逸品館メルマガ337「2014年11月14日号」

インターネットが普及する前、例えば15年~20年前は、大企業が新しいハードウェアを開発し、それを売り込めば市場が形成されました。ビデオを例にあげるなら、何もないところに生まれた「VHS」や「ベータマックス」から始まって、その後に登場した「8mmビデオ」、「VHS-C」、そして「DVテープ」へと、ハードウェアが小型化するたびに、新しいハードウェアは爆発的に売れ、企業に利益をもたらしました。

けれど、ビデオの記録方式が「データーカード」になったと同時に、ビデオカメラの価格と売り上げは激減します。大型テレビも同じです。ブラウン管から薄型テレビ、そして大画面、地上波デジタル放送。ここまでは順調でした。けれど、3D放送は頓挫し、4Kも立ち上がらないでしょう。すでに「ハードウェア主導」のビジネスモデルは崩壊しているのに、それに追従しない企業が「赤字を垂れ流して」います。そういう企業には、たぶん「古いビジネスモデルを固持する経営陣」がいるはずです。

高級家電業界が抱える問題はこれだけではありません。「広告」にも問題があります。カタログ「スペック」や「新技術」を誇示し、数字がより小さい(数値的に優れている方向)への誘導。これも限界です。確かに、ビデオカメラが1kgから100グラムに小さくなると大きな変化だと思います。けれど、100グラムが10グラムに変わるのはそれほど意味がありません。製品性能は、あるところまで消費と性能が比例します。けれど。ある一線を越えると性能の向上に消費が追従しなくなります。にもかかわらず、延々と「スペック」を誇示したところで、先は見えています。

東京の一極集中でそれなりに賑わう東京に比べ、大阪に以前の活気はありません。だからそこよけいに「時代の流れ」を身体で感じるのだと思います。言うまでもなく、私達の業界も変わらなければなりませんが、業界の中でもオーディオ業界は特にそれが遅れているように思うのです。今年のハイエンドショウ東京は告知不足もあり、思うような集客が得られませんでした。

それに対して「オーディオ ホームシアター展(音展)」は、2万人以上の来場者で賑わったようです。けれど、オーディオ(良い音で音楽を聞く趣味)は、こんなものじゃないと常々考えています。音楽を聞く機会は、すべての人たちの間で以前よりも増えているからです。逸品館は、オーディオと音楽ファンの関係を今よりももっとカジュアルにしたいと考えています。

カテゴリー: メルマガ, 社長のうんちく パーマリンク