さて、またまた DAVID BOWIE バナシで恐縮です。
彼にも売れない下積み時代がありました。
64年シングル「Liza Jane」でデビューして以来(ちなみに Smoke On The Water のあのリフはこの曲にそっくりです)、ことごとくセールス惨敗。67年にやっとデラムからアルバムデビューに漕ぎ着けたわけですが、これまたさっぱり売れずに69年、レコード会社をフィリップスに移籍して再デビュー。アルバム「Space Oddity」)となりました。
この最初の1st (なんかヘンな言い方ですが)はボウイ先生の派手なキャリアの中ではハナから論外扱いで全然話題にもなりませんが、私はわりと好きです。
気が向かない時に聴いても、こじんまりまとまったヘンなポップスで退屈ですが、たまに聴くと以後のアルバムで開花するアイデア満載で、「変人 BOWIE STYLE」の源流が確かに感じられます。
1曲ごとに何か物語やキャラクターを設定して様々な楽曲スタイルで、ひとつの世界を作る作家性と言い、それを表現する為の作曲能力と言い、20歳にしては熟達しています。Love You ‘Till Tuesday は売れ線狙い、When I Live My Dream は「世界歌謡祭」風、Little Bombardier は舞台音楽を思わせます。
ほんと、この頃から狙ったイメージ通りに曲が作れる人だという事が分かります。
ボウイ先生20歳、初々しいデビューアルバム。
ボウイに興味が無くても、もったいぶったポップスが好きな人にはいいかも。一度聴いてみて下さい。
で、少し話は変わりますが、私は数年前にこのアルバムを「当時の空気を吸っている」と「初回プレスは音がいい(と友人から聞いた)」と言う理由で高~いお金を出してアナログで買いました。
20代の頃はレコードを聴くのに音質が良かろうが悪かろうが、アーティストが表現している内容が変わるわけじゃなし、関係ないと思っていましたが、大人になって所謂オーディオ・マニアの友人の家でいつも聴いているボウイの「ワルシャワ」と言う曲を聴いてから考えがガラリと変わりましたね。
雑味の無い清澄な音、立体感、音の伸び、そしてフェイドアウトしていく余韻の中に、これまで聴こえていなかった音が入っていた時の驚き!
聴きなれた曲であったのに改めて作品の芸術性が胸に迫って涙すら覚えたほどです。
やはり「良い音楽を素晴らしい音で聴く」と言うのは一生の友にふさわしい幸せですね。