逸品館メルマガ114「音源はCDだけじゃない」

関西のお花見はそろそろ終盤を迎えます。私は、桜の見所を「散り際」に感じます。
大阪近郊の桜スポットで有名な「奈良県吉野山桜」の「散り際」を見られたことがありますか?山いっぱいに咲く桜の花びらが、一陣の風に乗って山間を吹き抜ける様は、まるで「龍」が谷間を駆け抜けるかのようです。名古屋の有名な料亭「八勝館」の素晴らしい庭園に咲く夜桜がハラハラと散るのを見ながら、美味しい料理に箸を運んだこともあります(一生に何度もできない贅沢です)。そんな素晴らしい「日本の風情」を感じる時、私は日本人に生まれて良かった!そう思います。
オーディオから思い通りの音が出せたとき。思う以上の音が出たときにも、同じ喜びを感じます。趣味は、体の内側から人生を豊かにしてくれます。
今日のテーマ-は「音源はCDだけじゃない!」です。
今なぜそのような話題を採り上げるのか?理由はいくつかありますが、最も大きな理由はCDから前進するために生まれた「SACD」が消えつつあり、「ブルーレイ」が台頭してきたことです。時代の流れは、オーディオからビジュアルを含むAVへとどんどん進んでいます。この流れは、加速することはあっても、元に戻ることはありません。それに輪をかけて悪いことに、ブルーレイの「物理特性(カタログデーター)」があまりにも圧倒的なため、「CD高音質の主張=ピュアオーディオ高音質」の方程式が崩れつつあります。
実際はそんな単純ではなく、高級ブルーレイ・プレーヤーよりも高級CDプレーヤーの方が音は間違いなく良いです。しかし、それを実証するための「デモンストレーション」は、家電量量販店の環境では構築できません。音の違いが分からなければ、新しいメディア、カタログスペックの高い製品に世論が流れるのは避けられません。
技術の進化は後戻りしませんから、レコードやカセットテープがCDに取って代わられたように、やがてCDも新しいデジタル・メディアに吸収されて行くのは間違いありません。「音源はCDだけじゃない!」という今回のテーマは、その流れを先取りして、CD以外のデジタルメディアをもっと積極的に楽しもう!というのがその主旨です。
では、「音源はCDだけじゃない」の本題に入りましょう。
「デジタル家電」の先駆けとなるCDプレーヤーが発売された1982年のデジタル技術と最新のそれを比べます。当時のパソコン用最先端CPUのクロック周波数はわずか「6MHz/8MHz」で、演算ビット数は16Bitに過ぎませんでした。それは最新の携帯電話に搭載されるCPUのクロック周波数「1GHz」演算ビット数32Bitとは、比べられないほどの低性能です。記録メディアでは、当時主流の記憶メディア3.5インチ・フロッピーディスク1枚当たりの記憶容量が1.44MBに増量されるのは1986年。現在の最新BDメディアの記録容量は25GB/枚ですから、その容量差は17000倍を超えます。家庭での記録メディアの歴史を振り返っても、当時主流だったビデオテープはもうほとんど見かけなくなり、それに変わって隆盛を誇ったDVDでさえ、BDに変わろうとしています。そして新しい記録メディアとして生まれたHDDや固体メモリーが、光ディスクに置き換わりつつあります。
この超速のデジタル家電・記録メディア変遷の中にあってCDは、頑なにその形状を守り続けています。それはある意味で奇跡です。なぜなら、CDのデジタルフォーマット「サンプリング周波数44.1KHz/量子化ビット数16Bit」は30年前に定められた時のまま変わっていないからです。この旧態然としたCDにいまだに固執しているのが今のピュアオーディオ・メーカーの現実です。確かにCDに変わるメディアとしてSACDが登場し、時代の寵児ともてはやされたこともありました。しかし、昨今SACDの新譜はごく僅かしか発売されていません。このままCDにこだわり続けてピュアオーディオに未来はあるでしょうか?その答えは明らかです。
話は変わります。レコーディングスタジオで使われているデジタルフォーマットは、高音質なものとして96Khz/24Bitが使われることもありますが、主流は48KHz/24Bitです。また、映像機器(映画撮影)の音声フォーマットも48Khz/24bitが主流です。このように一般的にはあまり知られていないと思いますが、CDより音質が劣る携帯やiPodなどの「圧縮音声」は別にして、録音現場の主流は48KHz/24Bitもしくは96KHz/24Bitなのです。
CDの音声は、これらの音源から44.1KHz/16bitに変換されて収録されています。しかし、48KHzから44.1KHzに音声をD-D変換する時「かなり音が悪くなる」ため、ほとんどのスタジオでは音声を一旦アナログに戻し(D/A変換)、再びデジタルに変換(A/D変換)して音質の劣化を極力抑えている状態です。
このように周りを見回して見れば、携帯やI-podなどの「圧縮音声」は別にして、サンプリ ング周波数44.1KHz/量子化ビット数16BitというCDのフォーマットが最も「時代遅れ」になっています。録音現場の主流は48KHz/24Bitもしくは、96KHz/24Bitで、44.1KHzは使われません。つまり、最新の高音質を生かすためにはCDでは不十分で、48-96KHz/24Bitのフォーマットが必要なのです。これらのことを総合的に考えると、今オーディオに必要なのは、「CD以外の音源に目を向けること」です。
CD以外の身近な音源でCDより音が良いのが、DVDに収録されている48KHz/16Bitのステレオトラックです。CDの44.1KHzとDVDの48KHzのサンプリング周波数の違いは、数字の上では僅かです。しかし、実際にその違いを知れば誰しもが驚くと思います。聴感上のDVDの高域限界は、CDよりも1オクターブ(周波数で2倍)にも感じられるからです。DVDの音は、CDで不足しがちな空気感に溢れています。奏者の気配や、場の雰囲気の濃さがCDよりも格段に濃厚なのです。
どのオーディオメーカーやオーディオ専門店からも、CDよりDVDビデオの音が良いという主張を聞きません。そして、彼らが作り、薦めるDVDプレーヤーがCDの音質を超えたこともありません。しかし、逸品館でその音を聞かれれば、その素晴らしさに驚かれること間違いありません。逸品館が作るAIRBOWのDVDプレーヤー(ユニバーサル・プレーヤー)は違います。CD/SACDを演奏した時に同価格帯のCD/SACD専用プレーヤーを上回るのはもちろん、DVDビデオソフトを演奏しても「CDを圧倒する高音質」が実現するからです。CD/SACDを演奏したときに同価格帯のCD/SACD専用プレーヤーを上回るのはもちろん、DVDビデオソフトを演奏しても「CDを圧倒する高音質」が実現します。廉価なAIRBOW DV6001/Specialでもそれは充分に感じられます。4月末発売を目差して、開発をほぼ完了しているEsoteric DV60ベースのカスタマイズモデルDV60 Ultimateでは、CDの音質が同価格帯のCD/SACDプレーヤーを凌駕するのはもちろん、DVD(2ch)のサウンドは、それらのSACDを凌駕するほどに仕上がっています。
このように最先端の高音質は「CD以外のメディア(CDよりも後で発売されたメディア)」で実現しつつあります。言い換えればピュアオーディオには、CDのデジタルフォーマット「44.1KHz/16bit」の呪縛を逃れた時に「新たな高音質の世界」が開けると私は考えています。
このように逸品館は「2ch(ステレオ)」でもDVDのサウンドの取り入を積極的に推薦していますが、と同時に今後メディア販売の主流となるであろう「ネットワーク」に対応した高音質製品も着々と準備中です。
今年6月にクリプトンが「96KHz/24Bit音源による高音質配信」が始まります。これらの最新の音源は、ディスクではなくHDDに記録されることになります。また、最近店頭でCD-Rメディアをほとんど見かけなくなりましたが、それはCDをHDDやメモリーに録音して聞くことが多くなったからです。このような音楽ソースのディスクメディアからの脱却を考えた場合、LANでHDDやPC、HDDレコーダーなどの機器から音声データーを再生機器へ送信するための規格が2008年から登場した「DLNA」です。とくにDLNA対応のNAS(外付けHDD)のメリットは非常に大きく、NASとDLNA対応の再生機があれば簡単なホーム・ネットワーク・サーバーが廉価で完成します。
すでに普及している、LAN以外のデーター通信方式としてUSBとi-LINKデジタル入出力がありますが、中でもUSBは今後、ピュアオーディオ・プレーヤーの必須となりそうです。CEC CD3800、Esoteric SA50、marantz SA8001、などすでに発売されているUSB搭載プレーヤーの人気が他機種よりも高いのは、その裏付けです。
逸品館は、この「CDじゃないメディアの高音質」を積極的に展開するため、ピュアオーディオ製品に匹敵する「高音質DVDプレーヤー」や「高音質AVアンプ」を開発、AIRBOWとして発売しております。この5月22日から、有楽町で行われる「ハイエンドショウ東京2009春」では、これらのAIRBOW製品のデモを通じ「CDじゃないメディア」によって、デジタルミュージックが超速の進化を遂げ、夢が未来へと大きく広がることをアピールしたいと考えています。

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