みなさま、こんにちは。いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
私はこのメルマガや、自社のHPなどを使って、持論を展開しています。
それは、オーディオという素晴らしい「文化」を
より多くの人と共有したいからです。
けれど、その発展を「雑誌社」や「評論家」が妨げています。
彼らは、難解な数字やカタカナを使い、
オーディオ機器をさも「高度な工業製品」であるかのように訴えていますが、
それが逆に「一般の人」をオーディオから遠ざける原因になっています。
人と人の心を結ぶ素晴らしいオーディオと言う「文化」は、
彼らが語るような「技術主導」のものではないのです。
評論家は、断じて「説明員」ではないし、
評論文は「カタログ(説明文)」ではありません。
私が考える理想の「評論」とは。「すてきな物語(ストーリー)」です。
文章を読んだ瞬間、
「紹介すべき製品とそのシーンが焼き付く」のが理想の評論だと思います。
私が、ステレオサウンド誌を代表する評論家「菅野沖彦さん」
の自宅を訪れたときのエピソードをご紹介しましょう。
私が「菅野沖彦さん」のご自宅を訪問したのは、オーディオの世界に身を置き、
つたない言葉であったとしてもオーディオを人様に語る機会を持つなら、
偉大な先輩諸氏と直接お目にかかりお話を伺うのは
「絶対に必要」と考えたからです。
知人の紹介で私が菅野先生の自宅を訪れたのは、
もう10年ほど前になるでしょうか?
滞在したのは、2時間ほどの時間だったと思います。
めったにない機会なので、たぶんオーディオについて熱く語ったはずです。
けれど、不思議とオーディオの話は覚えていないのです。
私が無類の車好きで、
レーシングカートでレースもしていることは公言していますが、
菅野先生もポルシェ「911」を歴代乗り継がれるなど、
たいそうな車好きでいらっしゃいます。
そういう理由で会話はオーディオよりも、
むしろ車の話で盛り上がったのでした。
そして出てきたのが、
菅野先生が還暦を記念して世界で一番速いレーシングカー「F1」に乗るために、
フランスへ行かれたときのお話です。
「F1体験試乗」のお話は、
「F1」に乗れるかどうかのテストのために、
まず「F3」に試乗したところから始まります。
「F3」でサーキットを走った後、
きちんとしたメディカルチェックを受けて「ドクターの許可」が出たお話。
「F1のコクピットに向かうとき」の緊張感とそのけたたましいサウンドのお話。
そしていよいよ「F1の感想」に話が進み、私の興味も最高潮に達します。
そこで私が、「それでF1はどんな感じだったのですか?」と切り込むと、
菅野先生は「いや~、清原君あれはすごいよ!
まるで、大砲の弾に乗っているようだったよ!!」
もっと詳しく話されるのかと思っていたら、それで、コメントは終了です。
大砲の弾になど、乗ったことがある人はいないし、乗れるはずもありません。
けれど、「F1」の「音」、「振動」、「スピード」のすさまじさを
「大砲の玉」にたとえることで、
長々と文章を書くよりも強く的確に表現できるではありませんか。
ああ、この人の言葉、この人の比喩には、私はまだまだ届いていない。
まだまだ、精進が必要だと感じると共に、
菅野先生のような人たちがいたからこそ、
ストレオサウンド誌、オーディオはこんなにも注目を集めたのだと、
つくづく実感しました。
「機会があれば、何か一緒にやりたいね」。
菅野先生の温かい言葉をいただいて、訪問は終了しました。
振り返れば、芥川賞作家の「五味康祐氏」を代表に、
昔の評論家の文章には夢とロマンがちりばめられていました。
今の評論は、そういう味のある物語ではなく
「ただの説明書(カタログ)」でしかありません。
だから、いつしか私は「雑誌」を読まなくなったのでしょう。
私たちがオーディオに求めているのは、
「夢とロマン」です。
それを語れてこそ、初めてまっとうな「評論」と言えるのでしょう。
私は、まだまだその域には達していません。
けれど、飽くなき興味を持って経験を積み、
先輩諸氏に恥ずかしくない文章を書けるようになりたいと思っています。
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