StereoSound(ステレオサウンド) 156号「テクノロジーとアートの融合(2)」

テクノロジーとアートの融合から生まれた新生代のサウンド

私事で恐縮だが、今年も去年に引き続いてレーシングカートレース「茂木K-TAI」に参戦した。チーム名も「オーディオのことなら逸品館」としたので、わかりやすく宣伝効果も抜群だったと思う。結果は、残念ながらレース終了30分前にエンジンが壊れて「クラス4位」で表彰台には登れなかったが、同じカートショップ「FeG」から参戦した3チーム(“オーディオのことなら逸品館”も含めて)が一時すべてトップを走り、内1チームがクラストップ、さらに「MVP(最優秀賞)」に選ばれ参戦は大成功を収めた。この様子は、K-TAI 2005のホームページに詳しく掲載されているので興味がある方はご覧頂ければ幸いだ。
レースの結果はともかく、私はここ数年「レーシングカート」という良き「趣味」と出会ったお陰で、大変充実した毎日を過ごしている。「レーシングカート」の良さは、体を使い反射神経をとぎすますことで「五感と脳の連携」を活発にしてくれるところにある。人間本来が持っている「身体感覚」を驚くほど効率的にトレーニングできる。私は本来負けるのが嫌いな性格だから、レースに参戦してからはますますその熱は上がるばかりだ。 人類の男性は本来「競う」という本能を持っている。この「競う」という本能や行為自体は悪いものではない。それがなければ、科学や技術はこれほどまでに、早すぎるほどの進歩は遂げなかったはずだ。だが、最近の運動会では「一等賞」がないと聞く。あきれるほど、ばかげた話だと思う。「勝ち負け」があるからこそ「競争」が生まれる。「競争」が「努力」と「進歩」を生む。それを取り除いたら、人間は決して成長しない。レースに出て気づいたのだが、私がレースに出るのは、「負けたくないから」であって「勝ちたい」からではない。そう言うと、とても矛盾するように思えるがそれは違う。私が欲しいのは「負けたくない」という気持ちなのだ。人は「負けたくない」から「努力」をして毎日を頑張る。その努力の甲斐あって「階段を一つのぼれたら」頑張ったのと同じだけの「感動」が得られる。それが人生の喜びなのだと、レースを通じて私は強く再認識した。だから「勝った瞬間」あるいは「勝ち続けた瞬間」に私にとってそのレースは価値を失うだろう。同時に「楽をして勝ちたい」、「卑怯な手を使って勝ちたい」などとはゆめゆめ思わない。自分自身の体力と知力の限界に挑戦して、それを「フェアに競う精神」こそが大切なのだ。目標は「勝つ」ことでも、目的は「勝つ」ことではないのだ。
本題に入る。私が「AIRBOW」を立ち上げたのは2000年になる前だ。一号機は、TYPE-1という120万円のプリメインアンプ。その後波動ツィーターの発売などを経て現在に至るが、私自身としては、その「音質」も「コストパフォーマンス」も他を大きく引き離して、いわば「断トツ」と感じていた。言い換えれば、もはや「競う相手がいない」と思えるほど「思い上がって」いたのだ。いつしか「勝ち続ける」という思いが、オーディオに対する「私自身のモチベーション」を下げ、知らず知らずに「さらに先を目差す努力」を怠っていたのかも知れない。だが「カートレースで負けたこと」が、私の心に火を付けた。「負けること」の悔しさを思い出し、「オーディオに対するモチベーション」が「AIRBOW」を設立した当時と同じように高まった。
この暑い夏、その「情熱の炎」が「Esoteric UX-1」をベースとした、他に比類のない「音質」と「画質」を実現したユニバーサルプレーヤーという「形」になった。デジタルの持つ優れた物理特性と、アナログの持つ高度な音楽性。それらが融合し、昇華したサウンド。ノイズのない最高のレコードプレーヤーのような、他のどんなオーディオ機器にも似ていない音。バーチャルでありながら、現実よりも現実的な音。CDでさえ、どんなSACDプレーヤーにも勝るとも劣らないほどの驚くべき音質と、現実を越えるほどの表現力で再演するプレーヤー。皆が待ち望んでいた音。だが誰もが知らなかった音。昨年5時間を完走し、クラス二位でチェッカーを受けた私が感じた“熱い想い”と同じ気持ちを「音と音楽を通じてあなたに届けられる」、そう確信できる“もの”が完成した。
そのプレーヤーを「Supreme emotion」という名付けた。和訳すると「至高(この上もなく高くすぐれている)の感動」となるこの言葉が、この製品に最もふさわしいと思ったからだ。
趣味に於いても人生に於いても、決して手を抜くことなく、努力を怠らず、最高を目差し、同時に優しさといたわりの心を決して忘れない。そういう言葉がふさわしい人にこそ、この感動を贈りたい。そして常に最高の音楽を世に送り続けた、世に送り続ける「情熱」を胸に「心の炎を燃やし続ける」音楽家にこそ、この音を捧げたい。
テクノロジーとアートの融合。人と人を結ぶもの。カートレースを通じて私が実感した、言葉に代えることのできない「感動」を「音」に換えて「UX-1 Supreme emotion」※は、あなたに伝える。

※従来のCDプレーヤーと根本的に異なるのは、楽器などの倍音が頭打ち(20KHzで信号がとぎれる違和感)をまったく感じられないことです。少なくとも聴感上では20KHz以上の高域まで再現されるため、良い意味でCDとSACDやDVDオーディオの差が余り感じられません。さらに、従来はあきらめていた音の悪いディスク(J-POPなど)も素晴らしい音質で再現します。従来のデジタルとは一線を画する音、CDのサウンドでさえSACDを越えるその素晴らしい音質と圧倒的な表現力を逸品館で是非お試しください。

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