StereoSound(ステレオサウンド) 173号「夢見る力」

子供の頃、心は夢で溢れていましたか?大人になって現実を知り、夢は破れましたか?人は皆、未来を知りたがり、まるで未来を知る能力を与えられたかのようにそれを予想します。人が未来を知りたがるのは、自分が手に入れた「価値」が変わるのを恐れるからです。しかし、すべての物には絶対的な価値などなく、変化し続ける社会の中で価値観は相対的に変化を続けます。人には一瞬先の未来を知る力さえ備わらず、あきれるほど早く変化する「今」でさえ、それを知る術を持ちません。今日の常識が明日には通用しなくなる。それが、私たちの住む世界です。
そんな移ろいやすい世界の中では、どんな夢が見られるでしょう?例えばある商品に興味を持ち、憧れを抱いたとしましょう。昔ならその商品に手が届くまで、あるいはそれを実際に見聞するまで憧れを抱き続けられたでしょう。しかし、情報伝達のスピードアップはあっという間に対象を近づけ、憧れを儚く消してしまいます。そして、目の前に次の対象が現われ、またそれを追う。つかの間の刺激を求め、慌ただしく夢を追い続けるのが現代です。
では、憧れと夢を持続させるにはどうすればよいのでしょう?答えを「物」に求めるなら簡単です。お客様の憧れ持続させるには「手の届きにくさ」が何より求められます。それを実現する最も簡単な方法は「価格を上げる」ことです。価格は需要と供給のバランスで決まりますから、「数を減らす」のも良い方法です。「欲しい人」よりも「手に入れられる人」が少なければ少ないほど、製品の価値が高まります。
この単純な方程式を逆さまにすると「高価な製品」=「価値が高い」ということになります。オーディオでも多くの人が高額製品や希少製品の価値が高いと考えるのは、それを端的に現しています。では、高価な製品を購入すれば「夢」が叶うのでしょうか?もし、あなたの目的が「物欲を満たす」ためなら、それは100%叶います。しかし「良い音楽を聴くこと」が目的であれば、道を変えてください。
話を少し変えます。男はなぜ「メカニズム」に憧れるのでしょう?「オーディオ」「車」「カメラ」は三種の神器と呼ばれるくらい男が好む「趣味の道具」ですが、それは女性が化粧をして美を高めるのと同じように、男の自分自身をより強く見せたいという原始的な願望をそれらが満たすからでしょう。しかし、どんなによい道具を手に入れても使いこなせなければ意味がありません。つまり、「高価な機器を購入する」ことと「自分自身の能力を高める」ことは、似ているようで実は違っているのです。そして、そこが「オーディオ」の面白さです。
「オーディオ」には機器の数だけ夢があり、それを使いこなすことで夢はさらに広がります。大切なのは、世間の噂に惑わされず「自分自身でしっかり器機を使いこなすこと」です。じっくり膝をつき合わせてこそ、道具はその本質を見せてくれます。それが深いものであっても、浅いものであったとしても、次のステップに繋がります。そうして、一歩ずつ自分の夢を高め、深めて行くのが趣味本来のあり方です。価格にかかわらずお客様の「夢見る力」を磨ける機器を販売したい、と逸品館は考えています。

Rhode Island does not tally points on your driving instructor record like other states, but they do occasionally attach labels.

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