今月発売のステレオサウンドに「響きこそ音楽そのものである」と銘打った広告コラムを掲載しました。弊社HPには、すでに掲載済みなのでご覧になられた方も少なくないと思います。
http://www.ippinkan.co.jp/column/stereosound164.html
このコラムに書いたように、最近はつくづく「響きを殺さず生かす」ことが大切だと実感しています。今月、AIRBOWからPM8001/StudioとPM6001/liveという2機種のプリメインアンプを発売しましたが、これらのモデルにも、この考えを取り入れ「回路で生まれる響き」を生かしながら音を作っています。
測定器では、「響き」は「歪み」として計測されます。その「歪み」が音楽にとってプラスに作用するか?マイナスになるか?それを判断できるのは、音楽を感じられる人間だけです。このようにオーディオ製品は、電子回路であると同時に楽器でもあるのです。オーディオ製品の楽器としての性能を確かめ、それを練り上げる唯一の方法は、「耳でアンプ(オーディオ製品)を作る」というやり方しかありません。
この方法は、昔から行われてきたことですが、最近新発売されているデジタルアンプの綺麗だけれど無表情な音を聞いていると「なぜこれほどまで心に響かない製品を作れるのだろう?」、「これらのアンプは本当に人間が聞いて作ったのだろうか?」と心底疑問を禁じ得ないことがあります。中身が薄っぺらになりつつあるのは、オーディオ製品に限ったことではありません。レストランやラーメン店の食事も然りです。どこに行っても「同じ味」。レトルトや冷凍食品を調理して、それが「料理です」と言われても、私は納得できません。きちんとトレーニング(修行)を積んだ料理人が、心を込めて作る食べ物が「料理(お袋の味も立派な料理!)」であって、インスタントに量産する食べ物は、料理とは呼べないと思うのです。
ただ、オーディオと違ってレストランが良心的なのは、インスタントな食事しか出さないレストランは「価格もそれなり」だと言うことです。マクドナルドには、マクドナルドの価格に釣り合った「味(パフォーマンス)」が存在し、そう言う意味ではバランスが取れているし、お客様は価格に応じてレストランを選べば、大きな外れなく価格相応のサービスが授受できるという点では、オーディオ業界よりも「良心的」だと思えます(ただし、安くても体に悪い添加物が入っているような食べ物を出されては別ですが)。
私から見れば、最近発売される「デジタルアンプ」の多くは、レトルトや冷凍食品と同じレベルにしか思えません。見かけは綺麗ですが(聞いた感じの音はよい)深み(音楽の表情)が足りないからです。これらは、使われている技術こそ最新ですが、音楽生成装置として考えた場合、旧来のアナログアンプに劣る(より安いアナログアンプよりも音が悪い)その内容は実に稚拙だと言わざるを得ません。現時点でデジタルアンプがアナログアンプに勝っているのは、発熱が少ないこと、消費電力が小さいこと、コンパクトなことのこの3点だけではないでしょうか?この長所を生かし、TV用のアンプや、携帯電話、パソコンなどの「家電品、家電情報機器」にデジタルアンプを搭載することは理解ができます。デジタルアンプの音をアナログアンプに置き換えるなら、フィードバックを多く掛けたアナログアンプの音に似ています。フィードバックを増やすと測定上の歪みは減りますが、音が無表情で冷たくなります。この冷たさを嫌って「ノン・フィードバック(無帰還)」のアンプを賞賛していたはずの、オーディオメーカーがなぜデジタルアンプを嫌わないのか?理解に苦しみます。デジタルアンプを「本物の味」を求められる「ピュア、オーディオ」に導入するのは、まだ時期尚早ではないでしょうか?
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