テンちゃんのDAVID BOWIE「Reality Tour」解説・後半編 女子部ニュース(120)

暑中お見舞申し上げます。
猛暑に耐え忍ぶ毎日もお盆を過ぎればもう一息ですね。
夏バテしないように気をつけましょう。

さて前回のブログに続き、2003年~’04年 DAVID BOWIE ‘’Reality Tour” 解説の後半、アメリカ~日本ツアー編です。

`03年10月7日コペンハーゲンからスタートし、約2ケ月間ヨーロッパ各国で32公演をこなし、その間アイルランド・ダブリンではオフィシャルDVDも収録。

12月6日から1回目のアメリカツアーに突入・・するはずがボウイ先生、インフルエンザに罹られて最初の5公演がいきなり延期。12月13日のカナダ・モントリオールから無事、北米ツアーが始動しました。そして翌’04年2月上旬までこれも約2ケ月に渡って、アメリカだけで実に22公演。この1回目の北米ツアーのセットリストはヨーロッパ公演とほぼ同じです。

ここで先生は1週間の休暇を取られ、次はいよいよ極東出張。2月後半のニュージーランド(1公演)、オーストラリア(ボウイ人気が高い英・仏・独並みに7公演もやってる!!)、ついでにシンガポール(当然1公演)に寄って、3月8日、9日、11日が日本公演でした。こうして見ると日本のボウイ人気も結構、頑張ってるじゃありませんか。もっともボウイ先生は母国イギリス、大好きなフランス、ドイツ、そして日本公演はパフォーマンスにも一段とリキが入りますからね。

日本公演はツアー全体から見ると約60公演をこなしたあたりでちょうど中盤ですね。Looking For Water、Quicksand は日本で初めて演奏しました。

こうしてヨーロッパ、アメリカ、アジアとひと通りワールドツアーをこなしたところでひとまずお疲れ様の2週間の休暇。

そして3月29日のフィラデルフィアから2回目のアメリカツアーがスタート。でも2週間休んで、ちょっと休みボケしたのか、Quicksand の途中で歌詞が分からなくなり、やり直すハプニングがありました。

ここから4月5月と目一杯働いて6月5日の Holmdel公演まで32公演をこなしてワールドツアーを打ち上げ。この9ケ月、約100公演に渡るツアーの間、セットリスト、曲順、演出は徐々に変化してゆき、結果全ツアーを通して「フレンドリーで覇気に溢れたパフォーマンス」と言う魅力は一貫しているけれども初期・中盤・さらに終盤では雰囲気がかなり違います。

2回目のアメリカツアーではアルバム「Reality」からは New Killer Star と Realityしかやらなくなり、Lowナンバーも全く姿を消し、Diamond Dog はやるわ、Station To Station はやるわ、はたまた Blue Jean まで登場!!Let’s Dance や China Girl なんて言う80年代のチャラチャラしたナンバーも曲自体はいいので、素直なアレンジで現ボウイバンドのタイトな演奏で聴くと今さらながらに曲の良さを再認識しますね。そしてこのReality Tourにおいてボウイが達している心境を最も表していたのは前年、初めてライブ演奏の封印を解いたThe Bewlay Brothers を演奏したことでしょう。

一見、売れ線狙いの男前アイドルに見えながら、作品の根底には常に自己内部に厳しい目を向けたスピリチュアルな価値の追求や社会への鋭い洞察があり、それがインテリの自己満足に終わらず、必ず「売れる作品」で表現し得るところがボウイの凄いところで類

い稀な才能とともに、その「世間に負けじと戦う真剣さ」がマニアックな男性ファンが多い一因でもあるでしょう。

若き日の心の闇を投影した作品として発表以来、決してライブ演奏することのなかったこの曲を大会場で、さらっと演奏するに至った心境こそが私はアルバム「Reality」の神髄であると感じています。

個人の人生としても、超一流アーティストとしてマーケットでの存在価値を保持するにおいても「やるべき事はやった」と言える(とジギー以来のボウイ・マニアの私には思える)現在、そして「Reality」発表から7年ものインターバルを考えるとボウイが次に表現するテーマにはこれまで以上に期待が高まります。セールスを考えないインテレクチュアルで難解な作品に走るか、あるいは「良質なポップス集」とも言うべき楽曲群やカヴァー集なんて言う可能性もありかなと思いますが、ボウイ・マニアとしてはやはり後10年はワールドツアーをやれるような作品を発表して欲しいですね。

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