジでの夕食会の様子も英国文化を知る1シーンです。

そしてアメリカの時は独身で、イギリスでは奥様と男の子3人の家族で当地での生活を送るわけですが、これまた色々な出来事が起こること!!
なんでもオープンで単純明快なアメリカ、なかなか打ち解けてくれないうえにメシがマズいイギリス、それをグチり合う外国人同士の研究者仲間との交流は、たまたま末っ子が学校でイジメに遭ったことからレイシズムへの考察などアメリカとイギリスの文化の違いが氏の生活体験と論理的な視点を通してよく理解出来ます。

やっぱりアメリカはヴァン・ヘイレン、イギリスはクリムゾンを生み出す国なんですね。

頭脳明晰な人が書いた痛快・愉快な英米滞在エッセイ!
是非ご一読あれ。

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