AUDIO BASIC(オーディオベーシック) 42号「サラウンドは凄い!」

多くのピュアオーディオマニアは、サラウンドを否定しますが世界的にもサラウンド(マルチチャンネル)は、大いに誤解されているようです。音質をなによりも大切にすることで有名な「チェスキー」レーベルのサラウンド録音ディスクには、センタースピーカーの信号が収録されていません。つまり、「チェスキー」のサラウンド録音ディスクは、センター信号のない4chもしくは4.1chで収録されているのです。これは、「チェスキー」がスタジオで大きすぎるセンタースピーカーを使ったため「センタースピーカーの問題」の方が「センタースピーカーを使うメリット」よりも大きかったせいではないかと予想したのですが、「チェスキー」は、やはり大きすぎるセンタースピーカーを使っていたらしい事を後日知りました。センタースピーカーを大きくしすぎると、中央付近の音像定位が著しく阻害され、圧迫感が生じるなど良いことは一つもないからです。しかし、十分に小さいセンタースピーカーを使えば、ステージ中央付近の音像は前後に深く立体的になり、定位が素晴らしく向上します。「チェスキー」が大きすぎるセンタースピーカーを使ったのは、後述するようにスタジオならではの事情があったにせよ、こんなに著名なスタジオですらサラウンドを正しく理解出来ないというのは、大きな問題です。
モノラルからステレオへの 続きを読む

カテゴリー: AUDIO BASIC, 社長のうんちく | タグ: , , | コメントする

逸品館メルマガ034「オーディオの真髄とは?」

今回の話題は「音楽的感動」です。音楽的な感動を初めて体験なされたのはいつ頃でいらっしゃいますか?音楽を聴いて初めて涙を流されたのは、小学生時代?それとも中学に入られてからでしょうか?私は、中学時代にフォークソングを聴いていたときだったと思います。もしかすると、小学生時代にディスニーの映画を観て涙を流していたかも知れませんが、一つ確かなことは、私が音楽を聴いて初めて涙を流したのは「生演奏」ではなく「オーディオから流れる音楽だった」ということです。生演奏とオーディオで聴く音楽では、聴いていた時間の長さがまったく違うのでフェアな比較ではないかも知れませんが、とにかく生演奏を聴いて涙を流した記憶は数えるほどしかありません。今までに音楽を聴いて流した涙の量は圧倒的に「オーディオから流れる音楽を聴いていたとき」が多いのです。 歌謡曲を聴き、JAZZを聴き、クラシックを聴き、あらゆる音楽を聴いて今までに沢山の感涙に噎んできました。純粋に音楽を楽しんでいたときではなく自分自身のオーディオセットの音が良くなったときにも涙を流しました。オーディオの音を聴きながら、オーデ ィオで音楽を聴きながら、感極まって涙が流れたことは数知れません。今振り返れば私にとってのオーディオとは、そういう「音楽的な感動」を与えてくれると同時に「純粋に音が良くなった感動」も与えてくれる、いわば音楽を聴く道具であり、自分で演奏する楽器でもあったように思います。 自分自身のパーソナルなオーディオセット(といってもラジカセ程度でしたが)を手に入れた頃は、フォークソングばかり聴いていました。井上陽水にはじまり、吉田拓郎、泉谷しげる、5つの赤い風船、風、かぐや姫、大塚まさじ、はしだのりひこ、数え上げればきりがないほどのフォークソングを聴きました。一緒に歌いたくなってギターを買い、学校から帰るとすぐにギターを抱えて歌っていました。でも、彼らの中でそれを「生」で聴いたことがあるのは、井上陽水、忌野清志郎、奥田民生、来生たかお、くらいでしょうか?POPSでは、さらに少なく中ではピーボブライソンのライブが素晴らしかったことを覚えています。JAZZやクラシックにいたっては、古い録音を好んで聴いていた事もあって、それらを「生」で聴いた経験はほとんどありません。 にもかかわらず、初めて生で「井上陽水」を聴いたとき「まったく違和感がなかった」ことを覚えています。つまり、私がつたないオーディオセットで聴いていた「井上陽水」と始めて生で聴いた「井上陽水」には、まったくと言っていいほど差が感じられなかったのです。コンサートが終わって楽屋で井上陽水と言葉を交わしたときも、まるで旧知のような親しみを覚えこそすれ初めて合う人物とはまったく思えませんでした。それは、きっと彼らの音楽が「生演奏」でも「電気増幅=PA」を使っていることと無関係ではないはずです。なぜなら生演奏と言っても彼らのコンサートには、電気増幅器(いわゆるPA)が使われていて、歌声は「生」ではなく「スピーカー」を通して聞こえるからです。PAもオーディオも電気的に音を増幅して聴かせるという意味で違いはなく、違いがあるとすれば音源が「生」か?あるいは「録音」か?という違いだけなので「生演奏」と「オーディオで聴く演奏」がかなり似ていたとしても不思議はありません。このように歌謡曲では、オーディオと生演奏はほぼイコールです。イコールどころか3号館のような凄いオーディオセットで歌謡曲を聴けば、音質も感動も生演奏を大きく越えることも不可能ではありません。 ... 続きを読む

カテゴリー: メルマガ, 社長のうんちく | タグ: | コメントする

逸品館メルマガ033「オーディオ評論家、菅野沖彦邸訪問記」

今週、東京出張の予定があったので、アポイントメントを取って菅野沖彦さんの自宅におじゃましてきました。約3時間、公私の広い範囲にわたって熱の入った雑談を交わし菅野さんの一人の趣味人としてオーディオと車への情熱に触れ若輩者の私など、脱帽の思いです。話の内容は、お互いの立場もあって詳しくはご紹介できないのですが菅野邸で聞かせていただいた「音」について私が述べるのは何ら問題がないと思いますので、私なりに感じた「菅野氏の音」についてお話ししたいと思います。 菅野氏は3種類のシステムを切り替えてお使いだと伺っていましたが、今回の来訪ではあまり時間がなかったのと「何を使われていらっしゃるか?」ではなく「どんな音を出されていらっしゃるか?」が知りたかったので機材については深くお伺いしませんでした。聞かせていただいたシステムは、低域がJBLのウーファー(2255?かなり古いモデルでオリンパスの箱に入っている)、中高域にジャーマンフィジックの無指向性コーン型ユニット、メーカー名は失念しましたがやはり無指向性のスーパーツィーターを使われていらっしゃいました。CDプレーヤーやアンプについては、お伺いしませんでした。 菅野邸のシステムは、過去に何度か雑誌などで紹介されているのでご存じの方がいらっしゃるかも知れませんが、リスニングルームにシステムが仰々しく鎮座しているのではなく、豪華でクラシカルな書斎をイメージさせる部屋の両脇にスピーカーは追いやられ、プレーヤーやアンプも見えるところには置かれていません。あくまでもインテリアの自然さや豪華さを損なわない「脇役」としてオーディオシステムは設置され大量のレコードやCDソフトが主役の位置にあります。 クラシックを2曲と10年少し前にご自身で録音されたJAZZを1曲聴かせて頂いたのですが、音が出てまず驚いたのが「部屋の音」がまったく聞こえないことです。部屋はさほど広くない(たぶん15畳程度)にもかかわらず、変な反射は皆無で重低音ですら嫌な付帯音なしにスーッと消えるではありませんか!その上、音量をかなり上げても音像が崩れずフォルテのエネルギーが殺がれないのは、素晴らしいことです。見かけは、なんの細工もなさそうに思える部屋ですが、非常にデリケートにチューニングされているのがわかりました。その証拠に普段は、メガネを外してオーディオを聞くことはないのですが、このときばかりは自分のメガネの反射音が気になって、メガネを外したほどなのです。 菅野さんに素直に驚いたと感想を述べると、正に我が意を得たりと顔がほころんで「部屋の癖に合わせて丁寧に音を調整している旨」を説明してくださいました。具体的な方法は、お伺いしませんでしたが、その手腕は「さすが」の一言です。 驚いたのは、ルームアコースティックが綿密に調整されていることだけではありません。普通ならスピーカーをこんなに離して、しかも部屋の両端に置くと中央の定位が散漫となり、音場が前後に薄くなってしまうのですが、そんなことは微塵も感じられません。リスニングポジションの前方のお洒落な飾りドアがあるその空間に音像は実に分厚くあたかも、目を閉じると目の前にステージが出現したかのように展開するではありませんか!もちろん、どこにスピーカーがあって、どのスピーカーが鳴っているのかわからないのは、3号館とまったく同じですが、菅野さんはそれを「レーザーセッター」のような文明の利器?を使わずに、すべてご自身の耳だけで追い込まれているのです。それは、まさにオーディオマイスターの本領発揮といったところでしょう。 音質の傾向は、強いて言うなら「モノラルレコード、それもSPを聞いている」かのような非常に濃い音場で、全体的には渾然と鳴っているように聞こえるのですが、分離すべき所はきちんと分離する一種独特な鳴り方をします。私が3号館でならしているような「クリアで明晰なHiFi系のサウンド」とは、まったく逆方向です。 菅野邸のオーディオシステムは、外見こそ部屋のインテリアにとけ込んでいておとなしく感じられるのですが、シンバルの鳴り方や、ドラムの風圧まで体で感じられるフォルテの出方は半端じゃありません。オーディオマニアを驚かすため?あるいは、常に生の音に接していらっしゃるせいか、そのエネルギー感は少し過剰?とも感じられるほどのすさまじいリアリティーが感じられます。シンバルは耳に突き刺さり、ドラムは体を揺するすさまじいエネルギーが発せられるではありませんか! ご高齢なので(失礼)正直、もっとソフィスケイトされた繊細で細めの音を想像していたのですが、出てくる音はまるで違いました。CDを聞いているのを完全に忘れるほどトーンが濃くDレンジがすさまじく広いのです。そのエネルギーは、とても齢70才を越えられた方の出される音ではありません。私が出す音よりも、確実に元気でそして明るく楽しく、エネルギッシュな音に驚かされたのです。 菅野さんは、車にも相当造詣が深くいらっしゃって、その上運転自体も楽しまれます。フェラーリとポルシェをお持ちなのは、雑誌などで紹介されているのですでにご存じかも知れませんが、菅野さんが今でもサーキットに出向かれること、そして過去には国内A級ライセンスをお持ちだったことはあまり知られていないように思います。そんな菅野さんの姿勢から趣味というのは、コレクションとは違う。道具を通じて、またそれらを使いこなすことによって、自分自身の知識と経験を深め、感性を育み、己を高められる。そんな、一人の趣味人として一本筋の通った主張が強く感じられたのです。 子供のような好奇心を忘れず、それを前向きなエネルギーに変換して人生を楽しみながら生きてゆく。自分が70才を超えたとき、これほどまでエネルギッシュにいられるか自信はありませんが、そうありたい、そう生きたいと痛感させられました。 ... 続きを読む

カテゴリー: メルマガ, 社長のうんちく | タグ: | コメントする

ホームシアター(HOME THEATER) 37号「感動の本質」

あなたがホームシアターを作ろう!と思った「切っ掛け」は?新築やリフォームを期にホームシアターを作ると見栄えがするから?それとも最近のメディアの宣伝に触発されたから?それでは、ホームシアターを作ろう!とお考えになられた「理由」はなんでしょう?切っ掛けは様々でも、その目的は「感動できる映画や音楽を楽しみたいから!」に違いないはずです。では?あなたは、どのような「映画」がお好きですか?CGを多用したSFのように派手でわかりやすい映画でしょうか?それとも、マイ・フェア・レディ、サウンド・オブ・ミュージックのような名作映画がお好みでしょうか?確かに、手っ取り早く気晴らししたいときや、気分がハイな時には、展開の速いジェットコースタームービーもいいでしょう。しかし、時代を経ても「名作」と呼ばれる映画や「名演奏」と語り継がれる音楽には、人の生き方すら変えてしまうほど大きな感動の力があります。作品にかかわった「役者」や「演奏家」の人数が膨大であればあるほど様々な要素が混ざり合い、そしてそれらが見事に調和することにより生みだされる「感動の深み」。それはインスタントに創られる作品とは、ハッキリと一線を画します。その感動を家族や友人と共有する事によってもたらされる「感動の広がり」。この「深み」と「広がり」が大きければ大きいほど 続きを読む

カテゴリー: ホームシアター , 社長のうんちく | タグ: , | コメントする

AudioAccessory(オーディオアクセサリー) 124号「感動という価値」

あなたはオーディオに何を求めますか?高価な装置やアクセサリーをなぜ購入するのですか?生演奏はオーディオで聞く音楽よりも優れていると思いますか?日本を代表するオーディオ評論家の一人である「菅野沖彦氏」の著書である「新レコード演奏家論」を読めばその答えがハッキリと見えてくる。確かにレコード世代に培った知識や経験が、そのまま最新のデジタル機器に当てはめるにはやや強引だと思える部分もなくはない。しかし、そんな些細なことよりも大切な「オーディオに何を求めるか!」が「新レコード演奏家論」にはハッキリと書かれている。
主張の骨子となるのは、レコード(菅野氏は、音楽が録音されたディスクを総称してレコードと呼んでいる)は、生演奏とは異なるメディアであり、文化だと言うことである。彼は「生演奏」と「レコード演奏」を比較し、両者をイコールとするのは間違いであると主張する。私もずいぶんと長い間レコードは生演奏の記録であり、なにも損なわず、なにも付け加えずに「ありのまま再現させていただく」ことが、演奏家への礼儀であり、自分なりの見識で「勝手気ままに再生音を弄ってはいけない」と思いこんでいた。実際、究極の「生演奏の再演」を目差し、マイクから録音機器~再生機器に至るすべての自作と自己録再をやってみて「完全なる生演奏の再演」は、技術的には不可能ではないという確信に至ったこともある。しかし、そういう録音再生装置を作り上げた結果は、見るも無惨であった。完璧な「記録の再生」には、生演奏以上の感動はなかったからである。さらに、その装置で市販のソフトをかけるとさらに悪いことが分かった。ソフトの粗ばかり目立って、 続きを読む

カテゴリー: Audio Accessory, 社長のうんちく | タグ: , , | コメントする