逸品館メルマガ051「PS3は、本当にすごいのか?」

地球温暖化の影響か?最近は、AV機器の大敵「雷」はひどくなる一方です。「落雷」による被害防止のサージフィルター付き電源を使うと一定の効果はありますが、絶対に大丈夫というわけではありません。

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HDMIの画質の検証でPS3(最新のファームウェーアーに書き換え済み)をじっくりと見てみました。メディアがこぞって、これはすごいすごいと言っていますが、本当にそうなのでしょうか?

私の感想は、ある意味では“YES”。ある意味では“NO”です。

まず、すごいと言われているその音質ですが、これは言われているほどは大したことはありません。数万円程度のCD/SACDプレーヤー、あるいはユニバーサルプレーヤーの音質と大差ないレベルに思います。もちろん、逸品館推薦のCDプレーヤーの方が比べものにならないくらい、いい音です。画質は、Panasonicの20万円弱のブルーレイ・プレーヤーと見比べました。PS3に搭載されている画像処理エンジンのスペックから推察しても、画質が良いのは想像できますが、圧倒的に“PS3”が高画質でした。しかし、それはあくまでも「静止画」の状態での評価です。

PS3の画像は、透明度も高く、解像度も高いのですが、PS3の画質には「深み」が欠けています。いかにも!デジタルチックな画質です。そして、静止画の解像度が高いことが裏目に出て、動画の動きがとても不自然に感じられます。もちろん、それでも比較したPanasonicよりは、良いところもあるのですが、同じソフトをDVD(AIRBOW DV9600Special)で見る方が動きは、滑らかで全体的な解像度は低くても、遙かに自然に映像に入っていけます。その理由を私は次のように推察しました。

PS3は、性能が高く画面の細部にわたって「律儀」に綺麗な絵を描きます。しかし、私たちが見ている「動画」は、あくまでも30枚/秒の静止画でしかありません。この「静止画」が動きを伴ったとき、輪郭などの成分がハッキリしすぎると「動画」ではなく、ぎくしゃく動く「静止画」に見えてしまうのだと思うのです。

私たちの目は、動くものを「ハッキリ」と見ることは出来ません。電車に乗って「駅名の看板(近くの)」を読めるのは、速度の遅い時だけで、速度が増せば徐々に文字が流れて読めなくなります。だから、動画処理の時にも「動いている物体の輪郭」が静止時のようにクッキリとしてはいけないと思うのです。動く速度に応じて、輪郭はある程度ボケてゆくのが自然なのではないでしょうか?PS3は、あまりにも性能が高すぎて、本来ボケなければいけない輪郭まで、クッキリと再現している為、動画の時にその弊害が現れるのだと感じます。

しかし、不思議なことにこの現象は「アニメ」の時には感じられません。最新の「アニメ」の再現性ではPS3に勝るプレーヤーは、無いかも知れないと感じるほど「アニメ」とPS3の相性は抜群で、文字通りすごい映像が見られます。
(SONY自ら、PS3の画像はアニメ向きだと説明しています。)

実写では「△」または「×」。アニメでは「◎」。多分それは、私たちの認識が(脳の処理が)実写とアニメで切り替わっているためではないかと思います。実写映像は、現実として脳が処理しようとするため、現実にそぐわない部分(動画が過度に明瞭になっている)に不自然さや違和感を感じるのに対し、アニメやゲーム映像では、私たちの脳の認識が最初から偽物と判断しているため、現実と差異が生じても違和感を抱かないとは、考えられないでしょうか?

また、レーザーディスクで見たことのあるアニメをブルーレイ+PS3で見ると、なんだか違和感を感じて、やはりストーリーに入っていけないと感じることがありますが、それも「記憶」の映像と無意識に比較して、その違いに戸惑って違和感を感じるためではないでしょうか?

このように「何を見るか?」によってPS3の画質の評価は、大きく分かれること必至です。もちろん、PS3の販売価格を考慮すれば、PS3の技術水準が素晴らしいのは言うまでもありませし、アニメやゲーム映像だけを見るのならPS3は素晴らしいと思います。しかし、巷で声を大にして言われているように「どんなときにもPS3が最高にすごい画質を実現している」と考えるのは、明らかな間違いだと思います。すくなくとも「名作」と言われるような、フィルムで実写された映画を観るには、私はブルーレイやPS3よりも「良く吟味された絵作りがなされたDVDプレーヤー」を選ぶでしょう。もちろん、そのようなDVDプレーヤーの価格は、PS3よりも遙かに高価であるため、比較自体フェアとは言えませんが、PS3が万能のように宣伝している一部のメディアのやり方は、完全にメーカーの提灯持ちでしょう。

話は、少し戻りますがPS3がクッキリしすぎていて違和感を感じるのと同様の原因で動画の場合、HDMIよりもコンポーネント接続の方がエッジが柔らかく滑らかになり画質が自然に感じられることがあります。その傾向は、相対的に低価格の製品より、性能が高く高価な機種であればあるほど顕著なようです。高画質を狙われるなら、接続は面倒でも一度すべての方法をお試しになるのが得策だと思われます。

PMCの新型スピーカーEB1とソナスファベルの新型スピーカーELIPSAを比較しました。どちらも甲乙付けがたい、良いスピーカーでしたがELIPSAを展示導入することにしました。詳細な音質レポートを掲載しています。
https://www.ippinkan.com/sonusfaber_elipsa_pmc_eb1.htm

AIRBOWより、トランジスター方式のプリメインアンプPM6001/Live(\88,000)とPM8001/Studio(\145,000)を発売します。PM8001/StudioはPM8001/Spaceを一からもう一度作り直し、完全にリニューアルした新製品です。どちらも、旧来のKAIシリーズとは一線を画し、現在発売中のTRV-35SE/Dynamiteに匹敵するすごい音に仕上げることができました。交換部品点数も開発にかかった時間、コストも半端ではありませんが、価格はできる限り抑えています。たぶん同価格帯では、まったく敵がない!?くらいの素晴らしい音質に仕上がっていると自負しています。

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