メルマガ」カテゴリーアーカイブ

逸品館メルマガ075「リップシンクについて」

今年、5月9,10,11日の3日間東京で行われます「ハイエンドショウトウキョウ2008スプリング」に出展します。 http://www.hi-endshow.jp/ 今日のお話は、映像のリップシンクについてです。よろしければお付き合い下さいませ。 最近、映像の最先端の現場で仕事をしている知人と話す機会がありました。単刀直入に「ブルーレイについてどう思うか?」と尋ねたところ、新しいフォーマット(規格)には、新たな価値と魅力があるとストレートな答えが返ってきました。その通りです。 DVDとブルーレイの一番大きな違いは「細かい部分の描写」であると彼は言います。彼の主な仕事は、音楽の現場(コンサート)をビデオで収録することですが、ブルーレイによって細部の描写が緻密になることで「引いた絵(広角側の映像)」が使えるのがDVDとの一番の違いだというのです。例えば交響曲のコンサート(オーケストラ)を撮影するとき、従来のDVDの解像度だと全体を写したときに、一人ずつが一体何をしているのか?見えないけれど、ブルーレイ(ハイビジョン)で撮影すると、それが見えるので「アップを多用しなくても良い」というのです。... 続きを読む

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逸品館メルマガ074「脳による補完の重要性(3)」

先号メルマガの終わりに、良い音と映像に触れると五感が自然にリセットされ、心と体が自然なバランスを取り戻す。と書きましたが、私はこれをとても重要だと考えています。私たちは、五感に頼って現実を認識しているからです。 私たちが感じている、認識している「現実」とは、五感から得た情報を元に脳の中に作り出したイメージにしか過ぎません。睡眠中に夢を見ますが、これは脳が記憶から得た情報を元に作り出したイメージです。情報源が違うだけで、脳が作り出すイメージということに差はありませんから、私たちには夢と現実の区別が付きません。私たちが感じている「現実」は、五感が得た情報そのものではないのです。同一人物が同じ状態に置かれたとしても、その時の気分や体調、直前に経験した出来事によって「現実の認識」に違いが生じるのはそのためです。 例えば同じ音でも繰り返して聞き続けると、段々と違った音に聞こえますが、それは「脳がその音を記憶」して、今聞いている音を補完し修正してしまうからです。繰り返し同じ音楽を聞き続けると、感覚が麻痺してしまい比較ができなくなります。同じ音源で聞き比べができるのは、せいぜい数回程度ですが、意外とこの事実は忘れられています。しかし、どこからどこまでが「真実」でどれだけが「脳が作り出した創造」であるか?音で区別が付かないように、私たちが認識している「現実」でさえもその「区別」は付かないのです。 話を視覚に移しましょう。視覚が錯覚(脳の勘違い)によって歪むことはよく知られています。「だまし絵」がその代表ですが、それを見ても私たちは「脳が現実を歪ませている事実」を全く認識できません。結果としてだまし絵に騙されます。もし、脳が五感の情報を歪ませていたらどうなるでしょう?全く気付かずに脳が作った「歪な世界」を現実だと誤認識してしまうことでしょう。 だから、この無意識下に行われている脳の情報処理を「自然な状態」に保つことが、正しい現実認識を行う上で非常に重要だと主張するのです。成長期の子供がゲームなどを続けることで、正しい現実認識ができなくなるという問題が指摘されていますが、ゲームだけではなく普段見聞きする音や映像からも私たちは大きな影響を受けています。 特に集中して見聞きする「オーディオ、ビジュアル」の「質」が自然か?不自然か?は、非常に重要です。不自然に強調された音や映像を見続けていると「疲れる」のは、脳が強調された歪みを元に戻そうとオーバーワークになるからです。 もし、「不自然な音や映像」を見続けても違和感や疲れを感じなくなっているとすれば、それはかなり危険な状態です。私たちに生まれながらに備わっている「自然な感覚」が鈍くなってしまっているからです。そんな時には、五感をリセットして欲しいと思います。アウトドアで体中に自然を感じれば、私たちの五感は自然にリセットされます。感覚がリセットされれば、気分や体調も替わるはずです。 前号では、また「いい音」や「良い映像」を受け止めるためには「正しい経験」が重要だと書きました。それは確かにそうなのですが、この話も誤解を避けるためには、補足が必要だと思うので書き加えます。 人種の判別を例にします。ヨーロッパ人やアメリカ人から見れば、私たちアジア系の人間はすべて同じに見えると聞いています。アメリカのドラマを見れば、明らかに韓国系や中国系と思われる人種が日本人として登場することから、この話が間違いでないことがわかります。では、彼らには「人種を見分ける力」が備わっていないのでしょうか?そんなことはありません。逆に彼らが容易に判別できるアメリカ人とヨーロッパ人の国籍の判別が、我々アジア系の人種には難しいはずです。つまりそれぞれの「判別能力」が問題なのではなく、「普段触れている情報=経験」が細かい部分の判別(判断)にとって、非常に重要だということがこの例えからわかるはずです。 音や映像、芸術の鑑定もそれとほとんど同じです。普段どれだけ「判別するために必要な情報に触れているか?=豊富な経験があるか?」が細かい部分の判別を正しく行うために、非常に重要になるのです。個人の能力差が問題とされるようになるのは、それよりもずっとずっと先の話です。 しかし、それはそれとして「良い音楽を聞き、映画を観たときの感動」は、何物にも代え難い喜びです。そしてこの仕事を通じて、それがお客様に伝わったときの喜びはそれよりもさらに大きなものです。うるさいことも言います。偏ったことも、間違ったことも言います。私はただの人間だからです。でも、人間だからこそ、言葉に心を込めなかったことは一度もないつもりです。わからないことは、尋ねてください。それができるかどうかはわかりませんが、全力でお客様のお力になりたいと、逸品館のスタッフは常に考えています。 ... 続きを読む

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逸品館メルマガ073「脳による補完の重要性(2)」

(前号から続く) しかし、CDのようにまだ私たちが「聞き取れる」あるいは「感じ取れる」範囲内で急峻に高域をカットするなど「音をイレギュラーに操作(音を不自然に加工)」すれば、私たちが「スムースに音を復元できなくなってしまう」可能性が高まります。逆に「イレギュラーな部分(不自然な部分)」を隠すほうが、かえって「スムースに音を復元できる」とは考えられないでしょうか?これが、前3回のメールで説明したかった「意図した音質の劣化によって、逆に音質は向上して聞こえる」と言うことなのです。... 続きを読む

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逸品館メルマガ072「脳による補完の重要性(1)」

先号のメルマガでNTTが行った「ノイズによるマスキング効果と音の聞き分けの関係」について少し触れました。流して読まれた方もいらっしゃるかも知れませんが、実はこの「想像する」という人間の能力が音や映像の認識に非常に大きな役割を果たしているのです。というよりもこの「想像する」・「予想する」という脳の働き抜きでは、私たちの認識能力はほとんど発揮できないのです。 では、人間が持っている「想像、予想」という能力について形を変えて分かりやすく説明しましょう。キャッチボールをしたことがありますか?最初は上手くいかなかったはずです。自転車に乗ったことはありますか?これも最初は上手くいかなかったはずです。運動能力が向上するためには「繰り返しその動作(運動の状態)を記憶する」ことが非常に重要な鍵を握っています。 私たちの神経ネットワークと脳の判断の速度は、パソコンなどに比べると圧倒的に遅く、例えば熱いものに触れたとして、その厚さを指先に感じて、それが脳に伝わり、指を引っ込めるまでには、コンマ数秒の時間がかかります。インターネットで「反応速度測定」と検索すると、反射の速度を測る簡単なゲームが見られますが、視覚で捉えた現象に基づいて身体が反応するまでには、平均で0.25秒の時間がかかります。私は、レーシングカートを運転しますが時速100Kmで走るレーシングカートは、0.25秒で約7m近く進んでしまいます。しかし、熟練したドライバーは、その速度でもコースを10cmもずれることなく走れます。カートが10cm進むときに必要な時間はたった0.004秒なのです。そして彼らのラップタイムの誤差は、一周当たりたった百分の数秒でしかありません。つまり、私たちは熟練することで肉体感覚の限界を遙かに超える50~100倍近い速度で正確に反応できるのです。この驚くべき能力は「記憶/経験」抜きには説明できません。 レーシングカートやレーシングカーの操縦では、反復練習によって大脳ではなく小脳が運動に対する肉体の反応を記憶するため、反射が無意識に起こるようになって反応速度が大きく高められることが科学的に解明されています。しかし、この理由だけでは、ハードウェアー的には0.1秒にも届かないほど鈍い人間の反射が0.001秒近くまで向上する理由を完全に説明できません。練習による「記憶」だけではなく、そこでは「予測」という脳の働きが非常に重要な役目を担っていると考えられます。 初めて自転車に乗ったときのことを思い出してください。最初はフラフラと、前に進まずにすぐに倒れてしまったはずです。これは、自転車に対する肉体の反応を「大脳(意識下)」で行っているため反応速度が0.1秒以上かかっているためです。しかし、何度も練習をすると「無意識」に自転車を傾かせずに走れるようになります。さらに習熟すると、まるでスタントまがいに自転車に乗れるようになります。これはすべて「経験(反復練習)」により「運動の法則を脳が記憶」し、その記憶を元に「脳が次の状態を予測」しているからなのです。脳が指示を与えてから、身体が動くまでに0.1秒かかるならば、身体の動きが必要とされる0.1秒前に必要な肉体の動きを脳が指示すれば、時間差を克服できます。脳は、このように「次に起こることを正確に予測」することで、事前に身体を反応させているのです。しかし、この反応は無意識に起こるために、私たちは、それがどのようなプロセスで起こっているのか?知ることが出来ません。身体が予測し、先に動いていたとしても、私たちは「リアルタイムで動いている」としか感じていません。 次にキャッチボールでワンバウンドを受けることをイメージしてください。地面が平らで物理的に正しい運動をすると、つまりボールが地面で普通に跳ね返ると私たちはそれを受け止めることが出来ます。事前に完璧な予想が出来たからです。しかし、グラウンドでボールがイレギュラーなバウンドをすると、プロ選手でもボールを受けられません。それは、先ほどの説明から考えていただければ簡単におわかりいただけると思います。予想の付かないボールの動きに身体の反応速度が追いつかないからです。では、ボールの軌跡の一部を隠したらどうでしょうか?多分プロの選手なら、ワンバウンドした直後のボールの軌跡が見えていれば、そこから先ボールが消えたとしても、かなりの高い確率でボールを受けとれると思います。 何が言いたいのか?音を聞くときにもこの「記憶」と「予測」という脳の働きが非常に大きなキーを握っていると言いたいのです。ボールがイレギュラーな動きをしない=完全に地球上における物理法則に従って動いている場合には、私たちはその動きをかなりの高い精度で「予測」できます。同じ理由で、物理法則に従って音が発生する「アコースティック楽器」の音の変化を私たちは予想できます。予想によって「欠落した音」を補って聞けるのです。しかし、運動の予想が私たちに関知できなかったように、経験によって音が補われいい音になっていたとしても、私たちはそれを「単純にいい音」としか感じないのです。 AIRBOWの音質決定や音質の説明で「アコースティック楽器の音は判断に使えるが電気楽器の音は判断材料にならない」と繰り返し説明していますが、これは正にこの「ボールの動きの予測」と同じなのです。アコースティック楽器が音を出すとき、その音波の発生原理は「完全に地球上の物理現象」に合致します。つまり、アコースティック楽器の音であれば、情報が欠落しても=音質が劣化しても、それが音の動きを予想するのに重要な部分でなければ、欠落したとしてもかなりの高い精度で私たちは「元の音を脳内で復元可能」なのです。(次号に続く) ... 続きを読む

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逸品館メルマガ071「中低音の重要性(3)」

今回のメルマガは、前々回からの続きになります。前回、前々回に送信したメルマガは、次のページからご覧頂けます。 https://www.ippinkan.com/mail-magazine/mail-menu.htm#melma 確認のため「耳に聞こえる音の良さ」を追求したSA8400/Specialと聞き比べてみると、音の細やかさや明瞭感、透明感では、時としてSA8400/SpecialがSA10/Ultimateを上回ると感じさせるのですが、中身がギューッと詰まった感じ音の厚み、エネルギー感、身体に感じる雰囲気の濃さでは、SA10/UltimateがSA8400/Specialを確実に上回っています。CDとSACDを掛け比べても、SA8400/SpecialがSACDをCDよりはっきりと良く聞かせるのとは対照的に、SA10/UltimateはCD/SACDによる「音質差」をほとんど感じません。演奏しているソフトがCDか?SACDか?わからないくらいです。それは、SA10/UltimateがSACDだけが持っている20KHz以上という高い周波数帯域(すなわち高音域)に依存せず音楽を深く表現できるからに他なりません。その結果として、ソフトの録音にほとんど左右されず音楽の楽しさ、音楽を聞く充実感だけを純粋に味わえるようになったのです。 誤解を避けるために付け加えますが、SA8400/Specialも完成後、発売までに連続で1ヶ月近く聞き続けて不満が出ないことを確認して製品化している自信作です。お客様の評判も上々です。 http://www.ippinkan.co.jp/airbow/estimation/est-sa8400.html SA10/Ultimateとの違いは「好みの範疇」として片づけられるかもしれません。また、それぞれの評価は、システムとのマッチングやお客様の好みによって大きく左右されると思います。またその違いは、それぞれを聞き比べた瞬間には「その差が明確」であったとしても、それぞれをしばらく聞き続けているとわからなくなる程度のものであるかも知れません。でも、違いは確かにあるのです(当然、価格が違いますが)。 このようにSA8400/Specialとの比較試聴を通じて、SA10/Ultimateの中低音の良さから来る音楽表現能力の高さを確認できたのですが、中低音が充実していると言っても、それは「中低音がだぶついたもこもこした音」とは全く違います。良質なサブウーファーを使ったときのように、空間は大きく広がり見通しも良く「その場の空気感」が感じられるような音質に変化します。ピンポイントに突き詰められたハイエンド・オーディオの音のように「真空の中で楽器が鳴っている=ホログラムのように楽器が明確に定位する」という音ではなく、あくまでも「楽器を取り巻く空気の響き」や「その場の雰囲気、気配感」がダイレクトに身体に伝わってくるようなイメージです。言い換えるなら、音がまず耳から脳に入って処理され、その結果として音楽を感じ取れる(初期のAIRBOWは、この傾向が強くそのため緊張感を生じていたと考えられる)ような音ではなく、脳内での変換が不要で音がダイレクトに感情に変化する(触れる)ような感じの音質です。とにかく、SA10/Ultimateの音は、聞いていて気持ちがいい音です。 もう一つ、高音をありのまま再現するときに気になるポイントがあります。それは「マイクの癖」です。ビデオカメラなどのプアなマイクで収録した音でも、再生時にあれ?と思うほど細かい音が入っていて驚くことがあります。オーディオ用のマイクはそれとは比較にならないほど、高感度です。マイクが捉えた高音の明瞭度や解像度(細やかさ)は、人間が聞くそれよりも遙かに高く、それをそのまま再現すると楽器に頭を突っ込んで聞いているような、部分的に拡大された変な音になってしまいます。マスタリング時にそうならないように音は加工され(音響プログラミングを施され)、トラックダウンされますが完全ではありません。高音をあまりにもありのままに再現しすぎると、このマイクの癖がはっきりと出てしまうのかも知れません。 もし、あなたが「音は良くなったけれど、聞けないソフトが増えた」、「安心して音楽に集中できない」、「聴き疲れする」という問題にお悩みなら「高音が良くなりすぎていないか?」に注目してください。色々話をしてきましたが、このメルマガの主旨は、AIRBOWの宣伝ではありません。皆様が音を決められる(聞き比べられる)時に私が今回説明した方法が使えるのではないだろうか?ということが重要なのです。 もしかするとデジタルが導入されたことで、私たちはあまりにも「高域の再現性」にばかり耳を奪われ、それまでに確立されていた「音の厚み」や「雰囲気感」といった「耳に聞こえない」、「データーに表れない」部分を知らず知らずにおろそかにしていたのかも知れません。あえて聞こえやすい「高音域の細やかさや明瞭感」にスポットを当てずに、耳には聞こえない「身体に感じる雰囲気の濃さ」に重点を置いてシステムの音決めをなされば、それまでとはまた違った「音楽が聞こえてくる」に違いありません。 高域の明瞭度や解像度を下げることで、音が良く聞こえると言う現象についてもう一つ思いつく重要なポイントがあります。このお話は、かなり前に一度何かの機会で発表したことがあるのですが、今回のSA10/Ultimateの開発経験でさらにその思いを深くしました。それは、相当前に朝日新聞に掲載された「NTTが行ったノイズと聞き取りの関係についての実験」からヒントを得て考え出したものです。 このNTTが行った実験は次のようなものです。(1)音声通信(会話)にノイズを入れて行く。(2)会話がノイズで遮られ、聞き取れるギリギリになったところでノイズを入れるのを止める。(3)ノイズで聞き取れなくなった部分を消して、その部分を無音にする。(4)ノイズが無音に置き換えられ、断続的になった音声を聞かせる。(5)無音部に、再びノイズだけを挿入して音声を聞かせる。このような実験です。結果は、(3)では、かろうじて聞き取れた会話が、(4)では、単なる断続的な声の羅列になって言葉として聞きこれなくなります。(5)では、再びノイズに埋もれた会話として聞き取れるようになる。というものです。これは聴覚だけではなく、視覚でも確認できます。まず、(1)適当な文字を描き。(2)次にその上にミルクをこぼしたように、読めるギリギリの範囲まで部分を隠します。(3)ミルクをこぼした部分を完全に消します。(4)文字は、バラバラの図形に分解され、文字として認識できなくなります。(5)消した部分を黒く塗りつぶすと、再び文字が黒い部分に隠れた文字として認識できるようになります。... 続きを読む

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