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女子部はみんなFF派!ファイナルファンタジーXIII
「StereoSound」カテゴリーアーカイブ
StereoSound(ステレオサウンド) 173号「夢見る力」
子供の頃、心は夢で溢れていましたか?大人になって現実を知り、夢は破れましたか?人は皆、未来を知りたがり、まるで未来を知る能力を与えられたかのようにそれを予想します。人が未来を知りたがるのは、自分が手に入れた「価値」が変わるのを恐れるからです。しかし、すべての物には絶対的な価値などなく、変化し続ける社会の中で価値観は相対的に変化を続けます。人には一瞬先の未来を知る力さえ備わらず、あきれるほど早く変化する「今」でさえ、それを知る術を持ちません。今日の常識が明日には通用しなくなる。それが、私たちの住む世界です。 ... 続きを読む
StereoSound(ステレオサウンド) 172号「オンリーワン」
長い地球の一生、宇宙の時間から比べると、一年なんて本当に一瞬のことです。その一瞬のさらに小さい季節の出来事に、一喜一憂しているのが私たちです。私がオーディオ販売を生業としたのは、販売する商品の金額にかかわらず、お客様に心からの喜びを感じて頂けることが一番大きな理由です。とはいえ、経済社会の中で自分の主張を貫き通すためには、ある程度取引額を大きくしなければなりません。20年少し前にゼロからスタートした逸品館は、現在西日本で最大級の売上規模にまで成長しました。ハイエンドショウトウキョウ・アンケートの「最も興味深い出展社」で3連覇を達成するなど、注目度も高まっています。それらはすべて、お客様のお蔭があってのことと深く感謝しています。 お客様に恵まれて逸品館は成長しましたが、私が目差すのは「No1」ではありません。逸品館設立の目的を貫くためには、自分が今何をしているのか?お客様のために、今何をすべきなのか?それを明確に感じられる規模を保たねばなりません。自分たちの力以上に組織を肥大させ、サービスの質を低下させたくないのです。 生来が負けず嫌いの私は、人に負けるのが何よりも嫌いです。だからこそ、No1を争う無意味さを知っています。どんなに勝ち続けても上には上がいますし、自分よりも上があると知った瞬間にそれまでの自分の価値や満足感はゼロになってしまうのです。富士山が一番高い山だと思いそれを征服して有頂天になっていたら、それよりもずっと高いエベレストがあると知ったときの登山家の気分です。高い山を征服すれば征服するほど、それより高い山を見つけて登って行かなければならない。決して満足することなどなく、登り続けなければならないのが「No1」を目差す生き方です。元気があれば、その喪失感・絶望感をパワーに転換することもできるでしょうが、人間の寿命は限られていてピークを迎えた後は必ず下降します。今人々は、なぜこれほどまでに強く「No1」を目差すのでしょう?登り切ることができない道を、命尽きるまで登り続けようとするのでしょう? 私自身、そういう生き方をしてしまうタイプなので、それを否定することはできませんが、少し価値観を組み替えれば、違った道が見えてきます。それが「オンリーワンを目差す道」です。残念ながら、No1に最大の価値を求める経済(一部の富裕層)に牛耳られる現実社会の中では、オンリーワンを貫くことは時として脱落を意味します。人に負け犬と呼ばれても、オンリーワンを貫き通す強い心が持てればよいのですが、その強さは私にはありません。No1とオンリーワンのせめぎ合いの中、かろうじてバランスを保っています。しかし、現実と切り離された「趣味の世界」では、オンリーワンの価値観を貫けます。例えば「魚釣り」は私の趣味の一つですが、「釣り上げた魚の数や大きさ」ではなく、「どのようにして釣り上げたか?」あるいは「人と違う方法で釣り上げたか?」により大きな喜びを見いだすことが許されます。 オーディオやシアター製品を選ぶとき「価格」で製品を選んではいらっしゃらないでしょうか?No1に最大の価値を求める世界に染まりすぎると「価格=性能=満足感」だと誤解することも多いのですが、価格と満足度は一致するものではありませんし、本来趣味の世界ではそれが一致してはならないのです。同じ製品を使っても工夫次第で「より良い音」「より良い映像」「より深い感動」を取り出せます。人と比べる必要など何もありません。何が一番売れているかとか?何が一番高額製品だとか?誰が一番安く買ったとか?そういう「背比べ」は、一切無意味です。逆に、そういう「背比べ」を否定することから、より深い趣味の味わい方が広がると思えるのは、私がひねくれているからでしょうか?でも私が代表を務める逸品館は、そういう変わり者的な趣味のあり方を応援します。 「魚釣り」と共に「カート・レース」も私の趣味の一つです。スプリントレースは、単純にNo1を競うシンプルな競技で勝ち負けを競うだけですが、耐久レースは違います。そこには完走という価値観が見い出せます。あなたにとっての人生は「スプリントレース」でしょうか?あるいは「耐久レース」でしょうか? 気候と同じで、人生には晴れた日も雨の日もあります。一番大事なのは、納得した日々の記憶をより多く持つことだと思います。人生の幸せな記憶の多さを競うレースなら、私は喜んでそのレースに参加してみたいと思うのです。 ... 続きを読む
StereoSound(ステレオサウンド) 171号「“音楽”の原点」
5月2日に悲しいニュースが流れました。日本屈指のロックシンガー「忌野清志郎さん」が逝去されたのです。私はどちらかと言えば音楽は一人で聞くのが好きなので、ライブにはあまり行く習慣がありません。しかし、1999年9月24日、東京の六本木のライブハウス、スイートベイジル139で行われた「井上陽水シークレットライブ」に忌野清志郎さんがゲストとして参加されたときに「彼を生で見る」ことができました。ライブの模様は、同年「12月10日にNHK... 続きを読む
StereoSound(ステレオサウンド) 170号「オーディオという趣味」
携帯電話やパソコンを使って音楽を聞く機会が多くなっている。i-podの流行も久しく、音楽の軽薄短小化は一度と後退することなく進んでいる。その潮流には逆らえず、オーディオ製品の多くもサイズが小さくなって専門店の店頭でもタンノイ・オートグラフのような大型スピーカーを見かけなくなった。さらにそこへ、「空前の不景気」が拍車をかけている。こんな市況で、昔のほどの勢いで高額な製品や大型の製品が売れるはずはない。変化こそ加速したが、これは自然の流れだろう。そして、あれほど売れていた「車」も沈滞ムードに陥った。 ... 続きを読む
StereoSound(ステレオサウンド) 169号「想像力という「音質」」
ステレオサウンドをお読みになられるのはなぜですか?それは、少しでも「音を良くしたい」からだと思います。間違っても「音を悪くしたい」と考える方はいらっしゃらないはずです。私は約10年ほど前に「ありのままを再現して欲しい」と … 続きを読む