逸品館メルマガ134「異父兄弟対決」

こんばんは。おかげさまでハイエンドショウトウキョウは大盛況の内に終了することができました。入場者集も過去の記録を大幅に更新し、3日間で2800人を超えるご来場を賜わりましたこと、深く感謝申し上げます。
各デモンストレーションの模様は、昨年同様デジタルムービーで撮影しております。編集が完了次第、徐々にYou Tubeにアップロードします。ご期待下さいませ。
今年は「初日」の来場者数が少なく感じられたのですが、これは事前のメルマガで「後半の方が音が良くなる」と書いたことを考慮して頂けたからではないだろうかと考えています。しかし、今年は昨年よりも開場が早く搬入に習熟していたこともあって、初日からかなり納得行く音が出せました。もちろん二日目の方が音は良かったですが、その差は僅かでした。私自身納得の音質が実現し、ご来場頂けた皆様にはひととき心から「音楽」をお楽しみ頂けたのではないだろうか?と自負しております。
トークでジョークが受けなかったのには、ちょっと焦りましたが、それほど真剣に音(音楽)をお聞き頂だけたのだと思っております。本当にありがとうございました。皆様のおかげで私も、大変楽しい3日間を過ごさせて頂きました。

さて最初の話題は、2回にわたり話題とした「デジカメ選び」から始めしょう。結論を先に述べると、結局Canon Powershot G11を購入したことで落ち着いています。早速G11を愛用のRICHO R-8と簡単に比較しましたが、レンズの解像度ではG11が勝るものの、明るいところではR-8の色が「より自然」です。これには驚きました。
ピントのシャープさも甲乙付けがたい感じです。しかし、さすがに暗いところでは圧倒的にG11の画質が勝ります。スナップを撮る場合には、シーンに応じたセッティングをダイヤルに割り振れるちょっと通向きのR-8の操作性も私は好きですが、複数のダイヤルを使いワンタッチで設定変更ができる、G11の操作性はさすがに練れている感じがします。いずれにしてもG11と比較することで、R-8の出来の良さを再認識する結果となりました。金属をふんだんに使ったR-8の外観の高級感も、軽量化のためプラスティックを多用しているG11を上回ります。価格が5万円ちょっと安いので文句は言えませんがG11は、お世辞にも高級感があるとは言えません。
現在、R-8は生産完了し後継モデルのR-10が2万円を切る価格で売られています。これは、本当に安いと思います。何だが、無意味にR-10を一台買ってしまいそうです。
G11を購入したことを機会に撮り溜めたデジカメの写真をカメラ別に見比べました。比べてみるとSONYのDSC-WX1も「それなりに綺麗」と感じました。しかし、それ以前に愛用していたCanonの400万画素(型式番号失念)、SANYOの800万画素(これも型式番号を失念)で撮影した写真は、やはり現在の水準と照らし合わせても充分に「綺麗」と感じられるものでした。だたし、どちらのモデルも「電池がすぐに切れる」ことには閉口しましたが。
さらに、5年前に発売されたSONY F828を加えて写真を見比べた結果から判断すると、ここ5年程度(もうちょっと長いかも知れません)デジカメの「画質」は、あまり進歩していないように感じられます。どちらかといえば、モデルの新旧よりも、今回私が体験したような「機種による差」の方が大きいように思えます。こんなことを書くと、新製品を購入するのが馬鹿馬鹿しくなりそうですが、ある意味でそれは間違っていません。

この話はデジカメに限ったことではなく、逸品館が取り扱っているAV機器にも同じ事が当てはまります。例えば、プロジェクターです。Victorから新製品のDLA-HD550が発売されましたが、一つ前のモデルと比較してスペックはほとんど変わっていません。外観も全く同じですが、形を変えるとコストが大幅に増大するため(たぶん数千万円は軽くかかります)、少量しか生産しない高級プロジェクターのあり方として「無駄なコストを掛けない」のは良い方法だと思います。肝心の画質ですが、デバイスや回路が大きく変わっていないため、スペック通り大きな差はありません。ただし、動画応答性を高める倍速モード搭載や、スクリーンに合わせて色合いが変えられる機能など、着実な進歩が実現しています。HD550のようなマイナーチェンジ的な進歩は、技術が大幅に向上しなくなった段階に於いて、前モデルの弱点を着実に改善しながら価格を据え置ける、合理的なモデルチェンジ方法です。また、選別した素子を使い「パーツ段階での精度を向上させることによる性能改善の実現」で高級モデル(HD950)を発売するのも、コスト低減のため非常に賢いやり方だと思います。
HD550とHD950のような「兄弟機種」はプロジェクター以外でも多く見られます。各社の新型AV製品も最近は、「回路基板やシャーシーなどを共有」しコストを下げる方法が一般的になりつつあります。顕著な例では、marantzのピュアオーディオ製品7003/8003シリーズや15S2/13S2です。これらの2機種には、全く同じ基盤が採用されていますが、トランスの大型化、シャーシ肉厚の増加、搭載するパーツの高級化などにより、音質は見事に異なります。外観や内部に余計なコストを投入せず、実質的な部分(音質)に集中してコストを掛け差別化を行う。このやり方は、AIRBOWが実践してきた「カスタマイズモデル」の製作と全く同じです。さらに、同じ回路や基板を使って「異なるバリエーション」の音を作るため、共通のノウハウが使え「それぞれの音がより練れている」のも優れた長所となります。このように余計な見栄を張らず合理的な生産方法を採用した結果、メーカーの新製品も従来より「コストパフォーマンス」が大きくなり、同じ価格で高音質が実現しているのは嬉しいことです。
逸品館が取りあつかう「兄弟機種」には、面白い対決があります。SA15S2/PM15S2をプラットフォームとして、marantzがカスタマイズしたモデルがSA13S2/PM13S2です。それぞれは型式番号は変わりますが、基盤と回路は共通です。同じSA15S2/PM15S2を母体としAIRBOWがカスタマイズしたモデルがSA15S2/Master-PM15S2/Masterです。この「異父兄弟対決」は、逸品館に於いてmarantzのチーフデザイナーを交えて、すでに行っています。そして、それぞれ甲乙付けがたい面白い結果となりました。1号館の店頭では、それぞれの機器をご自身の「耳」で比較して頂けます。

カテゴリー: メルマガ, 社長のうんちく タグ: パーマリンク