[無限連鎖」
著者 : 楡 周平 / 文春文庫
2001年秋、ベルリンの壁崩壊後の世界情勢を塗りかえた「9.11」。
この事件以後の「圧倒的国力を持つ(一応)文明国家」VS
大量破壊兵器とテロリストを隠し持つ「ならず者国家(と称される陣営)」の
利害対立がもたらす必然、テロの無限連鎖を迫真のリアリティで
描き切ったサスペンス大作。
「ビン・ラーディンのした事は派手なショウに過ぎない」と
静かに断じるテロリストのリーダー。
国家を跨いだ強大な組織の力でアメリカの盲点をついて
持ち込まれた大量のC4爆弾により全米60ケ所で
再び悪夢の同時多発テロが勃発した。
アメリカの経済、市民生活は瀕死の重傷を負い、
その直後、今度は原油を満載した同盟国・日本の巨大タンカーが
外洋上でシージャックされ爆弾を仕掛けられる。
テロリスト達の要求により船は東京湾へ進路を取るが、
湾岸に物流、電力拠点が集中する東京湾内で万が一にも
原油満載のタンカーが爆破されれば日本経済は麻痺し、
アメリカにも甚大な影響を及ぼす事は必至。
一方、シージャックされた船内では政府との交渉に
一人また一人と部下を殺害され、絶対絶命の状況下で
命を賭してテロ阻止を試みるキャプテン以下のクルー達が居た。
絶対に呑めない要求を付きつけられ、
苦渋の決断を迫られる日米両首脳。
遂に事態解決の為に極秘裏に使用許可された禁断の兵器とは・・?
そして余りにも哀しいラストシーン。
国際問題から銀座の高級クラブまで、常に題材となる世界を
圧倒的な取材力とエンターテイメント性豊かなストーリーで
一気に読ませる実力派、楡 周平が半生の集大成と位置づけた大作!!
映画化して欲しいです!